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最弱職のはずの魔法戦士のわたしが冒険者になりました  作者: 忘れじ草
第2部

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休息 - フェルド村

 夕方になる前にフェルド村に到着した。

 イケメンの加護でクレアの体力が上がっているので休憩時間が短くなっているようだ。


「ただいまー」


 3人で家に入ると母さんが夕飯の支度をしていた。

 料理中の野菜を煮込んだ良い匂いが漂っている。


「あら、おかえり。作る量を増やさないといけないわね」

「手伝うよ、お母さん」

「父さんは?」

「村長さんの家に行ってるけど、そろそろ帰ってくると思うわよ」


 クレアは母さんの横で野菜を切るのを手伝い始めた。

 父さんにアルフォスさんのチームの話でも聞いてみようかと思っていたけど家にはいないようだ。


「母さん、お土産も買ってきたよ。とりあえず醤油とソース」

「そろそろ父さんに頼もうかと思ってたのよ。丁度良かったわ」

「お義母かあ様、ミニエイナで鍋とか色々と買ってきましたわ」


 リルファナがマジックバッグから調理道具を取り出して並べる。包丁、鍋がサイズ違いで3つ、フライパンだ。


「まあ! ありがとうね。ミニエイナは鉱山の町だったかしら、もう別の町にまで行ったのね」

「お母さんは知ってるの?」

「ええ、父さんと結婚した後に連れていってもらったわよ」


 新婚旅行みたいなものなのかな?

 王都まで行って、帰りにミニエイナを経由してガルディアへ、そこから南のラーゴの町へも行ったらしい。


「あー……、父さんは貴族ではなくなったけれど、御両親に挨拶にね。さすがにあれは緊張したわねえ」


 突然2人で来いと父さんの実家から手紙が来たらしい。

 何かやらかしたのかと大慌てで王都まで行ったら息子の嫁を見たかったと言われたとか。


 わたしは調味料を置いたあとはテーブルで休憩することにすると、リルファナがお茶を入れてくれた。



「お、帰ってたのか」


 お茶を飲んでのんびりしていたら、父さんが村長さんの家から帰って来た。なにやら大量に手紙を持っている。


「C級に上がって丁度区切りが良かったんだよ」

「そうか。……ん? D級じゃなくてか?」

「C級だよ。ほら」


 父さんにカードを見せた。


「……まだ2週間ぐらいだよな?」


 3月6日に家を出て、講習を受けて依頼を開始したのは8日。今日は20日なので大体2週間ほどになる。


「そうだね」

「……レダが蜘蛛の件から特別に何かしたとかじゃないよな?」

「裏で何かしてたら分からないけど、ちゃんと依頼を受けたよ!」


 なぜいきなり疑われるんだろう……。


「いや、普通ならD級からC級に上がるのはいくら早くても2ヶ月はかかるはずなんだが……」

「お姉ちゃん、まとめて依頼を受けるのは珍しいってギルドで言われたし、そのせいかもしれないね」

「ほらほら、ご飯も出来たから食べながら話を聞きましょうよ」


 母さんとクレアがお皿を運びはじめる。リルファナも手伝い始めた。


 夕食を食べながらわたしたちが受けた依頼や何をしたか話をする。

 2週間ぶりの母の味は懐かしく感じてしまった。日本の母の味を食べたら泣いてしまうかもしれないなんて思ってしまう。


 冒険の話をするには、クレアは小まめにメモしているので、内容から何をしたかがほぼ分かるので助かった。


 採取依頼なんてまとめて渡してるせいで、わたしはいつどの依頼をしたか覚えてないよ。


 母さんも父さんも娘の話を聞くのは楽しそうだ。

 わたしも聞いている方が楽なので、ちょっとずつクレアに話すのを押し付ける。


「そういえば町で冒険者になった子がいたんだけど……」

「冒険者の最初なんてそんなもんだ。むしろミーナの方が珍しい、どこで学んだんだか……」


 スティーブの話をしている。

 予想以上に思いつきで冒険者になる若者も多いらしい。


「火を吹く蟻がいてびっくりした!」

「あー、フェルド村の森にはいないよな」


 クレアがトレンマ村の蟻退治の話をしていたようだ。

 帰ってから蟻の巣も換金出来るって聞いたんだっけ、忘れないようにしないと。


「お姉ちゃんがツルハシで壊し始めたんだよ!」

「さすがに情緒がありませんわ!」


 その話はもういいです……。


 ちなみにD級でわたしたちがこなした依頼は種類だけで12件。

 採取物や素材などは数が多いと複数件扱いとなる。ちゃんと何件扱いか聞いていないものもあるから、ぴったりではないけれど20件近くは依頼を完了しているようだ。


「そうか。父さんはC級になるのに半年かかったが、これでも早い方だったんだぞ」

「王都のギルドでも話題に上がるパーティだったって言ってたわよね」


 そんなにすごかったんだね。


 あれ、それだとわたしたちってギルド内だと随分目立ってる?

