表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

myself

作者: ふなはしけんた

寒冷前線は雷を伴う激しい雨を降らせる。

前線通過後は寒気に覆われるため、気温が下がり、一歩一歩冬の温度へと移行してゆく。

やがて前線は訪れなくなり、大陸からの季節風が吹き付けるころには、大平洋に面したここでは乾いた風と晴天が続く。


自分の影の輪郭が薄くなる。

日ざしが弱くなっていく。

でも、そんなに落ち込むこともない。ほら、あと3週間で冬至。

あとは少しずつ長くなっていくだけ。


ぼくという存在がいるだけで、救われる人はいるだろうか。

こんなことを思うだけで、かなり思い上がっているような気もするが。

うん、でも、そう思わないとなんだかやっていけないんだよ。


別にラブラブってわけでもないし、まあ、本当はその反対だし、

このあふれんばかりの愛という気持ちをぶつける相手もいないし、

誰かに注がれているわけでもないし。


自分がどうしてここにいるのか、ということをずっと考え続けてきていた。

まだ、答えは見えない。

死ぬまでわからないということも気付いている。


誰かに会うために生まれてきた、なんてことは、おそらく、詭弁だ。


もっと普遍的な答えがあると思う。


激しい雨が降ったあとは、いつも空気が乾くように、

ぼくの心も乾いている。


もしも、すべてが偶然の産物というのなら、

今すぐ、ぼくは命を絶とう。


意味のないものなら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