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天使にラブ・ソングを…
「っ先輩! ずっと好きでした!」
卒業式! 桜舞う校庭! すなわち、愛を告げる最っ高のシチュエーション! 憧れの先輩に届け、私のこの想い!
「ごめん、他に好きな人がいるから」
……駄目だった。
「うわぁぁん! よっぴー、聞いてよおお!」
「うわッ! 分かったから、あんたは顔から出る水全部だすのやめなさいよ!?」
悲しみの中必死に伸ばした両手は素早く避けられ、代わりに押し付けられる100均のハンカチ。ひどい。扱いが雑すぎるー!
「っていうかさぁ、あんた先輩が付き合ってんの知ってたでしょ?」
「だってぇぇぇ」
ハンカチに鼻を押し付けズビズビチーン。ふーんだ。
「ああもう、まったく! しょうがない、アイス行くわよ!」
「あいすぅ?」
「そ、あんた好きでしょ?」
「……好き」
甘く蕩けるアイス……それは神様のお恵み。ありがと。なんか、ちょっと元気でたかも。