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第1章 冒拳の始まり、第4話異変そして再び

拳といいつつ、、、


山田の肉体は、紙一重の激闘により、満身創痍であり、木に打ち付けられた背中は傷だらけで血が全身に滲んでいる。このまま此処に居ては不味い。



自分の流す血につられ、どんな獣がやってくるかもわからない。横たわる黒狼を下に見据え、山田は先に進もうと決意する。


そんな中突如、山田の身体に異変が起こる。


『なぁっ、うっ、、、、、』


身体の内側からナニか温かいモノが渦巻いている。そしてそれは、全身を這い回るように巡る。数十秒の後、その温かいナニかはまた、胸の内側へと終息していった。ほんの一瞬の出来事であった。


『今のは、いったい、なんだってたんだ、、』


ここに来てから、おかしな事ばかりつづく。

見たこともない見たこともない森、見たこともない黒い狼、そして身体の異変。極め付けは身体の内側を一瞬巡る謎の温かいナニカ


それに、、『身体の傷がもう塞がりかけてやがる…こんなのありえねぇ……』



まるで、今までとは違う体に作り変えられているような感覚。



先程の激闘、そして謎の現象。



それらきになることはあるもののここにいてはいずれ飢え命を落とす。


『訳がわからねーが、此処にいちゃまずい、森を抜けねぇーといつか死んじまう。』








日が暮れ始める頃だろうか、、、山田はあれからひたすらに森の中を進んだ。幸いあれから獣にも遭遇せず、自分でも分からないが、狼を殺した後からだろうか、更に身体の動きがよくなったおかげもあり、あまり消耗ぜずに森の中を進めていた。