 他の冒険者とは関わりがないから全く気にしてなかったんだけど……。


「ああ、どうだろうな。ギルドの職員は知っているだろうが、ガルディアのギルドは溜まり場にしていると怒られるから、冒険者の耳には入らないかもしれないな」


 父さんに聞いてみたところそうでもないようだ。

 そういえばギルドに長くいたことなかったな。1階のテーブルは無料で休める割に冒険者があまり使っていないのは、長くいると追い出されるせいなのか。


「そうそう、父さんはアルフォスさんたちのチームって知ってる?」

「ああ、4人で作ったチームだ。父さんが抜けてから他のパーティを入れたとは聞いたけど、他のメンバーに会ったことは無いな。気を使ってるのか村に来るときは3人でしか来ないからな」


 そうなんだ。何か知っているかと思ったけれど、情報が無いのはちょっと残念。


「お父さんは神様に会ったことある?」

「父さんは無いな。冒険者ならたまに神の聖域に招かれることもあるとは聞いたことあるぞ。ミレルは女神様に会ったことがあると言っていたが、あれは比喩かな?」


 クレアはズバズバ行くな。

 わたしやリルファナは転生者だからか、どの程度しゃべっていいのか分からなくて伏せていたんだけど。


 その後、神様に会ったというクレアの話を、父さんと母さんは思ったよりも真剣に聞いていた。


 父さんと母さんの反応から、人が神に会うこともありえると捉えているみたい。

 この世界(ヴィルトアーリ)の神様は人との関わりが多いようだね。


「それで、ミーナたちは何日泊まってくの?」

「んー、特に決めてないけど3泊ぐらいはするかな。休日も兼ねてるつもりだし」

「そう、じゃあしばらくは手伝いがいるのね。助かるわ」


 休みのつもりで帰って来たんだけど手伝いにされてしまった。手伝い自体は楽だからいいけど。

 というか必要なのは、わたしじゃなくてクレアとリルファナだよね。わたしは畑に水撒きでもしよう……。


「お父さん、ガルディアにいる間はレダさんの家を借りてるんだけど聞いた?」

「ん、そうなのか。今月はクレアたちが家を出た数日後に町に行っただけでな。まだ会うには早いだろうとすぐ帰ってきた。そろそろ手紙の配達もしないとだから、一緒に行くか」

「うん!」


 父さんが帰って来たときに持っていた手紙を指先で軽く叩いた。


「あら、1人で置いていかれても寂しいし、母さんも行こうかしら。クレアと買い物もしたいわね」

「じゃあ、許可は貰ってるから夜はレダさんの家に泊まっていきなよ」


 クレアがにこにこと返事する。

 町に戻るときは家族で行って、何日か休みになりそうだ。


 そういえば実家のベッドは2つしかないままである。

 今日はわたしとクレアが一緒に寝る番ということになった。3泊すればぴったり交代ローテーション出来るね。


 予定通り3泊することにして、空いた時間はリルファナと情報整理と今後の依頼をどうするか決めた。


 簡単に決めた内容は、別パーティと組む依頼はまだ積極的には受けない。

 ギルドで買った地図に載っている王都、アルジーネの町、ラーゴの町に行ってみたいという程度だ。


 D級依頼の敵のレベルは高くて20程度だったので、敵の強さという意味ではC級でも困ることは少ないだろう。


 そもそもレベル30ぐらいの彫像リビングスタチューがB級なんだよね。

 ガルディアの町ですれ違う冒険者を見ていると魔法職の格好の人が少ない気がするので、防御力の高い彫像リビングスタチューは硬いせいで格上に見られているような気もするけど。


 そんな感じで手伝いをしたり、本を読んだりと村でのんびりとした休日を過ごした。

 たまに過ごすなら良い村なんだけど、ずっといるには何も無いんだよね。


 明日の昼前にはガルディアへ戻る予定。母さんも準備していたので本気で町まで行くつもりみたいだ。

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