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コント「ラーメン店」  作者: howari
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純愛

ラーメン店短編集「熱いうちにどうぞ!」

「おいっ!髪の毛入ってるぞ!今すぐ取り替えろ!」 



「はい!申し訳ありません!」



ラーメン屋の店員が汗を吹き出しながら、頭を下げてラーメンを下げる。



ラーメンに髪の毛なんて信じられん。

せっかく忙しい合間を見て、やっとこさ辿り着いた昼飯だったのに……。

気分を害した。



「大変申し訳ありませんでした!」



さっきのスキンヘッドの店員がドンッ!とラーメンを置いた。

おい、おい、親指入ってんぞ。

お腹が警笛を鳴らしそうだったので、その言葉は飲み込み、ラーメンへと齧り付いた。



箸を持ち上げ、口へ運ぼうとすると……



チラッ



少し栗色がかった細い縮れ髪が、箸へと絡みついていた。

俺はカッチーン!ときた。



「おいっ!何やってんだ?!また髪の毛入ってんぞ!真面目に作ってんのか!ボケハゲ!」




「あの、申し訳ありません。店長が作ってまして……どうしてもそれを差し出せと。お客様知りませんか?自分の髪の毛を入れたラーメンを想い人に食べさせると、両思いになれるって話……」



スキンヘッドが頭から滝の様な汗を流しながら、そう話す。



は?想い人?キモい。キモすぎる。



「知らん!ちょっと店長を出せ!!」



俺は腹減りすぎて、腹の虫が収まらないんだ!




「お客様、ワタクシが店長です」



目の前にやってきた店長と思われる女は、栗色の髪だった。



そして、五年程前に別れた元妻だった。




「お、お前!!」




開いた口が塞がらなかった。




「ごめんなさい。あなたがいきなり来るものだから、ついそんな事してしまって」



「そんな事……」



さっきのスキンヘッドの言葉を思い出す。

〝自分の髪の毛を入れたラーメンを想い人に食べさせると、両思いになれるって話〟




そう言えば、昔からこいつは黒魔術やらそんな類が好きだったな。




顔がボッ!と赤くなる。 

こいつはまだ俺の事……




「あなたの事ずっと忘れられなかった。まだ大好きなの!やり直せないかしら?」




その必死な顔を見て、昔みたいに脈動が早くなる。彼女の一途な愛に胸が熱くなる。




「俺もお前の事……」




その時、スキンヘッドが俺らの前に立ちはだかる。



「店長!俺、貴方が好きです!ずっと好きでした!付き合って下さい!!」



スキンヘッドが元妻に右手を差し出して、頭を下げている。



負けずに俺も同じ行動に出る。



「俺もお前がずっと好きだった!寄りを戻して下さい!」




ラーメン店の空気が止まる。

お客全員が三人に夢中になる。





さぁ、どうする?靖子!






「やっぱり、あなたの方が好き!」






靖子が握った手のひらは俺では無かった。






「そっちかーい!」








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