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始まりの日
初詣! ゆく年くる年、恋の年! 最初の逢瀬で最初のトキメキ! 憧れのあの人に、届け! 私の……
『この電話番号は、現在使われて……』
駄目だった……。
冬はほのぼの。炬燵でココアを一杯……
「よ゛っ゛ぴ゛い゛い゛い゛」
「でたあ!?」
庭に佇む不審な影。いや、ほんと何やってんの!
あいつは当然のように窓から部屋に、そして炬燵にも侵入してきた。
「貰った電話番号、間違ってた」
「……これ、8じゃなくて6じゃない?」
あいつはいそいそと電話をかけ直す。で、
「駄目だった……」
「なんで!?」
「もう行ったって」
……。
「アイス――」
「――よし」
そして、あいつは言った。
「それじゃ、初詣行こっか?」
……あぁ、もう。これだから、こいつは。




