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【リルファナ視点】ミーナ様との出会い

 ――選択を間違えましたわー!


 土下座の習慣があるのは聖王国とその周囲の町だけです。これではどう考えても誠意は通じないでしょう。


 わたくしの住んでいたラディス島では観光産業が発達していたため、様々な国の人がおいでになるので稀に見ることはあったのですが……。


「お願いします。お願いします」


 相手がどんな顔をしているのかと思うと、顔を上げられなくなりました。


 でも、ここまでしたらもう引き下がれませんわ!



 わたくしの名はリルファナ・ラディス。……いえ、今はただのリルファナです。


 ラディス家はヴァレコリーナ公国、ラディス島を代々統治する公爵家でした。


 貴族は12歳から14歳の間にパーティに参加するようになり社交界へと入ります。わたくしは12歳の誕生日に高熱で寝込んだことがあり、その際に後遺症が残ってしまいました。

 主治医によると重いものではないが、記憶障害が見られるとのことでした。そんなことはなかったのですけれど、当事者の言うことは受け入れられませんでした。

 

 そのため、社交界へのデビューはぎりぎりまで待つことになり、14歳になったばかりの当時はまだ社交界デビューしていませんでした。


 かといって社交界デビューをしないまま成人を迎えてしまうと、貴族として問題がある者と見られることになり、社交界からは遠ざかるしかなくなります。

 ぎりぎりまで待つとしても14歳と半年ぐらいまでが限界でした。


 社交界デビューを数ヵ月後に控えたころ、お父様とお母様を事故で亡くし、一人娘だったわたくしはラディス家の当主として領地と当主の地位を引き継ぐことになってしまったのです。

 未成年のわたくしには後見人が必要です。お父様の弟である叔父様に頼み、これからというところで新たな事実が浮上しました。


 お父様が個人的に借金をしていたということでした。しかし、そんなことありえませんでした。

 借りた相手がお父様を目の敵にしている派閥の者だったのですから。


 しかし、お父様の筆跡入りの借用書もしっかりと用意されており、無視することも出来ません。また個人的な借金のため、領地の運営資金から出すわけにいきませんでした。


 結果、借金が返せずわたくしは知的奴隷に落とされることになってしまいました。


 叔父様が色々と裏で手を回してわたくしを守ろうとしてくれたのですが、これが仕組まれたことだと気付いたときには手遅れだったのです。



「ふん、順調か。手はず通りにしておけ」

「ええ、張り切らせていただきますよ、お得意様ですからね」

番犬・・がうるさいから外に出すなよ」

「ふむ、それでは輸送も必要ですかな」

「『幸運』のラディス家だからな、いつも以上に気をつけろよ」


 目つきの悪い男に強引に連れられて、潰れた蛙のような顔と声をした奴隷商にわたくしの身柄は引き渡されます。

 『幸運』のラディス家というのは家についた呼び名のようなものと言えば良いのでしょうか。ラディス家の代々の当主は、何か問題が起こってもそれを跳ね返して有り余るほどの幸運に恵まれることが多かったのです。

 それは、幸運の女神に守られているとまで言われるほどでした。


 その呼び名も、わたくしの代で終わりでしょうけれど……。むしろ、『不運』へとかわってしまうかもしれませんわね。


 その後、最低限の家具の揃った狭い部屋へと入れられ、外から鍵をかけられました。

 外からは扉についた格子を覗き込まないと見えない構造で、お風呂はありませんが、トイレは横の別室です。何着か壁際に奴隷用の貫頭衣がかけられていました。ここに連れてこられるときにつけられた『隷属の首輪』がとても冷たく感じました。


 しばらくは奴隷としての振る舞い方、それから奴隷の権利や義務などを勉強するのだそうです。これは奴隷商としての義務であり、怠ったことが分かるとまずいことになるのでしょう。

 勉強自体は貴族としての様々な勉強にくらべれば簡単な内容ですから、特に問題はありません。試験などがあるわけではありませんし、分からなければ分からないで教えたという事実があれば問題ないのでしょう。


