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第十二話 食料問題!!

申し訳ございません。

投稿が遅れてしまいました。

………き、気のせいだよな。

さすがに蹴り一発で倒したっていうのはあり得ないだろう。

……

………

…………

いくら待っても、ゴブリンは起き上がる気配を見せず、それどころかピクリとも動かなかった。


『ナイスキックよ、レン!!』


あぁ、うんありがとう………

えっと……これ、もう死んでるのか?


『もうそろそろ死ぬわ……ほら』


血まみれのゴブリンを見つめ続けていると、突然その肉体が消え、紫色をした消しゴムサイズの石ころが転がった。

その石もすぐに砕け散り、ゴブリンが転がっていた所にはもう棍棒以外、何も残っていなかった。


「………これが、魔物」


『そう、あなたは今後、これと戦っていくのよ』


「なんで、体が消えたんだ?」


『魔物、ここではゴブリンを例としてあげさせてもらうけど、ゴブリンは元々人間だったの』


「………は? 待て、じゃあ今俺は、人を……殺したのか?」


『………私の説明が不十分だったわね。ゴブリンっていうのは、太古の昔、飢饉に苦しんでいたとある村の人間たちが、魔力で汚染された動物………魔獣の肉を食べたことから生まれたの』


「………悪い、よく分からん」


『つまり、その肉を口にしたことで、肉を汚染している魔力が体内で結晶化して、人間たちが変異したってことよ』


「魔力が結晶化?」


『そ、さっき紫色をした石が見えたでしょ? あれのことよ』


ああ、あの砕け散ったヤツか。

他の魔物にもあの石が体の中に埋まってんのか?


『例外はあるけど、ほとんどそうね』


じゃあ俺もゴブリンになる可能性があるってことか?


『そうよ』


ちなみに、なんであの石が埋まってたら魔物になるんだ?


『これはあくまで仮説だけど、あの紫色の石は、一つの器官として存在してるの』


一つの………器官?

胃とか腸とかそんな感じ?


『ええ、そんなイメージよ』


え、でもそんなんが体の中にあったらヤバいんじゃないか?


『だから魔物に変異するんでしょ』


あ、そっか。

ちなみに、さっき器官って言ってたけど、消化の促進効果でもあるのか?


『いえ、細胞の一つ一つを魔力で汚染してるのよ。それによって、肉体が強化されるわ』


へー。

そんな細かいこと、よく知ってんな。

と、その時、俺に丸一日食事をしていないことを伝えるかのように、キュ~、とお腹が鳴った。

…………ごめん、話変わるけど、お腹空きました。

なんか食べ物持ってない?


『肉体を持たない私が、食べ物なんて持ってるわけないでしょ』


た、確かに………

…………ん?

待てよ、魔物の死体って消えちゃうんだよな。


『ええ、そうね』


つまり、このダンジョンにいる限り、食料は手に入らないってことか?


『……確かにそうね』


それ餓死不可避ってことじゃねぇか!!

どうすんだよ、このままじゃ死ぬぞ俺。


『………困ったわね』


困ったわね、じゃねぇよ!!

いや、このままじゃホントにヤバいぞ!?


『とりあえずこのダンジョンを走り回るのよ。もしかしたら、普通の動物がいるかもしれないわ』


いるわけねぇだろ!!

つか、ゴブリンとかと遭遇したらどうするんだ?


『さっきみたいに仕留めなさい。レンなら出来るわ』


……まぁ確かに何もしなかったら、何も手に入らないよな。

…………やるしかないか。


◇  ◇  ◇


一時間後。

セフィアの言う恩恵のおかげか、俺は自分でも信じられない速度でダンジョン内を駆け回った。

一時間も走り続けたのに、疲労感をほとんど感じない。

一体どんな肉体構造をしているんだ、俺は。

ちなみに、モンスターとは一度も戦っていない。

何故って?

モンスターに見つかっても、走っていれば追い付かれないからである。

そんなこんなで動物を探していたのだが………


………ごめんセフィア、見つからないんだけど。


『……おかしいわね』


やっぱいないんだって!!

こんな物騒な場所に、フツーの動物がいるわけないだろ!?


『そうやって決めつけるのは良くないわ』 


それ自分が間違ってたって認めたくないだけだよな。

いやもうなんでもいいから食べさせて。

今お腹が背中に引っ付きそうなんですけど。


『ありえないわ、人の体はそういう風にできてないもの』


ただの比喩だよ、真に受けるな!!

そんだけ腹が減ってるんだよ。

さっきの走りで、喉もカラカラだし。


『喉の乾きの方なら問題ないわ』


……問題ない?

いや、こんな場所でどうやって水を手にいれるんだよ。


『魔法よ』


……………な、なんですと?

魔法?

俺がとうとう魔法チートに目覚めるってことか!?


『いや、チートかどうかは分かんないけど……』


よし教えてくれ、いや、教えていただけませんでしょうか!!

魔法っていうのは一種のロマンなんです。

なのでどうか、どうか俺に魔法を………!!


『だ、だから教えるって。何もそこまで興奮しなくても……』


早く、一分でも一秒でも早く!!

さぁ………!!


『はぁ………分かった、分かったから少し落ち着きなさい』


スゥー、ハァー、と深呼吸を繰り返す。

……よし、十分落ち着きました。

だから早く!!


『そうね………まず、適当に魔物を倒しなさい』


分かりました!!

そう返事をすると、魔物を見つけるため、全速力でダンジョン内を走る。

さぁ魔物よ、早く出てきて俺の魔法の糧となれ!!


数分後、ゴブリンを見つけた俺は、全速力でゴブリンのところまで走る。

そして、とんでもないスピードによって力の加わった俺の全力パンチが、ゴブリンを襲う!!

案の定、一撃でゴブリンは死んでしまった。

しかも俺の渾身のストレートが顔面に直撃してしまったからか、ゴブリンの顔だけが木っ端微塵に吹き飛ぶというグロい死体を見てしまった。

顔が吹き飛んだ時の見事なまでの赤い扇形が床に残り、その手前には首なしのゴブリンの死体が転がっている。

その光景になんとか吐き気を堪えながら、セフィアに次すべきことを訊ねる。


『次は、ゴブリンの魔石……あの紫色の小石に触れなさい』


?

分かった。

そう言って、小石が崩れるより前に石に触れる。

すると……


「おぉ!? 何コレ!?」


身体に大きな違和感を感じた俺は、そう叫んでいた。

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