同伴!…と不安
こっちの方をメインにしたいと思います。もう一作の方はサブで。
ちなみにここで看病、病院編は終わりです。
次は五月ですね〜
「何科がいいと思う?」
俺らは近くの病院に来ていた。そこそこ大きい病院で、とても便利だ。かくいう俺も風邪をひいてはここに来ていたものだ。
ふゆは引っ越したばかりなので、ここに来るのは初めてだろう。
「あー、まだ十代だし、小児科でも見てくれるだろ……小児科にしとけ」
「ん、分かった」
受付で「小児科でお願いします」と言うと書類を一枚挟んだファイルを渡され、「二階にお上がりください」と言われた。
「ふゆ、エレベーター使うか?」
「うん……まだちょっとしんどいかな……」
「そりゃ風邪ひいてるからな。無理すんなよ」
「ん、ありがと」
二階の小児科の受付にファイルを出すと、「問診票と熱計ってくださいね」と言われた。流石に個人情報が書かれるので目は逸らしておく。ピピッと体温計が鳴った。
「……三十七度二分か。だいぶ下がったな」
「うーん、それでもちょっと倦怠感が抜けきらないね……」
「じゃ、俺が出てくるから、じっとしてろ。あ、勿論中身は見ないよ!?」
「和仁くん優しいからそんなこと出来ないと思うなぁ」
「……この数週間でよく分かっていらっしゃって」
お願いしますと出すと二番目に呼びますね、と言われた。
十分ぐらいして、ナースが「尾崎冬夏さーん?」と呼んで来たので「俺はここで待ってるから」と囁いて送り出した。
にしても、春に風邪か……季節の変わり目まではまだ少し期間があるし、日常的に風邪をひくようなことをやってたのか、と推測した。俺もよく風呂上がりにパンツ一丁でドテドテと走り回って親に怒られたことを思い出す。
もしかしてふゆも風呂上がりにずっと際どい格好でいたのか、と想像すると……ってふゆがしんどい思いをしているのに何考えてんだ俺。平常心平常心。
少し悶々としながら待っているとふゆが帰ってきて少しビクッと体を震わす。
「お、おかえり。どうだった?」
「ただの風邪だって。薬出しとくからって言われたよ」
「そ、そうか。まぁインフルエンザとかじゃなくて良かったな」
「……?この時期にインフルエンザかかる人っているの?」
「えっ!?いや、俺の友人がかかってたからな〜!かかる人もいるんじゃないのか?!」
「妙に慌ただしいけどどうしたの? もしかして和仁くんも熱?」
ふゆが片手を俺の膝に置いてもう片方の手を俺の額にピタッとくっつけてくる。顔が結構近いので、髪の毛のいい匂いがしてドキドキしてくる。
「ほら、顔赤いよ?診てもらったら?」
「い、いや俺はいいよ。保険証や診察券もないし」
「そう?なんか変な和仁くんだなぁ」
俺がふゆにドキドキしていると横からナースがこれ持って一階の受付に出してきてくださいね、と言ってきた。突然喋りかけられたので驚くが、平然を装って「ありがとうございます」と言う。
「ほら、行くぞ」
「う、うん。」
俺は先程の羞恥心を隠すようにふゆの二歩先を行く。ふゆは流石にもう手を繋がなくても歩けるぐらいには回復していた。
俺たちは言われた通りに受付に行って処方箋を貰ったが、院内には薬局がないので、院外の薬局まで出向くことにした。
「私さ……何日ぐらいで治ると思う?」
「さぁ……ふゆが安静にしていたら二日ぐらいで治るんじゃないか?」
「ぬぅ……授業遅れる」
「休んだ分のノートとかは俺の見せてやるから安心しろ。看病とか必要ならまた連絡してくれれば行ってやるよ」
「そっ……か。ありがとね。何から何まで」
「いいって、両親出掛けてるんだろ?」
「……一応」
俺はふゆの言葉に少し疑問を抱くも、他人の家族の情勢に口出しすることではないと思い口を噤む。
薬が五分くらいでできたので、ふゆを連れて帰ることにした。
俺はまだけほけほと咳込むふゆを気遣いながら歩いていた。病院と家はそんなに離れていないので十分もかからずに家の前の交差点に差し掛かった。
「……まだしんどいよな」
「うん、でももうすぐ家だから。大丈夫だよ」
彼女が咳込みながらいうのであまり説得力はない。まぁ、薬飲んでマシにはなると思うから心配する必要はあまり無さそうだが。
信号が青になったので渡ろうとするも前に行けなかった。ふゆが俺の服の袖をぎゅっと掴んでいたからだ。
「どうした?大丈夫か?」
「……うん、大丈夫。それより、えと、その……」
「ん?」
「今日……は、ありがとう。いつかお礼するから」
「いやお礼なんていいよ。俺が好きでやってることだし」
「でも……!」
「どうしても、ってんなら安静にしといてくれ。俺はそれだけでいい」
「……そっか」
彼女は少し寂しそうにしたが、お礼されるなんてそんな柄じゃない。そもそも、俺に連絡を寄越した時に拒否らなかった時点で俺の良心が働いただけなのだから。
「ま、ちゃんと安静にしてろよ?じゃないと泣く」
「分かった。……またね」
彼女は何か言いたげだったが、俺は振り切るようにしてエレベーターのドアを閉めた。
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