 家では就寝時を除けば誰かしらすぐそばにいる生活でした。お父様とお母様が亡くなってからは、より一層、専属の家政婦メイドたちはわたくしを気にして一緒にいてくれました。


 そのせいか、勉強の時以外は部屋から出られず、話相手もいないことが一番辛かったです。食事は朝と晩の1日2食で、皮をむいたお芋などの野菜とコメという作物を一緒に煮ただけの雑な物、量だけは多いので味に我慢すればお腹はいっぱいになります。お風呂は2日に1回お湯で身体を拭くだけの生活が1週間近く続きました。


 多分、わたしを連れてきた男が言っていた番犬というのは叔父様のことです。万が一を考えると無碍に扱うことは出来ないでしょう、これでも奴隷候補としては随分とマシな扱いなのだと思います。


「移動するぞ」


 深夜に奴隷商がやってきてそう言いました。


 わたくしは奴隷を運ぶ馬車にひとり押し込められると、町から町へと何日もかけて移動させられました。


 今、どこを走っているのかも分かりません。

 これだけ長い間、移動したとなるとヴァレコリーナからも出てしまっているかもしれません。


 わざわざ深夜にこそこそと出発したのは、叔父様がわたくしを買い戻すために捜索してくれていたのでしょう。今ではその望みも薄れてしまったと思います。


 運が良かったのは御者さんが親切だったことでした。

 足が付かないように奴隷商に雇われただけで詳しいことは知らず、普通に奴隷の運搬だと思っているようです。何故こんな遠くまで1人だけを運ぶのかとは思っていたようでしたが。


 2週間後に到着した町では、いつもと違いました。

 普段なら安宿に泊めていただけたのですが、その町では馬車ごと別の御者に引き渡されたのです。


「元気にやるんだよ」


 親切な御者さんはその言葉を残して去っていきました。


 そして、そのまま町を出発し2日後、次の町で馬車を降ろされました。

 新しい御者の男は最低限しか話そうとしませんでした。朝晩の食事は出ますし、完全に無視されるよりはマシなのかもしれません。


「はあ、面倒なことにならないでしょうな?」

「指示通りにやれば問題ない。そもそもお前がやったことなど記録に残らないだろう」

「まあそうですが……。今回だけですよ?」

「ああ、謝礼もこれだけ用意してある」


 今度は、潰れた鼠のような顔をした男が、わたくしの『隷属の首輪』を外し、別の『隷属の首輪』に取り替えたのです。

 わたくしの見ていないうちに一瞬で行われたため、何の必要があって付け替えたのか、このときは分かりませんでした。


「さて、胸糞悪いがこれも仕事か……」


 御者の男は、近くの奴隷を運ぶ馬車の御者と何かしらの交渉をしたようでした。

 わたくしは、交渉先の馬車に乗せかえられました。その馬車には男女の2人が乗っていました。


 馬車での長旅と、話相手のいない状況に精神的に疲れ果ててしまい、わたくしは話す気力も無くなりつつあり、ただ黙って座っていました。


 そして12歳の高熱を出したときに、女神様の聖域へと招待されたときのことを思い出していました。


 女神様は最後にこう言ったのです。


「これは予言です。冒険者になりたいという人に出会ったとき、救いと真実を願うならば、その人を頼りなさい」



 ――登録が愛玩奴隷になっている。


 あの、潰れた鼠顔の男が付け替えたのは、首輪の種類だったのです。


 ……これは非常に面倒です。


 知的奴隷なら借金を返し解放されることはさほど難しくありません。


 偽造されたと思われる借用書も個人で借りたことにするためか、そこまで大きな額ではありませんでした。もちろん、解放されるには奴隷として5年は働く必要はありますし、自分を買い取るお金も必要です。それでも、時間はかかるでしょうが、いつかは解放されると思えば頑張れます。


