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無能探偵と有能助手  作者: Yuma
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第1話

 どうもyumaです。前作は一旦お忘れください。今回は月2回は出せるように頑張りたいと思います。感想、評価お願いします。

 「はぁー……最近全く仕事の依頼が来ないなぁー」


 「いやいや、来てるじゃないですか。犬探しとか、猫探しとか、昨日なんか鍵なくしたから探してくれっていう依頼も来たじゃないですか」


 「いや、俺が求めているのはそういう依頼じゃなくて……なんと言うかもっと大きい、強盗事件とか、殺人事件とか、そういうのをビシッと解決したいんだよ」


 「そんな理想論ばっかり並べてますけど、簡単な依頼ですら私に頼らないと何も出来ないじゃないですか。そんなことだから依頼が来ないんですよ」


 多少の口論をしながらいつも通り大きい依頼なんて来ないまま午前が終わろうとしている。2年前、高校卒業と同時に探偵事務所を開設した俺だが、いやー正直なめてた。難しい事件をバンバン解けるかなと思っていた時期が懐かしい、現実は、依頼はほとんど来ないし、来たとしても何をすればいいか分からない。そんな状態でも探偵として食べていくという夢が捨てられず、助手の求人をするとなぜかめちゃくちゃ優秀な助手が出来てしまったというわけだ。まあ、そのおかげで、大きい依頼はいつも通り来ないけれど、簡単な依頼ならポツポツと来るようになったんだけれども……助手が有能すぎるせいで俺の方が助手だと思われることがしばしば……かなり……いや、ほとんどである。優秀な助手がいるというのは探偵の端くれとして非常に嬉しいことではあるのだけれど、もうちょっと俺を立てて欲しいのである。……まあ、そんなこと言おうものなら、即座に反論されて論破されるのだろうが……



 「そろそろ昼にしますか?」


 唐突に助手の声が聞こえてきた。時計を見ると正午はとうに通りすぎ、1時が近くなっていた。どうやら暇すぎて寝てしまっていたらしい。探偵としてはどう考えてもレッドカード、退場である。まあ、幸運にもここにはレフェリーなんてものはもちろん存在しないし、俺の探偵としてのタブーを見ていたのは、俺の助手な訳だから、ここから出ていく必要はない。

 

 「今日は何を作ったんだ?」


 「えっとですね、今日は……パエリアと、ぶり大根を作ってみました。あとはまあ、いつも通り、コンソメスープと、ちょっとしたサラダですかね」


 昼食のとき毎回思うのだが……なんなんだこいつ。探偵の俺よりも探偵としての素質がありながら、その上料理まで完璧にこなす。もっと言えば掃除から洗濯まですべてやってくれる。……ん、俺?、皿洗い位はしてますよ、ええ、はい。ここまで来るとずっと晴れない疑問が湧いてくる。何でこいつ俺の助手なんだろう?と、自分で言うのもなんだが、俺の探偵としての素質は0に等しい。あいつの腕があればもっと魅力的な職業がいくらでもあると思うのだが……まあ、そんなことよりせっかく昼食を作ってくれた訳だから冷めないうちに食べよう。


 「いつもありがとうな」


 「いえいえ、餓死されるよりはましですから」


 笑顔で酷いことさらっと言いやがった。まあ、いつものことだからもう慣れてしまったけれど……


 「めっちゃうめぇ!」


 パエリアなんておしゃれなもの初めて食べたがとても美味しかった。ぶり大根はさっき作ったはずなのに大根に味がちゃんと染みていてとても美味しかった。何か時短技でも使っているのだろうか。美味い、美味いと連呼しつつ夢中で食べながらふっと前に座っている助手の顔を見るととても優しい顔をしていた。ずっとこれならとても可愛いのに……


 昼食も終わり仕事が来ないのでソファーに座りながらいつも通りゆっくりしていると、入り口からノックの音が聞こえた。良かった。今日は仕事があるらしい。


 「どうぞ、開いてますよ」


 「失礼します」


 と、きっちりとした高そうなスーツを着た、いかにもキャリアウーマンという黒髪長髪の女性が入ってきた。見た目的には20代後半あたりだろうか。


 「どうぞ、お掛けになってください」

 

 と、助手が俺が座っているソファーの対面に女性を案内した。


 「ありがとうございます」


 そういって女性がソファーに腰かけると、いつ用意していたのか助手が依頼人の女性と俺にお茶を出し、俺の座っている場所の近くに立った。……本当に優秀な助手である。俺にはもったいないくらいだ。


 「えー、わたくし、この探偵事務所で探偵をしております柊光二ひいらぎこうじと申します。よろしくお願いします。こちらは助手の神崎椿かんざきつばきです」


 「神崎です。柊探偵の助手をしております。よろしくお願いします」

 

 自分自身と助手の簡単な自己紹介を終わらせ、俺は依頼人の女性に名刺を手渡した。


 「ご丁寧にありがとうございます。私は凪原九十九なぎはらつくもと申します」

 

 両方の自己紹介も終わり、俺と、凪原さんは助手が入れたお茶を一口飲んだ。


 「早速ですが、今回はどのようなご用件でしょうか。」


 俺が聞くと凪原さんはゆっくりとこう答えた。


 「仕事で使う大事なものをどこかで落としてしまったようで……探していただきたいのですよ」

 

 このときの俺はいつもの落とし物探しの依頼があんな大事件に発展するなんて思いもしなかった。……

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