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手料理!

「今日、家来ないか?」


 そういって誘ったのは和仁の方からだった。もっとふゆと仲良くなりたい、とか気になることを解決したい、という感情から来たものだ。

 ふゆは「いいんですか?」と遠慮がちに聞いてくるが、俺から誘ったのだからいいに決まってる。


「私、なにかしましょうか……?あ、料理とかなら出来ますけど……」

「料理出来るの?すげぇな」

「いえ、母親に教えて貰ってるので……それほどでもないですけど」

「いや充分すげぇよ。じゃあ、夕ご飯作ってもらおうかな。でもそれだと不公平だよなぁ……」

「私は和仁くんの家に行けることだけでも嬉しいので、何もなしでいいですよ。和仁くんと仲良くなりたいですし」


 俺はよかった、と安堵の息を漏らす。彼女に嫌われていたりしたら元も子もないからな。まぁ、強引だったとはいえ、手を繋いだ時点で嫌がらなかったのは決定的な証拠だと思っていたが。


 俺はふゆと一緒に下校し、そのまま家に招き入れた。幸い、親はいなかった。ふゆの両親もOKしてくれたようだ。遊びに行く、と可愛らしい嘘をついてきたのだという。


「お、お邪魔しま〜す」

「あぁ、親ならいないから。そんなに畏まらなくてもいいよ」

「え、なんで」


いないの、という言葉より先に「仕事」とだけ答えた。

ふゆはその言葉を聞いて少し口を噤んだ。俺のタブーに触れたとでも思っているのであろう。

 俺は少ししゅんとしているふゆに対して大丈夫だと声をかける。ふゆは「怒ってない?」と聞くが、誰がこんな些細なことで美少女に怒れるもんかと思い、「別にこんなことで怒らねぇよ」という。


「和仁くんはやっぱり優しいんだね」

「ふゆの優しいの基準低すぎない?」

「えへへ、そんなことないよ。私はこれでいいの」

「ならいいんだけどさ」


「じゃ、私ご飯作ってきますね」と言って話を終わらし、一人台所へ向かった。流石に一人だと大変かな? と思ったので手伝えることはないかと俺もついていくことにした。


「ふゆ〜? なんか手伝えることない?」

「あ、ならアレ取ってください……」


 彼女が指を指した方向になサランラップが少し高い場所に置かれていた。ふゆでは少し背丈が足りず、腕を伸ばしてもプルプルと可愛く震えているだけだ。

 俺が真後ろからひょいっ、と取ってやると「えへへへ」と笑い、料理を再開した。


「和仁くんはリビングで待っててください。後は出来るので」

「そうか?あ、せめて食器だけは持っていくよ。あと、冷蔵庫のものは好きに使っていいから」

「あ、ありがとうございます」

(なんか俺に嫁ができた気分だな)


俺はそう思いつつ、リビングで待つことにした。



彼女が料理を運んできたのは二十分ぐらい待ってた時だった。食卓にはご飯と味噌汁、それにアジの塩焼きが並んだ。

 待たせてはいけないと思っているのか、ふゆは制服の上にエプロンを付けたままだった。制服でも充分可愛いのに、エプロンまで付けるともはや新妻感さえ感じる。だが、ジロジロ見てても失礼なので食事を頂くことにした。


「「いただきます」」


 ふゆの料理は親に教えて貰っている、と言っていたが想像以上に美味しい。なんなら俺の母親が作るご飯より美味しいだろう。 俺は自然に「うめぇ」と言葉が漏れる。ふゆは少し恥ずかしがりながらも「ありがとうございます」と言う。食べる姿も可愛いのでこれだけでご飯二杯はいけそうだ。


「味付けも完璧だな。ホント、すごいと思うよ」

「別にそんなことないですよ……ただ普通にしただけですから。……でもお口にあって良かったです」

「おう、マジでありがとう。すげぇ美味い」


 彼女は少し頬を赤らめながら口元が緩む。可愛いなぁと見とれるが、そんな甘々な雰囲気を台無しにするかのように涼介から電話がかかってきたのですぐさま拒否し、マナーモードにした。


 しかし、俺はこの電話のおかげで忘れていた本題を思い出した。『なんで当たりが強かったのか』と俺に対して少し疑心を抱いているのか、ということだ。

モジモジして言わないのも気が引けるので冬が食べ終わった頃に言うことにした。


「ご馳走様でした」

「ご馳走様」


二人とも食事が終わると俺が率先して後片付けに入る。流石に美少女に作らせて片付けもしない奴は誰だって嫌だろう。俺は片付けをしながらリビングで寛いでいるふゆに疑問をぶつけた。


「なぁふゆ。俺の事きら……好きか?」

「えっ!?いや、えと、その……」

「あ、あぁいや、すまん。友達として、だな」

「で、ですよね。友達としては好き……大好きですよ」


彼女はさらっと大好きといい笑顔を見せるので心臓が飛び跳ねる。もう一つの疑問をぶつけることにもドキドキして今にも心臓が破裂しそうだが。 それでも当たって砕けろの精神でぶつけることにする。


「あとさ、昨日俺なんか悪いことしたか……?したなら謝りたいんだけれども」

「え、そ、そんなことなかったですよ」


俺は少し口ごもるも、勇気を振り絞って言う。こらでタブーとかだったら最悪だがその時はその時だ。


「ふゆ、昨日のLIME当たり強くなかったか?ちょっと怖かったんだが」

「あ、えへ、ごめんね? 両親とちょっとあった後だったからさ……」

「あ、いや、なんかすまん。家庭事情まで関わってるとは思わなくてさ」


彼女は「あははは……」と笑ってはいるがこれは偽の笑いだと見抜く。絶対ほかの理由があろうが、こればかりは話したくないのだろう。これ以上言及するのも可哀想なのでここまでで放っておくことにした。



「じゃ、今日はありがとね。楽しかったよ。また呼んでね」

「おう、じゃあな。」


 時刻はもう七時を回っていたのでふゆを帰すことにした。流石に両親も心配するであろうからな。


(飯も食ったし、風呂入って寝るか)


確か宿題があったが、そんなもんは明日の朝か夜中起きてしまったらやればいい、と思い支度を済ませる。

 八時過ぎだった。急な眠気が襲ってきたのでちょうどいい、と思い、ベットに横たわった。


 そういえばふゆは今日家を出るのが中々ギリギリ間に合うかどうかの時間だったので、なるべくならちょっと早めに出て、毎日一緒に登校したいくらいだ。このメッセージが今日中にみられるかどうかは彼女次第だが、多分見てくれるだろうという淡い期待を抱きながら送る。


『今日はありがとう。明日、もしちょっと早く起きたら一緒に学校行かないか?』


俺はそう送ると、眠気がピークに達したのか、そのまま倒れ込むように眠ってしまった。

こっちが毎日更新出来てどうすんだよと思い始めた百鬼です。

2日でアクセス数が80超えてました!恐ろしや……

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