 一方で、愛玩奴隷はあまりお金が稼げないことが知られています。


 好みの相手を買った主人が、わざわざ奴隷を解放したいと思うのは、本気でその奴隷と結婚したいと思ったときぐらいなのだそうです。


 正妻が出来たなどの理由で手放すなら、わざわざお金を払って解放するより奴隷商に売り払えば良いのですから。

 その頃には情も湧いて、家政婦メイドのような扱いで残す方もいるようですが、それが良いことかは奥様の性格次第となりますわね。


 ――目の前の女性がわたくしを引き取る権利を有している。


 そう思った瞬間に誠意を見せるために咄嗟に土下座してしまいました。ここは聖王国でもラディス島でもありません。逆効果にしか思えない失策です……。


「わたし、これから冒険者登録しようかと思ってるんだよね」


 その一言で、この方が女神様が言っていた人だというのはすぐに分かりました。


「武器とか魔法は使える?」

「護身術程度ですが短剣やクロスボウは使えます。魔法も魔力はそれなりにあるので覚えれば使えると思います」


 本当は護身術で短剣を習ったこと以外は嘘です。

 でも何故か言う必要のないことまで口から出てしまいました。ここで嘘だったと言っては悪印象を与えてしまい元も子もありません。


 その後は妹さんと小声で相談しているようです。よく聞こえませんでしたが、「父さん」という単語が聞こえたので未成年なのかもしれません。


 ……これは絶望的ですわね。


 奴隷の衣食住の費用は主人持ちなのですから未成年では養えないでしょう。

 この方の両親が豪商なら話は別ですが、ウルフの亜種を倒す腕があり、冒険者になりたいと言っている以上、商人の娘である可能性は限りなく低いです。


 そもそも先ほどの質問などから、わたくしを引き取ろうという意志を感じませんでしたもの。


「……分かった。引き取るよ」


 え?


 どういうことでしょうか。女神様への願いが通じたのでしょうか?


 その後はトントン拍子で契約が進み、わたくしはこの女性の奴隷となりました。


 その際に、わたくしの首にかかる『隷属の首輪』を見ると嫌そうな顔をして、腕輪タイプへと変更していただきました。腕を切って逃げるかもしれないという忠告を受けた上での選択です。

 逃げても良いという判断としか思えません。やはりかなり迷惑をかけてしまっているのでしょう……。


 奴隷契約の種類を変えるのは違法です。前の町で愛玩奴隷の『隷属の首輪』をつけさせられていたため、そのままになってしまいました。

 ご主人様は女性ですが、女性を好む方だったら、そちらは諦めるしかありません。



 わたくしのご主人様になった方はミーナ様、妹さんはクレア様という名前だそうです。


 ミーナ様は、アイスブルーの髪とエメラルド色の瞳を持っており、控えめに言っても美人でした。社交界のデビュー前、礼儀作法などの練習につきあって頂いたどの貴族令嬢よりも圧倒的に。


 クレア様は綺麗な赤い髪と丸い茶色の瞳で太陽のような可愛らしい方だと思います。話す気力の無い、わたくしに気を使って手をつないでくれる優しさも持ち合わせているようです。


「とりあえず服屋でも探そっか。リルファナをその服のまま連れ歩きたいとは思わないし」


 そう言って、わたくしを服屋へ連れていってくれました。

 服も最初の馬車に乗せられてからずっと着替えられず酷く汚れていますし、最初の親切な御者さんと別れてからは身体を拭くこともできなくなり、今では髪も肌もかなり薄汚れていました。


