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1‐3

 季節はもう秋へと差し掛かっているというのに日差しはまだ暑いままだ。昼間の気温は真夏ほどではないが上がる。激しく動けばじっとりと汗をかき、身体は水分を欲するだろう。なのでアルフは日差しから肌を守るために薄手の生地ながら長袖を着ていた。一方少女はどうだろう。とても外に出るとは思えないような恰好をしている。上着はなく、薄手の白いワンピースの一着。足は何も履かずに裸足である。その事にアルフが気付いたのは少女を助けてから少し経ってからの事。小石を踏んだ時に上げた声からだった。今更になって馬車に戻るのも煩わしいと思ったので、アルフは少女を背負っていくことにした。始めて会った男の提案に少女は拒否するかと思いきや、命を助けられたことによって信頼しているようで、恐る恐る背におぶさった。

 ふわりと長く伸びる銀色の髪からはよい匂いが香り、アルフの鼻がそれを感じると少しドキリとした。それでも彼は平常心を保ちながら少女と共に街を目指した。

 歩きながらアルフは思った。軽いな、と。女の子なので男のアルフより軽いのは当たり前なのだが、それを差し引いてもやけに軽く感じた。

 少女の身長はアルフの胸よりも少し低いくらいで、女性としては平均ほど。それなのにやけに軽い体重。あまり、食べていないのだろうか。それにこの格好だ。何かわけありには違いないのだけれども今はそれを聞くことなく歩き続けた。

 安心したのだろうか、いつの間にか少女はアルフの背中で眠ってしまっていた。無言で街まで歩くことはアルフにとって変わりないのだけれど、少女に持たせた剣と荷物を落とさないかだけが心配だった。


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