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バレンタイン
バレンタイン! それは女の子の為の祭典。 憧れの男の子に、届け……私の……想い……
「ぜひー、ぜひー」
「お姉ちゃん! 風邪なんだから寝てなよ!」
……駄目だった。
「よっぴぃ、へるぷみぃ……」
『……ほっ、電話越しで良かった』
唾と汗と鼻水でぬるぬるになりながら電話すると、授業中にも関わらず繋がった。
ははぁん、ツンデレかぁ。
「チョコを……届けてほしいの……」
『いや、今授業中……ってもしもし!?』
そこで力を使い果たして意識を失い……次に目が覚めた時、机に置いたチョコは持ち出されていた。
本命宛と、よっぴー宛。
そうして、風邪をさっくり治した私を教室で待っていたのは……風邪でお休みしている、よっぴーと男の子だった。
――その日、人類は思い出した。バカすら倒れる、今年の風邪の強さを……