だがあまりにも終わりが見えない。ひたすらに続く同じ黒い巨大な大木の列。近くに川の1つでも流れていれば、どうにかななるもののそんな気配は一切ない。


もう何も飲まず食わずで1日じゅう動き続けている。



『まじで、、こんな所で死ぬんじゃぁねぇか』




このまま一生森を抜けられないのではないか

そう思った矢先




森の中が騒めく。何かがこちらに向かってきている。恐らく獣の足音




『おいおい、、、嘘だろ、勘弁してくれょ……まじで死んじまうんじゃねぇーか、俺』



まさかであった。血の匂いを追いかけてきたのだろう。赤く光る四つの眼光。きょう死闘を繰り広げた相手と同じ姿。


数は二匹、大きさは今日遭った狼よりもひと回り小さい。


『グルルゥゥゥゥウウゥっ』


『グルルゥゥゥゥ』



正真正銘、今度は死を覚悟する。



『報復ってやつか、、、えぇ、、ハハッ………』



乾ききった笑みが山田からこぼれる。 それと同時に闘う覚悟を決める。



大丈夫俺ならやれる。 なんとかそう言い聞かせるが、相手は二体。格闘技経験はあれど、それは競技化された近代スポーツ。多対一は想定されていない。


山田は一瞬思考巡らす。今日闘った狼には締め技で勝ったが、相手は二体。1人に集中している暇わない、ここは打撃だ。 目を潰して逃げよう。



いや匂いだけで追いつかれる、相手は狼だ。



どちらか片方を殺せば、まだ勝機はある。

そう考えにながら


徹底的に殴り殺してやると、心に唱えながら狼を見据える。



山田の殺意を感じたのか、二体の狼は山田に襲いかかる。




『ガォルッ!』 『 グルァ!』


二手に分かれた狼は、山田から向かって左は、脚に、右は首元に飛びかかってきた。


左足を前に右脚は後ろ、ややや肩幅に広げ構える。


左足に飛びついてきた狼を、右足を軸に左足をコンパスのように円を描く様に引き、躱す。



その回転まま首元に飛び上がってきた狼に右のこぶしで右フックを喰らわす。



『フゥンっ!…ドゴォンっ!!』


足を狙った狼は目標を失い勢いそのまま山田の後ろに抜け、首元に狙いの狼は、山田の右フックを、受け左に吹っ飛ぶ。



先手は取った、パンチを喰らわした狼に追撃はしない。体勢を立て直される前に背後の狼を潰す。


右拳を振り抜いたそのままの回転で後ろに振り向き狼に向かって二歩、大きく踏み込み距離を詰める。


狼も向かってくる。大きさは2メートル、体高は山田の胸の高さほど、、大丈夫。

打ち負けない。先程のパンチの感触。7〜80キロはあるであろう狼を吹っ飛ばした感触。




狼の牙が迫る中、山田も体勢を低くし、狼の頭、耳を両手で鷲掴みし、かつ相手の突進力を利用し勢いそのままに狼の下顎に膝蹴りをかます。


怯む狼、一瞬の間、、そこに一撃、二撃、狂ったように膝蹴りを狼にかます、殺すなら今。かます、かます。

まだだ、反撃を許さない。


だが、一瞬の 背後の警戒が疎かになり、もう一匹に後ろから肩口を噛みつかれる。




『ガァウ、、ガッ、』 『ガァルウ!』


『クソッ!!んノォやろ!』



背後に狼をぶら下げながら、山田は膝蹴りを入れ続ける。


『ハァッ! ふぅん! ドラァ!』


脳震盪起こした一瞬の隙を狙い、狼の目を抉り、膝をついた狼を殴る。何発かパンチを入れ動きが止まったのを確認する。首の骨を折った感触。



その間にも、背後からのしかかるもう一匹の狼の

牙をうけ血をダラダラと流し痛みを堪える。



『クッッソ、、痛えぇ!』


素早く後ろを振り向こうとするが肩口を大きく噛まれ、肉が抉れる。そして山田は狼にのしかかられ、とっさに狼の方に向き直る。




今度は首に牙が迫る。





なんとか腕で防ぐも思った以上に重くまた、抑えつける力も強い、首は執拗に狙う狼だが山田も首だけは死守する。だがも腕はボロボロで肉が削げている。




首ではらちがあかないと思ったのか狼が狙いを変え、次は腹を食い破ろうとしてくる。

このままでは不味い。、生きたまま腸を食われるなんて絶対にごめんだ。だがな狼の牙が腹に刺さる。




その瞬間、山田は狼の頭を手で押し、脚を狼の首と狼自身の手を同時に脚で挟み込みロックする。

三角絞め。 この技は自分の脚で相手の首と腕をロックし、相手の首の頸動脈を、相手自身の腕で圧迫させしめ落とす技である。



だが、獣は身体の作りが違う、決めにくい

そう山田は感じながら、それでもひたすら脚で搾り上げる。狼は口を開き腹に噛みつき、暴れる。

腹が痛い。だが絞め続ける。まだまだまだまだ、、、




山田の腹から血が流れ、牙が内臓に届きそうになる瞬間。突然狼の動きがなくなる。 落ちたのだ。




だがまだ締める。山田の腹からは血が流れ続ける。それでも絞め続けること50秒

狼は泡を吹き動かなくなった。





山田は安心するも、もう一匹、殴り倒した方を見る。 大丈夫あいつも死んでいる。




なんとか勝った。1日に二度命のやり取りをし、生き残った。 自分の格闘技は通用した。これまで自分を育ててくれた人、家族、技を教えてくれたジムの先生、先輩達に感謝の念が湧く。だが、、それでも命を奪った。



人ではなかったからだろうか、躊躇いなく殺すことができた、、、心に少しの罪悪感が残る。




そんなことを思いながら山田は唐突な眩暈と眠気を覚える。よくみれは、あたりは血の海だ。




まだ腹と肩から血が流れ続けている。



傷は少しずつ塞ぎかけているが、傷があまりにも深すぎる。


『はぁ…はぁ…ヤベェ、痛えぇ、はぁそれに眠い、、』



血を流し過ぎた。

恐らくこのまま死ぬのだろう。

人生最後の闘いは、今までの全ての成果を出すことができた。プロになりたかったが恐らく自分は訳のわからない森でこのまま死ぬ、人知れず、、そんなことを考えながら、少しの恐怖を感じつつ、闘いの高揚感をそのままに山田は意識を閉じのだった。









誰か助けてくれないかなー

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