第六話 変わる日常
超久しぶりの更新になります!
今回は少し短いです!物語的には中間地点?
お楽しみ下さい!
はぁ、学校行くの辛いな……
休校になるか、学校爆発して無くならないかな……。
そんな事を願っても、実現しないことなど分かっているが。
斗真は優越な気分で歩く。その理由は、昨日の訓練後の話にあった。
「今回の訓練の内容及び様子は、動画として撮られ、互いの見識のために同クラスののみ閲覧可能になっている」
「……はぁ?」
「これにより、自分と相性のいいものなどを見つけるといい」
つまり、あの映像がクラスの皆に公開されると……。
冗談じゃないぞ、そんな事?!
ただでさえ、あの時言うの嫌で隠してきたのに!
僕の魔力属性は、本当は無属性ではない。そんな事は、頭のいい奴だったらすぐに分かってしまう。
やばい、何とかしないと……!
「なお、生徒は動画の視聴に関しては拒否権はない」
なにも、出来なく、なった……。
「拒否権がないって、嫌がる生徒の事もしっかりと考えて欲しいよ、まったく……」
ぶつくさ文句言っても何も変わらないが、とりあえず愚痴れるだけは愚痴っておく。
別に、誰かに聞かれてるわけじゃないし。
館石さんとかに聞かれてたらまずいけど。
あれこれと考えているうちに、教室の扉の前まで来てしまっていた。
扉にかける手が重い。開けたくない、今すぐ帰りたいという気持ちが込み上げてくる。
……駄目だ、逃げ続けたら。いつかはバレることだと分かっていたはずだ。それがたまたま今日なんだ。
よし、開けよう。さぁ、扉を……
「あ、おはよう斗真君! 昨日はお疲れ様!」
「うわぁぁぁ?! おはようごじゃいますぅ?!」
「ど、どうしたの? 私、何かまずいことしちゃった?」
「あ、いや、なんでもないので大丈夫です……」
驚いて大きな声が出た、なんて表情が少し緩んでいる館石さんの前で口が裂けても言えない。
他人に不愉快、悲しい思いをさせない。僕が大事だと考えている信条の一つである。
っと、そんな事を考えてる場合じゃない!
ここは教室前。そして、先程の会話。僕の声。
もし、昨日の動画を全員が見ていたら……。
一つの結論に至り、逃げるように廊下を走り出す。
だが、現実そんなに甘くなく。
「何処に行くんだい、黒崎君? 教室はこっちじゃないか」
「……頼みます、今日だけでも……!」
「それは聞けない頼みだな。もうすぐHRだし」
「……!」
なんていうタイミングで来てくれたんだ、閣師風魔!
もう、完全に退路が絶たれた。あとは誰でも想像がつく。
「黒崎君がいるぞ!」
「おはよう! 昨日のやつ見たぞ! すげぇな、あれ!」
「無属性の認識を改め無くては……」
教室の中にいた奴らに囲まれ、無理矢理中に押し込まれる。そこからの質問と感想のオンパレード。
ほらね! だから逃げたかったんだ!
「ど、どうしよう。斗真君が困ってるように見える……。私、やっぱりいけないことを……」
「大丈夫。黒崎君もクラスの皆と話す機会が得られて嬉しいと感じているさ」
そんな訳ないだろうと、ツッコミたかったのを懸命に抑える。
まぁ、そうしたくてもこんなにうるさいのだから聞こえないだろうが。
「え、えと……順番に答えていくから…」
結局、この騒ぎは少し遅れてきた先生が来るまで続いた。
覚えてろ、閣師風魔。僕は絶対に忘れないからな!
HRが終わり、クラスメイトという名の群衆から解放された斗真は、自分の席でぐったりとしていた。
魔力『消失』については、極力隠したが、何とか全員の質問に答える。
これも全部……
「お疲れ気味だね、黒崎君! おや、どうしたんだい。恨みがこもった視線を向けて」
「なんでもないです……」
こいつ……風魔には殺意というものが伝わらないようだ。どうしてくれようか。
まだ学校が始まったばかり。早退したいな……。
けど、何故だろう。これだけで終わらない気がする。具体的には嫌な予感しかしない。
「大変そうでしたね、黒崎君。大丈夫ですか?」
「あ、綾香! 昨日はお疲れ様!」
「穂村ちゃんもお疲れ様でした。……黒崎君、君に一つお知らせがあるんだけど……」
なんだろう。とてつもない悪寒が。
「昨日の動画、先生は確か同じクラスって言ってたよね?」
「そうですけど……それが何か……?」
何が言いたいのか、さっぱり分からない。疲れているせいで頭が回ってないだけかもしれないが。
だが、風魔と館石さんは何かに気づいたみたいで「あっ……」って顔になっている。
なんだ? 何に気づいたんだ?
「ほら、私達のチームって三クラス合同のチームだったじゃない? だがら……」
「ま、まさか……」
そこまで言われて、綾香が何を言いたいのか斗真もようやく気づく。
同時に、全身の汗が止まらない。
「昨日の動画……主に私達のやつだけ、全クラス配信対象に……」
綾香の言葉が終わらない内に、斗真は既に動いていた。
目指す場所は窓。目的はただ一つ。大空に向けての大ジャンプ。
「斗真君?! 何する気?!」
「か、彼を全力で止めるんだ!」
この日、クラス……ひいては全教師出動で生徒一人のダイブを阻止するという事案が発生。
尚、少年は最後まで抵抗。職員室連行となった。
その時少年は、
「僕は……悪い事してないんです……」
と言い、取り押さえた教師に逆らわないで従ったそうな。
いかがでしたか?
次回7話、1章の完結?!物語の基盤!(語彙力)
どうぞよろしくお願いします!