第二話 魔力検査
第二話になります!
新しくなった主人公にどうぞご期待ください!
入学してから二日目。新入生……一学年生徒全員はグラウンドに集合していた。
三クラスしかないため、一括してやった方がいいという学園の方針である。普通だと思うが。
魔力検査が行われているのはイクシード学園だけではない。今のほとんどの学校で行われている。国では体力検査より重要と言われているぐらいである。
「それでは、検査を始めます! ちゃんと教師の指示を聞き行動してください!」
検査内容はスポーツテストより簡単。ただ魔力を発動するだけでいい。見るのはその質、強さ、本人の魔力量など。後はどの属性なのかである。
属性は一般的に火、水、雷、土、氷、闇、土、そして無。この他にもあると研究機関では推測されている。
しかし、国立のイクシード学園。当然見せるだけでは終わらない。
「すみません、何故魔力検査に一日かけるのですか?」
「いい質問です。我が学園は魔力検査を実践式で行っております」
「じ、実践……?」
「はい。三クラス合同で、ランダムに対戦者を決めます。制限時間は十分、勝敗による成績への影響はありません」
「良かった……」
「ただ、全力を出さないと後悔しますよ?」
「……!」
突然の対戦式検査に、全生徒が騒ぎ出す。この制度を導入しているのは日本ではイクシード学園のみ。
魔力の他に、実力も分かって合理的なのだが……
「先生! 上の……一組とかと当たったらどうするんですか⁉ 色々と問題がある気がするのですが……!」
「その場合はその場合です。先程も言いましたが、勝敗による成績の影響はないので、頑張ってください」
「分かり……ました……」
魔力によってクラス分けしているため、二組や三組から不満の声が上がる。能力が上の相手に挑めと言ってるのと同じようなものだ。無理もない。
対して一組は余裕そうな表情だった。中には普通に携帯をいじっているものまでいる。
「それでは始めます! なお、対戦表は各自の携帯に送ってありますので確認しとくようにしてください!」
生徒が各自確認し、検査は進んで行く。
同じ組同士はいい勝負で、時間一杯まで戦っていたが、違う組……例えば、一組対二組の対戦は目を当てられない程だった。
魔力の質が上の一組がほとんど圧勝。中には接戦のものがあったが、それでも最後に勝つのは一組。早いものだと一分で勝敗が決まった。
今のところ三組は一組と当たっておらず、ほとんどが二組である。三組の勝者は、クラス委員の風魔だけであったが。
「……閣師っていう人、凄かったんだな……」
斗真は遠くで風魔の実践を見て、感心していた。自分の番がまだの生徒、終わった生徒は試合を観戦する事になっている。
「いや、それほどでもないよ、黒崎君」
「……驚くから急に話かけるのはやめてください」
「ははは。そんなつもりはないのだが……。僕の魔力は隠し風でね。その気になれば自分の気配を消すことができる」
「はぁ……」
試合を見てたことに気付かれ、絡まれる斗真。普段なら嫌なのだが、今日はそういう訳にはいかない。
斗真は昨日、自分の魔力を今日の試験で見せることになっている。風魔から来てくれたのはむしろ好都合だった。
「ところで、その斧はどうしたんですか」
「あぁ、これかい? 試合の前に武器を選択できるんだよ。……っと館石さんが終わったみたいだ」
「……あ、閣師君に黒崎君! 頑張ったのに負けちゃったよ……」
「お疲れ様! 大丈夫、これから頑張ればいいさ! ね、黒崎君!」
「あ、うん……。お疲れさまです、館石さん」
「ありがとう、二人共! 次は……黒崎君の番だね! 頑張れ!」
穂村にそう言われ指定されている場所に向かう斗真。
その場所にはすでに人が立っていた。教師は確認すると、武器を二人に選択させる。
「……これより、一組赤司宗司対三組黒崎斗真の実践検査を始める!」
「一組対三組だって……⁉」
「まじかよ……⁉」
「制限時間は十分、開始してください!」
一組対三組という、初めての対戦表に周りがざわつく。遠くにいた生徒も聞きつけ、観戦者が増える。
それを見て赤司は不敵に笑いだす。
「黒崎……だっけ? 運がないねぇ、君……」
「どういう意味ですか?」
「こんな大勢の目の前で無様な姿を晒すんだからさぁ! 煉獄の檻!」
炎が斗真を一瞬にして閉じ込める。その様子はまるで炎の檻。しかも煉獄の為、普通の炎よりも威力は高い。
「私の魔力の炎と比べものにならない程強い……! 黒崎君……」
「だが、あれだけではなんとかできるのでは……」
「と思うだろう?そこのお二人さん」
風魔と穂村の会話を聞いていたのか、赤司は自分の選択した武器、杖をかざす。
赤司の意志に従うように、煉獄が斗真に迫る。
「……使い手の意志で自由に動かせるのか……!」
「どうだい、逃げられないだろう? これで君はもう終わり……」
『終わりだ』と言いかけた赤司の口が止まる。正確には、開いた口が塞がってない。
先程まであった煉獄が跡形もなく消えている。その場にいた者全員が、何が起こっているのか理解できていない。
「……はっ! 水属性で消したのか! 三組に僕の炎を消すほどの人間がいたとは……」
「……」
「だが、どうやら魔力切れのようだな! もう一度くらえ、煉獄の檻!」
赤司はもう一度、杖を振りかざす。
しかし、いつまでたっても炎は現れなかった。赤司の表情に焦りが見え出す。
「あ、あれ……? おかしい、僕の魔力はまだ切れてないはず……! 貴様、何をした……⁉」
「……終焉世界。僕が指定した範囲内の魔力を完全に消し、発動も無効化する……」
「な……⁉」
「同時に、相手の身体能力も下げる……。小学生くらいまで、ね……」
焦りから恐怖の表情に変わる赤司。腰が抜け座り込み、後ろへ後さずる。
斗真は赤司の首筋に自身が選択した武器、剣を当てる。それを見た赤司は涙と鼻水を大量に垂れ流した。
「け、検査終了! 勝者、三組黒崎斗真!」
いかがでしたか?斗真の魔力とはいったいなんなのか⁉
三話へ続く!(クラスメイトの事もだんだんと書いていく予定です!)