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セイブ・ザ・ワールド  作者: 紅魔郷の住人
第一章 新入・魔力・遭遇
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第一話 春の季節と新入生

新しくなったセイブ・ザ・ワールド第一話です!

色々変わっておりますが、どうぞお楽しみください!

道にある桜が咲き始め、歩く人々が春を感じ始める。会社には新入社員が、学校には何かを夢見ている新入生が入ってくる。

もちろん国立の能力者学校、『イクシード学園』も例外ではない。人数は他の学園と比べると少し劣るが、それでも規模はでかい方の学園だ。


「新入生の方は、こちらに来て下さ—い!」

「あっちだってよ。早く行こうぜ」

「おう!」


何気無い会話が学園中に飛び交う。友達と共に行動するもの、初対面の人間と仲良くしようとするものなど……

その中に、一人で歩いている少年がいた。見た目は普通の学生。が、身長がやや低く、高校生というよりかは中学生に見える。髪の色は黒。魔力が発現した今においては珍しい方だ。

その少年は誰かに話しかけることなく、案内されている受付へと進む。


「えーっと……黒崎斗真くろざきとうま君でいいのかな?」

「はい」

「よし。君は一年三組の教室に向かいなさい。入学式の開始までそこで待機しているように」

「分かりました」


イクシード学園は能力……魔力別にクラスが編成されている。入学審査が厳しいため、一クラス四十人程度が三クラス。一組の方が能力が優秀とされている。

つまり斗真が編入された三組は一番能力が劣っている事になる。


「……ま、いいか。気にすることじゃないし」


斗真は気にすることなく、三組の教室に入る。中にはすでに沢山の生徒がいて、軽く自己紹介や自分の魔力などについて話していた。


「はじめまして! 私は館石穂村たていしほむらっていうの! 一年間よろしくね!」

「私は鶴海瑠璃つるみるりって言うの。こちらこそよろしく!」

「なぁ、お前の魔力ってどんなのなんだ?」

「ええっとね……」

「……」


斗真は静かに席に座る。あまり他人との接触を好まない彼は、こういった空間は苦手だった。

だが、普通に考えて欲しい。扉を開けて入って来た者に気付かない人間がいるだろうか?

もちろんいるわけがない。潜伏系の魔力を持ってれば話は別だが、斗真はそんな魔力を持っていない。

先程まで話していた女生徒が斗真の元に来る。見た目はまんま女子高生。髪の色は赤色。


「初めまして! 私は……」

「館石穂村さん、ですよね?」

「あ、きこえてた?」

「はい。僕は黒崎斗真と言います。一年間よろしくお願いします」

「うん! よろしくね!」


斗真は接触する事は好まないが、挨拶する事ぐらいはできる。簡単かつ短縮して、だが。

そんな様子を見てか、周りの生徒達も話しかけようとする。


「よう。俺はクラス長の閣師風魔かくしふうまだ」

「は、はぁ……」


イクシード学園は出席番号の一番早い者がクラス長になる。基本的に男子が多いのだが、たまに女子がなったりもする。

体格が整っており、いかにも人を束ねし者という感じの生徒だった。


「黒崎君。一緒のクラスで学園生活を送るにつれ、君の魔力を知っておきたい」

「僕の……魔力をですか?」

「うん。把握をしておけば、いざという時動きやすくなるからね」


斗真は少し表情を曇らせた。風魔の言う事は理解しているし正しいと思っている。しかし、今の斗真には都合わ悪い質問だった。

もちろん、斗真の表情の変化に誰も気づいていない。


「……? どうしたんだい、黒崎君?」

「い、いや……」


斗真が返答に困っている時、教室の扉が勢いよく開けられた。


「新入生の皆さんは並んで下さい。入学式が始まりますので……」

「分かりました。皆、廊下に並んでくれ!」


その言葉を受け、生徒達が並びだす。斗真は内心安堵し、伝えに来てくれた教師に感謝した。

だが、その安堵は風魔が来ることで終わった。


「……終わってから聞くね、黒崎君」

「……」


斗真の表情がまた曇る。風魔はそれに気づくことなく他の生徒達のところへ向かって行った。

風魔が視界から消えるの待ってから、斗真は大きくため息をついた。あまり人前ではこういう事をしないのだが、ああいう人間と話すと流石に疲労が貯まる。

斗真はもう一度大きくため息をついてから皆に遅れないよう列に加わり、会場へ向かう。

入学式は普通の学校とほとんど変わりはなかった。ただ違うのは、見に来てくれる親がいないこと。

そして……


「え~……君達は全国の能力者の代表みたいなものです。であるからして……」

「……まだ続くのかよ……」

「私、お兄ちゃんに入学式の為に精神の特訓をしろって言われてたからしてたけど……。やっててよかった……」

「周り見て見ろよ。もうだいぶ持ってかれてるぜ……」


入学式が始まってからもう三時間が経っている。それでも一向に終わる気配が見えないのは、イクシード学園名物と言われている校長の長話のせいである。

もちろん、校長の口が止まる気配もない。これがもう一つの普通とは違う点なのである。


「……以上を持ちまして、入学式を終わります」

「……」


終わりを告げられたころには、もう子どもたちが家に帰って夕ご飯を食べている時刻になっていた。

新入生全員、浮かない顔をしながら各自の教室に戻る。教室に戻ってからは、短く明日の予定が話された。


「明日は全クラス合同で魔力検査を実施します。時間がかかる事が想定されますので、遅れないようにして下さい」

「……はぁい……」

「では、本日はここまでです。各自寮に戻り明日に備えて下さい」


やっとの解散宣言に、新入生は疲れを癒すために、素早く寮に向かった。その原因は入学式なのだが。

斗真も寮に帰ろうとする。皆程ではないといえ、多少は疲れている。原因は入学式は無いのだが……

そう思っている所に、その原因がやってきたりする。


「黒崎君、寮に帰ったら聞いても……」

「……明日では駄目なんですか? 魔力検査があるんですよね」

「それはそうなんだけど……。いや、確かにそうだな……」

「閣師さん?」

「分かった。また明日にしよう……」


風魔の様子が少し変だなと斗真は思ったが、思考する事より疲労の方が勝っていたため、これ以上は考えないことにした。

明日自分が目立つことを知らずに……





いかがでしたか?

次話もよろしくお願いします!

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