第四話 合同訓練(初回)
更新遅れました!(すみません!)
今回は人も少し増えます!どんな魔力か⁉
お楽しみください!
誰もが部活等にいそしんだりする放課後、斗真は部室棟にある一室に集合をかけられていた。
室内には斗真の他に六人存在。そのうち三人には見覚え……クラスメイトがいる。後の三人は昨日教えて貰った名前以外不明。
「えっと……それでは『魔力研究部』の部活動を開始します! いえーい!」
「いえーい!」
恐らく部長であろう穂村、三組のクラス長である風魔が盛り上げるも、空振り。
部室は斗真が来た時から静まりかえっていた。はっきり言って、なんか気まずい。
「ま、まずは自己紹介! 私は館石穂村! 魔力は炎で、好きな食べ物は……」
「簡単にでいいわよ、穂村ちゃん」
「そ、そうだよね! 次行ってみよう!」
早速部長が部員に指示されている。斗真は不安で仕方がない。そして何より、速く知らない人の自己紹介をしてほしい。
「僕は閣師風魔。三組のクラス長で魔力は風だ。よろしく」
「私は影野綾香です。魔力は宵闇の影よ」
だから、そこの三人は知ってる。早くそちらにいる三人を。斗真は心の中で何回もそう思った。
「じゃあ……次は杏ちゃん! お願いします!」
「は、はい! 二組の日室杏と言います! 魔力は穂村ちゃんと同じ炎です!」
「ほう、館石さんと一緒……。そちらは?」
「吹雪桃花です! 魔力は氷です。二組ですが、ぜひ仲良くしてください!」
「とてもいい子ね。感心するわ」
「……土間武だ。無愛想と言われるが、そんな事は無いので安心してくれ。魔力は土。吹雪さんと同じく、一組だが、他の組との交流を楽しみにしている」
三人ともいい人そうなのでひとまず安心する。まぁ、するのは早かったのだが。
みんな自己紹介をしているのだ。当然、斗真もする。しないという選択肢はない。
「黒崎斗真です。三組に所属しています。魔力は……無属性の消去です」
「無属性だったのか、黒崎君!」
風魔の指摘に苦笑いする。三組の人間は、皆どこか納得した表情で頷ていた。
……因みに、この時の部活は自己紹介だけで終わっている。理由は言うまでもなく、最初の沈黙が長すぎて時間が来てしまった。
翌日、生徒達はバスに乗って競技場みたいな場所に向かって出発。勿論、連絡はしてある。前日の夜に。
バスが着いた頃には朝の五時近く。生徒全員目をこすりながらバスから降りてくる。
「良く聞けよ。いまから教師相手に三クラス合同訓練を開始する。今から十分以内にチーム組め。ただし、全員同じクラスのチームは禁止とする」
突然の教師の指示に、ほとんどの生徒が口を開けたまま停止。約一分後、事態を把握したのかチームメイトを決めるために騒ぎ出す。
おのおの部活の仲間や、幼馴染み、仲良くなった人と組んでいく。五分後くらいには大体が決まっていた。
斗真は少し穂村に感謝した。彼は部活に入っているため、すぐに風魔に声をかけられ集合。こういう時、他の人と関わりを持ってない奴は痛い目をみる。
「……だいたい決まったな。それでは始める。リーダーは順番決めすっから前に来い」
「……うわぁ! こっちきたあ!」
「ばっか止まるなよ! じゃないと……ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
訓練開始から、生徒の悲鳴が鳴りやまない。相手は経験も知識も自分達より格上の教師。当然と言えば当然だが、勝率は低い。終わった生徒は肩を落としながら休憩所へ向かう。
中には喧嘩しているチームもいくつかあった。主にクラスの違いによるもの。その度に予備の教師が仲裁に入る。
「……皆ごめんね。順番速い方で……」
「館石さんが悪いわけではないさ。くじ引きなんだし」
「そうですよ、穂村ちゃん! 悩むんだったら訓練の事にしましょう!」
「……だな」
落ち込む穂村を、慰める杏、武、風魔。その光景を見て微笑む綾香と桃花。
……何も知らない人から見たら、ちょっと疑問を抱く光景。斗真は他人の振りをしたくなった。そうこうしてるうちに、斗真達の順番が回ってくる。
「それじゃあ、張り切って行ってみよう!」
穂村の掛け声に、四人が反応する。やる気に満ちている、いい空気。教師もほほ笑む程に良かった。
訓練が始まり教師と遭遇するまでは。
「どうした⁉ その程度なのか、お前たちは⁉」
「ちょっ、先生、強すぎ⁉」
開始早々見つかり、先手を喰らう七人。相手の教師の魔力は氷で、すぐに辺りを猛吹雪に変化させ斗真達の視界を奪う。同時に寒気が襲い掛かる。さらに吹雪によるダメージ。
「くっ……作戦を立てる時間があればいいんだが……」
「……なら俺が作る。大地の壁!」
武の魔力により、教師と七人の間に巨大な壁が出現。吹雪を遮る。
吹雪が一時的に止まり、逃げ回って疲れた七人は座り込む。
「……作戦を決めよう。壁の向こうでは吹雪はやんでない」
「うん、しかしどうしたものか……」
「あの吹雪は、私と杏ちゃんの炎ではちょっと……」
「はい。無理があります……」
「氷はもっと駄目です……」
相手の魔力との相性が悪すぎて、対抗策が浮かばない。個々が悩んでいた時、綾香が口を開いた。
「黒崎君なら、可能……よね? 入学してからの後に見せたあの魔力で」
「おお、確かに!」
「……終わりの世界は効果範囲内全ての魔力を消す。勿論、君たちの魔力も消える事になる」
「……! そうなると、体術になり経験がないこちらは不利となる……。くそっ、このままでは……」
「方法が無いわけではない」
斗真の発言に、六人が一斉に注目する。
「ただ、やってほしいことが一つだけ……。一瞬でもいいから、相手を視認させてくれ」
「それだけでいいのか?」
「うん」
その言葉に、六人の眼に光が戻る。
と、同時に壁が崩れ、再び吹雪が襲い掛かる。
「やるぞ……皆! 黒崎君に教師を視認させるんだ!」
いかがでしたか?
果たして斗真達は勝率が低い訓練に勝てるのか⁉
次回もよろしくお願いします!