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どくしょ

 卒業式の後の図書室でも、彼女は変わらなかった。窓辺の席に優雅に腰かけ、長い黒髪が春風と踊っている。僕が入学した日から、本当に何も変わっちゃいない。周囲の喧騒に我関せずと、小説を読み続けている。『オセロー』、その前は『ロミオとジュリエット』。


 ……桜の花びらがふわりと彼女の肩に乗り……そのまま床に落ちる。


 一目ぼれだった。でも、結局3年間声をかけられなかった。本を読む彼女の姿はあまりに幽玄で、触れれば消えてしまうような、そんな気がして。


 ところで、僕は図書委員として花瓶に花を生けている。昨日は香りの良い鈴蘭を選んだ。わざわざ花屋を回って鉢を手に入れた。


 ……彼女が薄く微笑んだ。だから僕はそれに口づけた。

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