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遺跡調査 - 装置のある部屋

 この魔石ってソルジュ水晶に似てるよねと思いつつパネルのようなものの前に立った。パネルの左右には書き物などが出来るような机がある。

 書類や紙があったが、手に取ると持った部分からさらさらと崩れてしまって読めなくなっていた。


 それでも読めるものがないかと、リルファナとクレアはそれぞれ机や棚を調べている。


 わたしの方は、パネルに何かが表示されたりすることも無い。立っただけでは反応が無いようだ。


 何か無いかとそっと触れると、一瞬だけパネルが点滅するかのように少しだけ輝いた。

 びっくりして手を離してしまったせいか、あまり強い光は出なかったので2人は気付いていないようだ。


 触れた瞬間だけ、魔力を持っていかれたように感じたので、このパネルは魔道具マジックアイテムなのかもしれない。


 このパネルには何か仕掛けがありそうだ。もっと魔力を与えれば動きそうな気がする。


 わたしはマジックバッグから魔力のポーションを取り出してパネルの横の机に並べた。

 魔力が不足しそうなら手を離せば大丈夫そうだし、パネルに魔力を与えてみることにしたのだ。


 一呼吸し、パネルに手を乗せた。


 手を離さないままだとよく分かるが、すごい勢いで魔力を持っていかれている。

 わたしの魔力量はやけに多いし、魔法戦士のスキルのおかげで自然回復も早い。なので、魔力のポーションを飲む余裕はあるけど、一般人が触れてしまったら数秒で魔力が枯渇こかつするのではないだろうか。


 パネルがチカチカと点滅し、徐々に輝きだした。


「ミーナ様?」

「お姉ちゃん?」


 つながった先の魔石も連動しているようで、中央の魔石もほのかに光り出す。さすがに2人も気付いたようだ。


「この板、何かありそう」

「これ?」


 注意しなかったので、クレアがパネルに触れてしまった。

 わたしが触れているから危ないとは思わないか……。


「ん? なんだか一瞬だけ魔力を持っていかれた気がするんだけど……」

「わたしが触れてると、ずっと持って行かれているよ?」


 話してる間にもずっと魔力は吸い取られている。


 クレアが触れても魔力を吸い続けないということは、魔力を全て吸い取らないような安全装置セキュリティでもかかってるのかもしれない。


「ミーナ様でもポーションが必要なほどですの?」


 リルファナもパネルに触れた。

 トリックスターのステータスを考えるとリルファナも魔力はかなり多いはずだ。自然回復スキルは無いので魔力の回復速度は普通だったかな。


「止まるまでに随分と持っていかれましたわ。半分ぐらいでしょうか……」


 しばらくするとリルファナはパネルから手を離し、わたしが先ほど机に置いたポーションを飲み干す。

 その後、自分のマジックバッグからポーションを出して机に追加していく。


「わたくしも手伝いますわ」

「クレアは離れてて。全員で魔力が空になっちゃうと困るかもしれないし」

「分かった!」


 最大値の半分ぐらいまでしか吸われないようだけど、念のためクレアにはポーションで魔力を回復した後は離れてもらった。


 ポーションを飲みながら2人で魔力を吸わせていると、魔石の輝きが強くなっていく。


 ポーションの残りが数本になったところで、ブォンという低い音がしたと同時に魔力の吸引が無くなった。さっきまでは何も表示されていなかったパネル部分も輝いた文字が表示されている。


 そして水晶から何か光り輝くものが飛び出したように見えた。飛び出した何かはこちらにゆっくりと飛んでくる。


「妖精?」


 手のひらよりは少し大きいぐらいの人型で、綺麗な羽が生えている。

 ゲームや物語でよく見るような妖精の姿だった。子供っぽい中性的な顔立ちだが衣装は明るい色のワンピースだ。性別があれば女の子かもしれない。


 こちらに話かけているようだが、何を言っているのか分からなかった。

 言葉が通じないことが分かったのか、妖精は笑顔でこちらに手を振りはじめた。そして徐々に姿が薄くなっていきお辞儀すると消えていった。


 何かお礼されることをしたのだろうか?