 ミーナ様は何着もわたくしに服を買ってくれました。

 2着ぐらいは必要だと思いますが、まだ何もしていないわたくしにこれだけ買ってくれたということにびっくりです。


 エルフの店員さんは、わたくしの汚れが気になったのか店の奥にあったお風呂で身体を拭かせてくれました。


 ただなにやら勘違いしているようで、なんだかとても破廉恥な服を着させられたりもしましたが……。


「愛玩奴隷を買うご主人様っていうのは、こういうのが好きなんですよー」


 と店員さんは自信満々でした。

 ミーナ様が着ろというなら恥を耐えて着させていただきますが、せめてミーナ様以外の人の目は無いところだけでお願いしたいですわ……。


 わたくしの格好を見たミーナ様も目が点になっていました。まともな感性を持った方でほっとしました。


 昔、読んだ奴隷を買った裕福な冒険者の話をえがいた小説のような展開でしたわ。


 わたくしがエルフの店員さんにコーディネートさせられている間に、クレア様の服を選んでいたようです。ミーナ様はまとめて服の支払いをすると、冒険者ギルドに向かいました。


 手紙の配達と冒険者ギルドへの登録がミーナ様の用事だったそうです。

 成人後に村を出ると思うと言っていたので少し先ですが、これから一緒に冒険することもあるのでしょう、わたくしも登録させられました。


 ところで、ミーナ様は冒険者登録する前から迷宮ダンジョンに潜っているのでしょうか?


 冒険者ギルドに登録したばかりという割には随分とお金を持っているようです。何かあったら困るだろうとわたくしにも金貨1枚をぽんとくれました。


 何度か食事が出来る資金があれば、もし、ミーナ様とはぐれてしまっても冒険者ギルドで待てば大丈夫でしょう。合流出来なかったとしても、受付の少女がミーナ様の知り合いのマルクさんという方を知っているようなので、ご主人様とはぐれてしまったと聞けば教えてもらえるでしょうし。


 その日の夕飯は宿屋でピッツァを、ミーナ様とクレア様とシェアして食べました。


 ミーナ様もクレア様もわたくしのことは奴隷として扱いたくないようです。良い方に拾われたと思います。


 ミーナ様にも女神様にも感謝しかありません。


 ただ時折、ミーナ様がわたくしの胸を見て悔しそうな顔をしているのは気になります。

 ミーナ様も普通よりは大きいぐらいで、小さくはないですわよね……?


 それにミーナ様は町を歩いていても、時々、男女問わずすれ違った方に振り返られているぐらい美人なのですが、本人は何で自分が見られているのか全く自覚が無いようです……。


 見られるたびに何でだろうと首を傾げておりますもの。



 ご主人様たちは、近くにあるフェルド村から来たという姉妹でした。

 町がはじめてということで、わたくしも知っていることを出来る限り教えます。


 ラディス島では、社会勉強や視察という名目であちこちの店を歩き回ったこともありますし、冒険者や商人が使う宿に宿泊した経験もあります。


 ……供をする家政婦メイドや護衛は数人いましたが、とても楽しかったですわね。


 あの頃と違うのは、わたくしが教える側ということですわ!


 わたくしを引き取るという迷惑をかけたのですから、出来る限りのことはして恩を返したいと思います。


 これだけ良くして頂いているのですから失敗は許されません。


 町の滞在中、本屋さんでいつも読んでいた本の新刊を買いました。リュックやポーチ類を買っていただきました。女神様にお礼をしたかったので要望した教会にも付き合ってくれました。短剣やクロスボウ、短刀も支払っていただきました。


 ――恩を返すどころか、どんどん積み重ねられている気がしますの。


 フェルド村に帰る予定の日。


 雨が降ってしまい宿屋で待機することになりました。

 そういえば昨日、冒険者ギルドで鑑定紙をいただいたのでした。多少は時間を潰せるかもしれません。


 ……ミーナ様もクレア様も将来有望な冒険者になりそうです。


 鑑定紙の鑑定結果は自分でしか見ることが出来ないように作られています。

 奴隷のステータスを知ることは主人にとっても有利なので、普通は全て言えと命令します。強く命令されると『隷属の首輪』の効果によって服従を強制され黙っていることは出来ません。


