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調査終了

 気付くと宝箱のある部屋に戻っていた。ミレルさんの後ろから宝箱を覗き込もうと女神像に触れたんだっけ。


 ミレルさんとジーナさんが宝箱の中身を回収している。


 ……時間が経っていないっぽい?


 宝箱の中身を回収し終わり、ミレルさんの先導でダンジョンから外に出る。わたしたちが戻ってきた階段付近は上から光が射しているが、奥の方は暗くなっていた。


「崩壊したか」

「確認しておきましょう」


 ダンジョンの壁になっていた棚などが全て消滅している。ダンジョンが攻略され消滅することを崩壊と言うらしい。

 何度攻略されても残り続けるダンジョンもあれば、今のように一度の攻略で消えてしまうものもあるとか。


 アルフォスさんがランタン型の灯りの魔導機を使うと広範囲が照らされる。普通のたいまつやランタンより便利らしい。


 ダンジョンが崩壊して本来の姿に戻った地下は倉庫に使われていたようだ。ほとんどの物が外に持ち出されたのか何も無い。

 石造りのだだっ広い空間で、一角は地上部分が崩れたのか土砂が入り込んでいる。


 ミレルさんが奥の方の壁が隠し扉になっていることを発見したが、その先は崩壊した通路と反対側に小部屋があっただけだった。もちろん何も無かった。


「丁度この上も崩壊していた場所ね。地下が老朽化か、なんらかの影響で根元から一気に崩れたみたいね」

「掘り返す必要はありそうか?」

「最近になってから崩れた跡がある。掘り返しても多分無駄」

「なら報告だけでいいわよ。休憩したら外も確認しておきましょう」


 アルフォスさんたちは崩壊部分までは調査しないことにしたようだ。


 地下の調査も終わり、次は建物の外を回ることになる。



 階段を上がり、外に出る前に休憩することにした。少し遅めの昼食だ。


 みんな自分のカバンから干し肉とビスケットのような携帯食を取り出して食べ始める。わたしの分は父さんの背負いカバンに入っていたようで父さんから渡された。


 ……干し肉は塩漬けのジャーキーという感じで、あんまり美味しいものではなかった。


 保存優先で塩気が強すぎるし硬い。ビスケットも食べれないほどじゃないけどぱさぱさで堅かった。水で流し込んで無理やり食べた。


「なんでこんなもの用意したんだ?」

「ミーナちゃんは初めての冒険だろうから、初歩的な物が良いかと思ったのよ」 

「なるほど」

「1食ぐらいだったら良いだろ。……こういう飯も懐かしいな」


 干し肉をかじる父さんやアルフォスさんの言い方から、もっとマシな携帯食料もあるようだ。

 さすがにこれを何日も食べるのはつらいね。


 昼食が終わると、扉から外へ出る。


 すぐ近くに建物の痕跡である壁が残っているが、中には何も残っていなかった。

 地下室があるような形跡も無いようだ。石床は雨ででこぼこになっているし、苔むしていた。


「植生は村の南の森に似てるな」

「村からあまり離れた場所じゃない」


 木や草を眺めていた父さんがつぶやく。転移時の太陽の位置や気候的な変化がほとんど無いなどの理由からミレルさんが同意した。


 フェルド村の南の森は広く、隣国の境界線近くまで続いている。

 外周部は調査されているが、内部については魔物や植生に危険がありそうか程度で大雑把にしか調査されていないらしい。


 夕方ぐらいまで教会を中心にして付近の森を探索をしていたが、特に目ぼしいものもなく村へ戻ることになった。



 村に戻ると見つけた金貨やマジックアイテムの分配をすることになった。


 家に戻るとミレルさんが鑑定するという。ミレルさんは昨日、金貨を調べていたルーペを取り出した。


 ルーペに魔力を流すことで鑑定できるマジックアイテムらしい。


「指輪はSTR(筋力)が1つ。残りは能力無し。マジックバッグは小と大。剣はINT(知力)だった。剣ははずれ」


 ミレルさんが次々と鑑定している。装備に付与される基本ステータスはあるんだね。


 『セブクロ』のマジックアイテムにはランダムで数値が付くので当たり外れが大きい。

 剣は前衛職が使うことが多いのでSTR(筋力)VIT(体力)が無難だ。


 職業がどうなってるのかいまだに確定していないけれど、わたしが魔法戦士ならINT(知力)でも有効的に使えると思う。


 マジックバッグは見た目以上に収納出来るアイテムだ。形状も容量も色々あって、今回はどちらも腰のベルトにつけられるポーチ型だった。

 

