惚気?
GW入る前の会話になります。次こそGW
ちょい短め
『治った』
そんなLIMEが来たのは風邪をひいてから二日後だった。俺の読み通り、安静にしていれば二日ぐらいで治るんじゃないか?と言ったが本当に治ったらしいので、きちんと言いつけを守ってくれたようだ。
立て続けに彼女から通知が送られてくる。
『ノート見せて』
『全部』
『学校行った時でいいから。後、学校一緒にいこ』
『五十分にエントランスね』
ポンポンと業務連絡が飛んできた。俺は一括して「分かった」とだけ送り、壁掛け時計を見やる。時刻は七時三十七分。朝ごはんを三分で済ませれば全然間に合うのでさっさと用意を済ませることにした。
「遅れてないよな?」
「ん、大丈夫」
「結構遅くに起きたから焦ったわ……」
「ご、ごめん。急かすつもりはなかったんだけどね」
「いやいいよ」
待ち合わせ時刻より三分早く着いたのにも関わらず、ふゆはそれより先に来ていた。いつもはストレートにしているふゆが今日はハーフアップにしてきた。どちらにせよ可愛いので目の保養になる。
そもそも、きょうはHRと全校集会をして終わり、という形だ。なぜなら、明日からはゴールデンウィークで長期、とまではいかないが休暇がある。勿論、宿題も出るらしいが、そこまで多くないと踏んでいる。
「にしても午前だけってのも嫌だよなぁ」
「そうだね。でも、午後はなくなっていいじゃん」
「まぁそうなんだけどさ」
少しばかり悪態をつくも、ふゆの考えにまぁそうか。と考えが変わる。
ガタゴトと電車に揺られながら数十分。学校の最寄りにそろそろ着くので、うとうととしているふゆを起こしてやる。
「ふぇ?」と言う可愛い声とともに目をうっすらと開ける。目はトロンとしており、とてもエロ……可愛いので思わず心臓が跳ねる。正直、無意識に行われるえげつない行為は俺の心臓がもたないのでやめて欲しい。ホントはずっと見ていたいけれど。
「おいおい……フラフラじゃねぇか。昨日何時に寝たよ」
「昨日は……一時。風邪治った〜って思ってちょっとだけ夜更かししてたらさ……ふぁぁ、眠い」
「そりゃそうなるわな……夜更かしは美容の天敵じゃなかったのか?」
「そうらけど〜」
少し呂律が回っていないが、誰しも寝起きに話しかけられると自分でも何を言ってるか分からない時があるのと一緒だと思う。多分それだ。こうなると自然に治ることを待つしかないので、こればかりは放っておくことにした。
「やっと終わった〜〜!」
「抜かせ。たがが十五分じゃねぇか」
「それが長く感じるんだよそれが」
口許を緩め、涼介がニマニマと笑う。俺は待つことに慣れているから長く感じないだけかもしれない。
「いや〜、にしても校長の話とかなんも頭に入ってこねぇわ。強いて言うならGW中の注意喚起だけかな」
「それに関しては確かにわかる。堅苦しいんだよな。校長」
共感を得ると、「だろ!?」と笑顔でこちらを向いてくる。妙に爽やかなのが憎たらしい。
「やっぱ持つものは似たもん同士だな」
「どういう意味だよ」
「そのままの意味だ。お人好し」
「おまっ、は?」
「どうせ誰かさんの看病でもしてたんだろ?誰かさんの」
涼介はわかっていると思うが敢えて言わず、俺をからかってくるので二の腕を小突いた。
「にしても、お前がお人好しってのは納得いかんな」
「そうか?あぁ、彼女いるからそう感じるのかもな」
「さらっと自慢してくるなさらっと。シバきたくなる」
そんなことを言っていると、涼介の彼女が人混みの中からばあっ、と現れた。彼女は少しスキンシップが独特なので初対面の人はビックリするに違いない。俺や涼介はもう慣れているものの、急にやられると変な声が出る。
「涼〜〜!」
「うおっ、急に抱きつくなって!」
「あー、はいはい。お熱いことで」
「いや割とマジで助けて」
「そんなこと言ってホントは嬉しいくせに〜〜」
俺は涼介とその彼女──真希を見ていて胸焼けを起こしそうだ。正直こんなカップルはもう少し自粛して欲しいものである。
「そいえば、和仁は彼女作らないの?」
「えっ、俺?今のところはねぇかな……」
「こいつ、そんな事言って狙ってる人いるんじゃねーの?」
ニヤニヤしながら真希とグルになるので「抜かせ」と涼介にデコピンをするだけで済ませた。
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