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酒
『り、臨時ニュースです! 国際天文学連合はさきほど、小惑星XA-2が地球に接近中であり、直撃の場合、星そのものが崩壊する可能性が高いと発表しました!』
それから半年。人類はあらゆる手を使って迎撃準備を進めた。アメリカは核弾頭を、ロシアは皇帝爆弾を。
そして日本は……
「電磁投射砲の発射準備完了しました!」
「コンディションは?」
「……オールイエローです」
「急造品だ、やむをえんか。うちたまえ」
「し、しかし……専用弾は一発しかありません! 一度点検を――」
「――この星を核で汚す気かね」
馴染みの店で買った安酒をマグカップに注ぐ。次の瞬間、歓声が聞こえた。
……ああ、美味い。酒は何を飲むかではない。いつ飲むかだ。