「俺たちには不要品ばかりだな。せっかくだしミーナちゃんが使うか? 剣のサイズは丁度良さそうに見えるぞ」

「いや、さすがに何もしてないのにそれは悪い」


 父さんが勝手に断りそうだ。冒険者になることに前向きになってきたので、いらなければ欲しいんだけどな。


「報酬は人数割が俺たちのルールだろ。代わりに金貨を多めに貰うさ」

「ん、中途半端なマジックアイテムは換金するのもめんどくさい」

「そうね、指輪やマジックバッグは村で生活するにも使えるわよ。それに当たりの宝箱を見つけたのはミーナちゃんよ」


 アルフォスさんたちは、全面的にわたしに押し付けたいようだ。


「ミーナはどうする?」

「貰えるなら欲しいけど、値段が分からないからなんとも」


 父さんが聞いてきたので素直に答えた。


「剣はC級クラスのマジックアイテムで、付与効果が微妙だから大金貨2枚ぐらい」

「マジックバッグと指輪付きで全部引き取ってくれるなら大金貨4枚ってところでいいわよ」


 生活費と考えると大金だけど、マジックアイテムってもっと高い物じゃないのかな?


 ダンジョンがあちこちにあるのならマジックアイテムというだけなら大した価値がないのかな。それとも金貨がたくさん手に入ったから思考が麻痺してるんだろうか。


「あと金貨が31枚ある。大金貨とほぼ等価だからミーナは装備の分引く」

「さすがに金貨もだと貰いすぎだと思うんだけど」

「俺とミーナはほとんど何もしてないから少なくていいぞ」


 戦ってたのはほとんどアルフォスさんたちだし、人数割は貰いすぎだと思う。父さんも同意する。


「ジーナも言ったけど、宝を見つけたのはミーナ」

「面白いものも見せてもらったしな」

「そうね、それに差をつけようとするとなかなか決まらないからやめようって話は昔したでしょ」


 アルフォスさんたちのルールでは貢献度などで差をつけるのは逆に面倒ということかな。


 結局は遠慮してる父さんの方が折れて人数割と決まった。


 わたしは剣、マジックバッグ2つ、指輪と金貨3枚を貰った。アルフォスさんたちと父さんは金貨7枚ずつだ。


 この金貨は大金貨1枚分ぐらいの価値だとミレルさんに教えてもらったが、大金貨1枚あればそれなりに良い宿屋で1ヶ月は暮らせると聞いたのはしばらく後の話だ。


 食器やドロップ品の細かい物については町で換金する必要があるそうなので、探索装備を準備してくれたアルフォスさんたちで換金して使ってもらうことになった。


 後で受け取るのも面倒だしね。


「付与効果の詳細とかって分かりますか?」

「それは無理。大体等級で効果は決まってる。指輪はD級だったから無いよりマシ程度」

「指輪も右手と左手で1つずつまでにしてね。2つ以上身に着けても付与効果の魔力が喧嘩して打ち消してしまうわ」


 武器の数値を知りたかったんだけど、ミレルさんに無理だと言われた。確かに付与される数値の幅は決まっているけれど、ブレはあったと思うのだけどな。


 わたしは(まだ)冒険者ではないので、マジックアイテムについて知らないと思ったのだろうジーナさんが補足してくれた。


 帰ってきたことに気付いた母さんがアルフォスさんたちの分も夕飯を作っていた。アルフォスさんたちは夕飯を食べてから村長の家に帰っていった。


 明日は父さんも含めた4人で森の探索するらしい。わたしは森の探索では役に立てないと思うので断った。

 稽古だけなら周りに人がいなければ貰った剣を使っても良いと父さんに許可を貰ったので明日は少し素振りでも試してみようと思う。


 ……冒険者として活動するなら探索のためにシーフ系のスキルが使える人が必要そうだね。


 自分で取得できれば楽なんだけど、出来るのかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] これからどうなるのかと、わくわくしながら読んでいます。これから出てくるかも知れませんが、暗い面もなく、この家族が幸せになればいいなと、願います。
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