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エイプリルフール
その日、教室は重苦しい空気に包まれていた。先生が人目も憚らずに泣き崩れたのだ。頭を抱えて悲痛な声をあげる先生は、見るのもつらい。
「よっぴー……」
「言わないで……」
「でも……」
「お願いだから……」
「先生の育毛剤が脱毛剤に――」
「やめてぇ!?」
ひとしきり笑ってスッキリした。
「先生、元気だそ?」
「仏門が俺を呼んでるんだ」
「……大事なのは見た目じゃなくて心だよ? 先生は奥さんを体で選んだの?」
瞬間、先生がクワっと目を見開いた。思わず後ろにVサイン。
「先生! アイスでも食べて元気出しましょ!」
「あぁ! 迷惑をかけた、奢ってやろう」
「やったぁ! それじゃハーゲンダ……」
崩れ落ちる先生。
……駄目だった。
私「今日が4月1日でよかったぁ」
よっぴー「こいつ、一言でぶち壊しに……!?」




