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第六話 天使との長話

すみません、ほとんどが会話となってしまいました。

あのー天使さん、天使さん。


『何かしら』


今まで無礼な態度をとってしまい申し訳ありませんッしたー!!

そんな熊を消せるような方だなんて知らなかったんです許してください!!

どうか、どうか御慈悲をー!!


『今更ね』


うっ…………

いや、これからは無礼のないよう気をつけますので、どうか………!!


『はぁ、もういいわ。というか、私も堅苦しいのは嫌いだし』


え、いいの?

だったら遠慮せずそうするよ。

天使って、みんなお前みたいな性格をしているのか?


『いやタメ口は許したけどお前呼びはないでしょ』


あっ…………

すっ、すいません……

いやでも、名前知らないから何て呼べばいいのか分かんなかったし……

あ、もしかして天使って名前ないの?


『いいえ、あるわ。私は…セフィアと呼んで』


じゃあ早速呼ばせてもらうけど、セフィア。


『何?』


聞きたいことは山ほどあるが……

まず、ここどこ?


『ここ? ここはこの世界で一番大きいダンジョンよ』


ダンジョン……?

いやダンジョンっぽいな~とは思ってたけど、本当にダンジョン?

ここ、鯨の体内だよな?


『そ、鯨の体内よ。で、ダンジョンでもあるわ』


鯨の体内なら、ここは胃袋か?

なら胃液があってもいいはずだけど。


『さあ? 知らない』


ま、いいや。

とにかく、セフィアさんの力をお借りして、このダンジョンから脱出だ!!

よーし行くぞ~。


っと待て。

そういや俺名前聞くだけ聞いといて自分の名前言ってなかったな。


『知ってるから言わなくていいわ』


…………え?

そ、そうなの?

俺、名前言ったっけ?

それともどっかで会った?


『会ってないわ。ステータスを覗かせてもらっただけよ』


ステータス!?

あるの!?


『なに当たり前のこと聞いてんのよ。あるに決まってるでしょ』


マジか!!

ステータスってことはやはり俺にはチートスキルが………!!

よっしゃあ!!

俺の異世界無双の始まりだー!!


『なに一人でぶつぶつ言ってんのかは知らないけど、あなたはそんな力持ってないわよ?』


……はっ?

持って……ない?

嘘でしょ?


『本当よ? というか、スキルの欄は空欄だから、あなたはスキルを何も持ってないわ』


……普通はいくつか持ってるもんなの?


『そうね。少ない人でも、3個くらいは持ってると思うわ』


ハ、ハハハ。

そんなバカなことあるわけない!!

これはきっと、何かの間違いだ。

セフィア、もう一度確認してくれ!!


『やっぱり、スキルは一つも………』


……………。

いや、能力値のチートの可能性だってあるんだ。

そっちのほうは?


『ちょっと待って』


おお、能力値もあるのか。

ダメ元で聞いてみたのだが、あってよかった。


『えーっと、確認したんだけどその……あなた、一般人以下よ』


ノオオオオオオ!!

どゆこと!?

おい、神様ちゃんと働けよ!!

なんだよチート無しの異世界転生って。

しかも、一般人以下の能力値って。

チート無しの異世界転生は割と多かったけど、能力値が平均を下回ってるってどーゆーこと!?


こんなんで生き残れるわけないだろ!!

クッソ、神なんか信じた俺がバカだった。


『神様、神様……か………』


え、神様いないの?

いや確かに天国だとか地獄だとかそーゆーのは信じてなかったけどさぁ。


『信じて()()()()? なんで過去形なの?』


あー言ってなかったっけ?

俺異世界人なんだよ。

そーゆーのって前例とかないの?


『異世界人って………聞いたこと無いんだけど』


じゃあ俺は初の異世界人になると?

おおぉ、なんてロマンチックな響き!!

サイコーじゃあないか!!


『………無駄にテンション高いわね』


そんなことねーよ。

お前俺みたいなオタクが転生だぞ!?

それも異世界に!!

ラノベみたいな展開で、しかも主人公は俺ときた。

テンション上がるに決まってるだろ!!


『………そ、良かったわね』


あ、でも俺スキルないんだっけ。

いや、まだ分からん。

これからスキルが顕現する可能性もあるはずだ、うん!!

ん?

そういやセフィア、俺が助かるって言ってたけどそれって一時的なモノなの?


『契約したから、それが切れるまではずっとよ』


あ、そうなの?

じゃあ、これからいつまで世話になるか分かんねーけど、よろしくな。


『…………ええそうね、よろしく』


どうした?

なんか……テンション低くね?


『気のせいよ』


そうか?

ま、それなら別にいいんだけど。

で、早速なんだけどさ。

俺、このダンジョンを脱出したいと思ってるんだよね。

だから、脱出経路とか知ってることあったら教えてくんない?


『そんなもの知ってるわけないでしょう』


ですよねー。

あ、じゃあこの世界のこと詳しく教えてよ。

今の俺は、右も左もわからない状況だからな。


『そうね、じゃあまず………』


こうして俺は、セフィアから説明を受けた。

まあ大体予想していたが、要するにここは剣と魔法の世界らしい。

特に魔法のほうは、この世界の住民の六、七割が使えるんだとか。

羨ましい妬ましい!!

この世界に生まれてきた子供は魔法が使えて当然っていう環境で育つんだろうな。

あーでも残りの三割の人間は可哀想だな。

周りにいる友達のほとんどが魔法を使えて、自分だけ使えないとか。


友達、友達か………

もうあの学校には二度と行けないんだよな……

そう考えると、なんか寂しく感じるな。

脳裏にクラスメイトの姿が浮かぶ。

あいつら、元気にしてるかな~………


桜はちゃんと学校行けてるんだろうか?

まあ目の前で家族が死んだんだ。

まだ立ち直れていないかもしれない。

つーか、もう桜やあのクラスメイトたちとは会えないんだよな。

………ま、別に良いんだけどな。

俺は、目頭に涙が浮かんでいることを自覚しないまま、前世の記憶をたどり続けた。

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