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五月晴
春はあけぼの。5月の日差しに包まれながら、教室の席で水筒の紅茶を一杯。あぁ、なんて優雅な日々なんだろう……
「よっぴーよっぴー、聞いて聞いてー」
「どした?」
「来月結婚することになったよお」
「ぶはッ!?」
鼻に! 鼻に紅茶がっ!
「相手は初恋のお兄さんで結婚の約束もしてて……」
のろけるあいつの隣で、私は紅茶の香りの鼻ツンと戦っていた。
「……ついに結婚式の招待状が来たのお」
言わなければならない。
「……あのさ、花嫁は、招待する側だよ?」
考えていることが顔に出る(物理)親友は、涙目になってプルプルしていた。ヤバい、どうしよ。
「ろ、六月の花嫁なんて雨に濡れるだけ。五月晴れの方がずっと良いから」
私「(鼻水その他諸々で茶色くなった女子を見ながら)……たしかに」
紅茶をぶっかけられた女子「(きぃぃぃぃ!? おのれ漫才コンビめぇぇぇ!!)」
よっぴー「アイスにしよっか(なんでだろう、釈然としない……)」
……今日もクラスは平和だった。




