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富士山
早朝、鳥の鳴き声に目を覚まし雨戸を開ける。今日で最後かもしれない。そう思うと、何気ない風景が格別に輝いて見えた。
「父上、母上、今までお世話になりました」
「……息子よ、本当に行くのか?」
「そうです。他の方法だって……」
「……このままじゃ終われない。そうでしょう?」
そして今、俺はこの場所に来た。できることは全部やった。あとは、全てを賭けて戦うのみ。
「来たな」
出迎えたのは大金棒を肩に載せた、熊のような大男。こちらが太刀を抜くも、ニヤリと笑うのみ。なるほど、相手にとって不足はない。
いざ、尋常に……勝負!
「行くぞォォ山梨ッ! 」
「来いや静岡ッ!!!」
以上が長年続く、富士山を巡る争いである!
※イメージです。




