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買い物?(激甘)

「あ〜、美味しかった。 涼介ありがとね〜」

「ホント、誰のせいだか」


 俺達はお昼を食べ終え、帰路に着こうとしていた。涼介は真希の言葉に嘆息しながらも、どこか満足気だった。嬉しいことでもあったのか、と聞きたくなるが人の幸福を邪魔するようで気が引けるので辞めておこう。


「ほんと、私達もご馳走になっちゃって、ありがとうございます」

「いいっていいって、ふゆは固いんだよ〜」


「いやでも」と続けるふゆを遮るように涼介も「どうってこたぁねぇよ」と男らしさを見せてきた。


……涼介お前、よく彼女の前でそんなこと出来るよな……よくシバかれないことで。


「にしてもちょっと疲れたな」

「そうだな……色々振り回されたからな。主にお前の彼女」

「えっ、私?」

「自分の言動を見返してくれ」


 俺がそう言うと、彼女はみるみる顔を赤くして「バカッ!」と肩をシバいてきた。いや、自分じゃん。自分がやったんじゃん。


なにも状況を知らない涼介とふゆ。涼介は「え?なに、お前何かした?」と少し狼狽えており、ふゆは首を傾げるだけだった。


「まぁまぁ、みんなお疲れだしそろそろ帰る? 和仁たちは?」

「俺は尾崎さんに任せるが」

「私も帰ろっかなぁ。服は買えたし」

「なら、帰ろっか。じゃあね、和仁、ふゆ」

「おう、じゃあな。真希。涼介は頑張れよ……」

「なんでそんな悲しそうな顔するの!?ねぇ!?」


俺は哀れにも嘆く涼介を見ずにふゆと一緒にその場を離れた。


☆ ☆ ☆



「ふゆはさ、今日楽しかったか?」


モールの最寄り駅についたがどうやら電車は、数分前に発車してしまったようだった。


 ふゆは元からそれほど喋らない性格だったが、今回ばかりは疲れてしまったのか喋らなくなってしまった。

そんな重苦しい空気が漂うのも嫌なので喋りかけるも一向に反応してくれない。なんなら怒っていそうだ。


彼女の顔を覗くとしっかり起きているし、なんなら少ししょんぼりしているようにも見える。

 彼女の口がゆっくりと吐息を漏らすように開く。



「私はその……楽しかったよ。楽しかったけど……」

「けど?」


俺は続きが聞きたくて、つい促すように言ってしまう。


「けど、和仁くんと離れたのは寂しかったかなって……」

「あ……」


 ここで俺は少し後悔する。確かにそうだ。俺は元々ふゆと来ていたのに、いつの間にか四人で、ということになっていた。元を辿れば意見に流されていたのが問題だったとは思うが。


 それと同時に、真希は本当にすげぇと感嘆する。


─────


──


遡ること一時間程度。


『ねぇ、和仁ってさ、ふゆと付き合ってるの?』


俺はブフッと吹き出し笑ってしまった。


『バッカお前、んなわけねぇだろ』

『んでもでも、さっきふゆって呼び捨てに』

『確かにしてたけど、そういう関係じゃねぇから』


俺は真希の言葉を強めに遮って言い切る。それでも真希は「むぅ」と唸って認めていないようだ。


『鈍感』

『何がだよ』

『そういうとこ。二人で来てんなら絶対寂しがってると思うな』

『ならお前らもそうじゃねぇのか?』

『私達はそういう関係だから。これでも涼介のことは信頼してる。でもさ、涼介とふゆってまとめられると私も分かんない』

『そっ……か。まぁそうだよな』


 女子にはなんでもお見通し、とまでは行かないらしいが、流石に俺とふゆの情勢などはフィーリングで分かるらしい。これに気づけなかった俺も俺だが、あいつもあいつで、交流を深めたらいいだろうと思い、尊重したものだった。


 それでも俺には何をしたらいいか分からなかった。こんな自分が情けない。ふゆの気持ちが分からなかった、という事実にどこか悔しくて。どこか怖くて。どこか妬けていて。すごくすごく、ふゆのことを考える度に想いが強くなるのがわかる。今にも泣きそうだった。


(誰か、誰か助けてくれよ。頼むよ)


俺は誰に向けてかもわからずにただ祈りを捧げた。かくして、その祈りは届いた。すぐ側にいるではないか。たった一人、頼りになる人が。


『なぁ頼む、教えてくれ。俺は……俺は一体どうすればよかったんだと思う?』


俺は泣きそうになるのをすんでのところで止める。ここで泣いたら男が廃れるどころか、弱虫、意気地無しと称されてもおかしくはなかったからだ。


 そしてそのQに対して真希からAが返ってくる。


『ならさ、─────』



──


──────


『彼女の喜ぶことをしてあげなよ』


(センキュー、真希。ここからは俺がやらねばならんからな。美味しい所だけ頂くが、恨むなよ)


俺は直後にまぁ、涼介がいるから怨恨もクソもねぇな、と思いつつもふゆを前に口を開く。


「なぁ、ふゆ。俺と一緒にって願いは叶えられなかった。それは本当にすまん」

「え、ちょ、べ、別にいいよ。私は……」

「それでもだ。寂しい思いをさせたのは確かだ。だからこれを受け取ってくれないか?」


 そういって俺が差し出したのは純白の少しキラキラとした髪飾りだった。近くで見るとカーネーションのような模様が施されている。


「これ……」

「ごめん、俺にはこれぐらいしか出来ないからさ……」


そう言うと彼女は突然グスグスと泣き出した。


「え、ちょ、嫌だったらその……」

「違う。違うんだよ。嬉しくて」

「てことは……」

「そ、ありがと。私なんかの為に」


そう言う彼女の頬には透き通った雫が滴り、太陽に照らされ、ふゆの笑顔がより一層綺麗に見えた。


『間もなく、電車が到着致します。黄色い線の内側で、お待ちください』

「ほら、電車来たよ。帰ろっ?」

「あぁ、そうだな……って待ってくれ」

「?どしたの?」


不思議そうに俺の方を見つめるふゆに先程あげた髪飾りが手に握られていたのでその手を解してふゆの髪に付けてやる。


「やっぱり。似合うと思ったよ」

「ほら、行くぞ」

「えあ、ちょ、ちょっと」


俺は少しニヤけつつも歩みを止めなかった。こんな顔を見られたらたまったもんじゃない。


 彼女の手を引き、痛くない程度にぎゅっと握りしめる。彼女もそれに反応して可愛らしくきゅっと握り返してきた。

 俺達は今、顔を見なくたって表情が、感情が、胸の高鳴りが。それら全てが分かってしまうような気がしてならなかった。


 彼女はいつにも増して綺麗に映っている。

おいおいタイトル詐欺も大概にSayよ!と言われるくらいまで来ていると思います。次回こそは……

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