「リルファナの好きにしてくれればいいよ。リルファナなら伝えた方が良いことは言ってくれるでしょ?」


 そのことを告げてもミーナ様はわたくしに伝える内容は任せると言いました。


 ミーナ様って美人だけど、たまに男前でかっこいいのです。なんだか頬が熱を持ってしまいましたわ。


 でも、そう言われてしまうと、鑑定結果を言いにくくなってしまいます。

 というよりどう伝えれば良いのか分かりませんし、きっと信じてもらえないでしょうから。


「でも、あのすごい技を使えるならそれぐらいの強さが必要ってことなのかな?」

「すごい技ですの?」

「あ!」


 クレア様の反応から秘密だったのでしょうか。


「剣に魔力を流して属性を付与するんだよ」

「…………魔法剣…………ですの?」


 ふと思い当たる単語を口にすると、ミーナ様は目を見開き、わたくしに知っているかどうか問いました。


 これは伝えるのが難しい問題のひとつです。

 たまたま昔読んだ本に似たような能力が載っていたのを覚えていたので、それを教えることにしました。



 午後は雨が止みました。

 図書館に行ってみようということになったのですが、その帰り道にわたくしはまたミーナ様にご迷惑をかけてしまいました。


 折角買っていただいたお洋服を汚してしまったのです。


 ただの水ならまだ良かったのですが、商人の馬車や遠征から戻った騎士様の乗る馬が通ったのでしょう、付近の水溜りは泥が混じっていました。


 ――運が悪いです。


 今度こそ頑張ろうと思うと嫌なことが起きる。わたくしはいつもこうなのです。


 親切にしてくれた方の期待を裏切ってしまうのです。


 お父様も、お母様も、叔父様も、ミーナ様も……。


 どこが『幸運の』ラディス家なのでしょうか。

 それとも神様はわたくしが違う(・・)ことをご存知でわざとそうしているのでしょうか……。


 うう、宿に戻ってからもしょんぼりとした気分は晴れません。

 ミーナ様とクレア様も気にしていてくれます。これではいけないとも分かっているのですが。


「気負い過ぎだと思うから、適当でいいんだよ」

「あ……」


 ミーナ様に言われました。


 ……アイスブルーの髪色、エメラルド色の瞳の少女。……なんだか昔にも、こんなことがあったような?


 しかし、ミーナ様の髪色は非常に珍しい色なので、知り合いにはいません。

 色々な記憶が混じっただけの既視感というやつだと思います。


 ベッドに入ってからも、もっとずっと昔のことまで思い出して涙がこぼれてしまいます。


 もうここ(・・)の生活にも慣れてきて、諦めて忘れ去ろうと思っていたことでしたのに……。


 気付いたミーナ様が、わたくしのベッドに入ってきて抱きしめてくれました。

 まだ出会って、たったの3日ですのに、なんだかすごく安らぎを感じて、自然に眠ってしまいました。



 ――翌日


 今日は晴天です。

 昨日泣いたせいか、心も少しすっきりしました。目も腫れてはいません。


 フェルド村まで歩いて行く準備をするために荷物の整理をしましたの。

 重いものはミーナ様のマジックバッグに入れて貰います。


 リュックサックからひらりと羊皮紙が一枚、落ちました。昨日の鑑定紙です。

 確認後は使用したかどうかが紛らわしいので処分してしまうのが一般的なのですが、ミーナ様が村に帰ってからということでリュックサックに入れっぱなしでした。


 これも冒険者として活動をはじめたらミーナ様に説明しなければなりませんわね。

 ふぅとため息混じりで拾おうとした、わたくしの目線の先にはこう書いてありますの。


 ――テレネータの加護、フィメリリータの加護。



 ――トリックスターの才能(継承:忍者クノイチ)。固有技能:聖者と悪魔。裁縫師の才能。薬剤師の才能。



 ――還りしもの。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ラディス家はヴァレコリーナ公国、ラディス島を代々統治する公爵家でした。 ↑ 公国の公爵家、君主は大公か公王なんでしょうか(´・ω・`) 別に没落したわけでもない島を丸ごと治める名門公爵家の…
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