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買い物!(お昼!)

買い物編は終わりだと言ったな……?

「和仁ってどんなのが好きとかあったっけなぁ……」


 頭を抱えてしゃがみこむ俺に「なんでも好きとかいいそうですけどね」と優しい口調で語りかけてくる。天使か。


「それならそのままでもいいんじゃねぇか?」

「なるほど。神崎くんが真希ちゃんに怒られろ、と言う理由がよくわかりました」

「すみません許してください」

「まぁ真希ちゃんにだけは黙っておいてあげます」

「はい……真面目に選びます」


流石にこれ以上言ってしまうと、和仁も黙ってはいないだろうから口を噤んでおく。にしても天使でドSとか俺にとっては天敵だな。

 それはそうと、時間が押しているのでさっさと選ばないと時間切れになり、集合時に冷やかな目線で見られることはおろか、適当に選んでいても同じくバットエンドだろうと思い、額に嫌な汗がドッと出る。


(つってもほぼ初対面の人に似合うコーデとか服屋の店員でもあるまいし分かるかよ!)

「どうしたんですか?顔色悪いですよ?流石にしんどいなら休んでいたほうがいいと思いますよ。」

「えっ、あの」


少し悩んでいただけでこんなに心配されて狼狽える俺を他所に彼女は続け様に言う。


「無理することないですし、なんなら私がちょっとだけ選んでもバレっこないですって」

「えっじゃあ……ちょっと外のベンチにいる……わ」

「分かりました。じゃ、待っててくださいね。すぐ終わりますので」


やらかした。別に体調が悪い訳でもないのにこんなにも健気な子に心配までかけて、挙句の果てには約立たず。流石にこれでは男が廃れる。


「……ごめんな。尾崎さん」


そう言い残し俺は店……いや、二階を後にした。


☆ ☆ ☆


「んで、後はスカートだけだったよな」

「そだね。ここなら流石にあるっしょ」


俺と真希は婦人服売り場に来ていた。こんな所に男一人で入ろうもんなら相当の勇気と覚悟が必要だが、今回は真希がいるので超がつくほど安心だ。


「なにかお探しですか?」

「あぁ、いえ、彼女に似合うスカートを……」

「あら、そういう関係で」

「ち、違います!俺は付き添いなだけで」


俺が必死に否定していると彼女が耳元で「今はそういうことでもいいよ?」と誑かしてくるので、背筋がゾワっとした。

 俺は店員には聞こえないくらいの小声でやり返す。


「そんなこと言ってたらしまいに襲うぞ」

「そんなこと出来ないくせに〜」

「俺だってやる時はやるさ」

「わーこわい。そのときは涼介に守ってもらうから」


彼女は全く意に介さずそのまま買い物を続けた。店員には「うちの彼氏ったらちょっとシャイなんですよ〜」なんて言って誤魔化している。このこと知ったら涼介泣くぞ。


「すみませんね、話が脱線してしまって」と店員が謝りながら「スカートですよね」と案内してくれた。

 