「ミーナ様、どうかなさいましたの?」

「魔力の塊がお姉ちゃんの近くまで飛んできて消えたように見えたよ」


 リルファナには妖精の姿は見えていなかったようで不思議そうにこちらを見ていた。

 クレアは魔力を感知していたみたいだけど、姿までは分からなかったようだ。


「何か今見えたような気がしたんだけど、気のせいだったのかな?」


 消えてしまったし、帰ってから話せば良いかな。気を取り直してパネルを確認することにした。


「読めそうだけど前と同じ古代語かな?」

「わたくしも読めますわ」


 カルファブロ様から貰った古代語の翻訳能力は、鍛冶の説明書以外でも読めるようだ。

 考古学者なら欲しい能力ナンバー3までには輝きそうな能力だな。


 浮かんでいる文字を読むと、一番上の行が「再起動完了、魔力の残量20%」となっていた。続いて「照明:オフ、酸素循環:オフ、警戒モード:オフ、ヘルプ、魔力供給、停止」などと1単語ずつ等間隔になるように続いている。


 単語はそのものが書いてあるわけではなく、翻訳機能のおかげでわたしにとって理解しやすい物に置き換わっているような気がする。


「施設のライフラインを操作する装置みたい」

「うーん、読めないよ」


 魔力の供給が終わったことに気付いたクレアが近寄ってきて覗いていた。


 とりあえずヘルプを押してみると、文字列が切り替わった。タッチセンサーの付いたディスプレイのようだ。


 内容を読んでみるとやはりこの施設内の環境を維持する装置のようだった。

 魔力で動作する装置だが空になってしまうと、自動的に触れた生物から魔力を溜めるモードへ切り替わり、一定量溜まると再起動するようだ。


 各項目を押したときの機能も細かく書かれている。

 どの項目もほぼ文字通りの内容のようだが、警戒モードにすると警備員が巡回するようになると書かれていた。彫像リビングスタチューのような物質系の魔物が出てくるかもしれないので押さないほうが良いだろう。


 また魔力供給を押すと先ほどのように魔力を溜め込むモードに出来るらしい。


「魔力の残量20%ってなってるけどどれぐらい持つんだろう?」

避難所シェルターですし、最低限これだけあれば動く数値なのでしょうから数日は持つと思いますわ」

「必要そうならもっと足しても良いかもしれないけど」


 魔力のポーションを連続で飲み続けていたら、1本当たりの回復量が減っていくように感じた。

 武器を作ったときにリルファナと話していた検証が自然に出来てしまったのでラッキーかもしれない。


 そしてわたしの魔力量は思っていた以上に多いことも分かった。

 カルファブロ様の炉を使うと魔力がほぼ空になることを考えると一般人では使えないのではないだろうか……。


「どうやら続けて飲んでいると効率が悪くなるようですので、ポーションがもうありませんわね」

「そうだね。照明ぐらいはつけてみよう」


 照明の文字を押すと、照明機能をオンにするかと表示されたので「はい」を選択する。

 すると、天井が急に明るくなった。


「おお、明るい」

「これならランタンは不要ですわね」

「時間経過が分かるから、灯りはつけたまま持っておいてね」

「そうですわね、分かりましたわ」


 しばらく魔力の残量を眺めていたが減る様子は無かった。少なくとも明日までは持ちそうだ。


「ねえ、お姉ちゃん」

「ん?」

「この灯りって遺跡中にあるよね?」

「うん、多分」

「探索中のパーティの人たち、突然灯りがついて大慌てなんじゃ……」

「あ!」


 わたしたちは照明をつけたことを説明するために急いで戻ることにした。多分、探索中のパーティも戻ってくるだろう。


 出来るだけ急いで遺跡から出ると、テント内から声が聞こえてきた。


「急に遺跡内が明るくなったんで急いで戻ってきたんだよ!」

「ふむ……、ミーナさんたちのパーティが戻るまで待ちましょうか」

「そっちのパーティに何かあったかもしれないなら、探しにいくべきじゃない? 何かトラブルがあったのかもしれないわ」


 クレアの予想通り、右通路を調べていたパーティが大慌てで戻ってきたようだ。


 わたしたちがテントに入ると、そこには知っている顔があった。

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