 案内してくれたところには、少し派手なものから大人しめの色のスカートまで幅広く揃えてあった。流石大手企業と言ったところだろうか。

 それにしても量が多すぎて、あと十分ぐらいでは到底選べそうにもない。手分けしないと無理そうだ。


「なぁ真希、俺こっち探すから、お前は──」


 そう振り向いた時にはもう、彼女は離れようとはせず、俺の服をぎゅっと握りしめていた。

 彼女は少し震えており、表情もどこか怯えているようだった。


「お、おい、どうした?」

「ごめん。ちょっとこのまま……や、やっぱりぎゅってさせて」

「なんで……」

「なんか()けられてるような気がしてさ……さっきからちょっと視線が……だから、ごめん」


そう言うと彼女は俺の腕に回している手の力をより一層強めた。

 それもそうだ。得体もしれないヤツに監視()られてるんだからたまったもんじゃない。美人ってのは苦労が多そうだ。


「痛い痛い、別にそのままでいいから」

「ありがと……へへ、なんかこうしてると浮気してるみたい」

「実際そんなようなもんだろ。ま、そんな誤解は生まないようにしているがな」

「それはそうと、あと七分か……ちょっと待てよ……」

「ん、これがいい」


俺をグイグイと引っ張りながら言う彼女の手には少しオレンジっぽいベージュだった。パステルカラーと言った方が分かりやすいだろうか。

 彼女のブロンドヘアーにもよくマッチしていてとてもいいと思う。……これが声に出せない時点でヘタレなのだろうが。


「あぁ、よく似合うと思うぞ。時間もないし、それにするか」

「うん、ありがと。あと……集合場所までこのままでもいい?別に見られないっしょ」

「まぁ……いいけど」


 そう言うと彼女は にへへっと笑い精算しに行った。


☆ ☆ ☆



「おまたせ〜、ちょっと時間かかったかも……ってあれ?どこいったのかな」


 私がお店から出てきた時には一ノ瀬さんはいなかった。『外のベンチで待ってる』と言っていたけれど、今になって居なくなった。


(時間もあと少しだって言うのに……)


私は彼の身勝手な行動に少し怒れるも、時間になったら集合場所に来るか、と思い先に集合場所に向かった。


☆ ☆ ☆


「ありがとうございました〜」


そんな声を背に受けながら涼介はある店を出ていた。残り五分。まぁ間に合う。これで尾崎さんが店を出ていなければいいのだが、と願うも、その願いは直ぐに打ち砕かれた。居ない。店内にも、ベンチにも、吹き抜けを介して反対側を見るも、どこにもいない。

 ……途中でアイツらを見つけて少しストーカーじみたことをしていたのが時間ロスだったか。畜生。

まぁでも、真面目そうな尾崎さんのことだ。時間は守る派だろう。俺みたいに何回も遅刻して、その度に彼女にシバかれるような人ではない、と信じている。

 

 そう思いつつプレゼントを持って六階へと向かった。


☆ ☆ ☆


「「あ」」


尾崎さんは先に待っていた。ほらな?俺の読み通り時間は守る派だったろ?


「なにしてたんですか、待ってるって言ったじゃないですか」

「あ、いや……その、ごめん。」

「全く。約束は守ってくださいね」

「それは本当にごめんなさい……でもこれ買いに行ってたからさ……」

「……?なんですか?これ」

「ネックレス。尾崎さんに似合うと思ってさ」

「わ、私に?え、あの、ありがとうございます……。時間、なかったから行っててくれたんですね……」


 彼女は終始俯いてゴニョゴニョとなりつつも感謝の意を伝えてくれた。そうして顔を赤らめている尾崎さんはとても可愛くて、和仁が羨ましく思えた。


「なーにニヤついてん……のっ!」

「痛って!?」


 痛みを感じ、振り返るとそこには真希と和仁がいた。……先程は腕を組んでいたように見えていたが今はしていない。気のせいなのか、錯覚なのかは定かではなかった。


「ま、真希。なんでここに」

「いや集合時間だし、ここ指定したの私だし」

「いや、そっか。そうだよな」

「?なにか隠してない?……なーんか怪しいけど」

「や、そ、そんなことないよ」

「いや、さっき居なかったじゃないですか……私が十分かかっていたとはいえ、ネックレスを買うのには充分すぎる時間でしたけど……」

「ほ〜〜う……」

「いやこれには深い事情がありましてですね。ちょっとこればかりは」

「後でお話しよっか。ねー☆」

「ア……ハイ……」

「おつかれ涼介。諦めな」

「和仁ぉ……」

「俺にも無理」


 全員から突き放されて少し可愛そうなことになっているが、まぁ多分自業自得なので放っておく。


「てか、そろそろお昼だし、お昼にしよっか。ここレストランとかもあるし」

「いいね。和仁たちはどうする?」

「俺はいいけど……」

「わ、私も。神崎くんが居てくれるなら」

「ひえ〜っ。愛されすぎでしょ和仁。何したよ?」

「なんもしてねぇよ。それより早く行こうぜ。無駄に疲れた」

「無駄にって何よ無駄にって。まぁ……確かに疲れたけど」

「じゃ行くか」


 各々、疲れていたのでみんなとお昼にすることにした。レストラン……これ誰が払うの?涼介?


「あ、支払いは涼介がするから。和仁とふゆは何もしなくていいよ」

「「「えっ」」」


俺とふゆの驚きの声と涼介の悲嘆が重なる。


「涼介……お話しはこれでチャラにしてあげるよ?どうする?ん?」

「払うから威圧かけるのやめて」


涼介はしょんぼりしてしまったがみんな笑っていてとても楽しそうだった。

>前書き

あれは本当だ(買い物、は終わり)

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