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†旅の始まり†Ⅱ

                    


「ああああああぁぁぁぁぁぁ……」

やっと終わった。魔術の取得がこんなに難しいとは知らなかった。

しかし、リュミエールが第八次世界大戦の時に魔術師として派遣されていたとは。

第八次世界大戦は、俺が9歳になった年に始まって、それから1年間続いた、ソレイユとユエグアンの全面戦争。

俺が今年18になったから、約8年前の出来事だ。

第七次までの戦争とは違い、魔術師が多く派遣されたというのを聞いたことがある。

リュミエールは最高指揮官として派遣されていたらしい。

最高指揮官というと、派遣された魔術師の中では一番位が高かったはずだ。

まだ生きているとは聞いていたけれど、まさか知り合いだとは、思いもしなかった。

実践だとか言って、戦闘態勢に入り始めた時はどうしようかと思った。

生きた心地がしない、というのはこういうことを言うのか。

これからはリュミエールをあまりからかわないようにしよ…………そうだ、明日出発だったっけ。

もうリュミエールにも会えないのか。

昨日はベルクがご丁寧に持ち物のチェックリストを作ってもってきてくれた。

ベルク曰く『ここに乗っているのを持っていけば怖いものはない』らしいが、正直俺はこんなに持っていっても使わないと思う。

時々ベルクの考えていることが分からない。

何を考えると旅に〈かんなやすり〉なんてものがが必要になるのだろう。俺にはまったく理解できない。

まあ、忘れていくと何を言われるか知れないから、とりあえず全部持っていこう。

「ふぅ……準備終了っと」

……もうこの家のしばらく見られないのか。

父さんと母さんが旅に出てからは、この家の主は俺になったわけだから、俺が旅に出ると、この家は空き家になるんだな。

また、帰ってこられますように。

これから旅立つ、月光の民(ユエグアン)の領土から。



―――事の起こりは7年前。戦後、ソレイユの勝利に活気だっている街の人たちとは裏腹に、俺の両親の気分は沈んでいた。

近づくと、とぐろを巻いていそうなオーラ。

なぜ二人がそんなに沈んでいるのか。

街の人々は不思議がった。

二人は街の人たちに顔が通っていたし、厚い信頼を受けていたので、何か助けになれるものなら、とたくさんの人が集まってきたのだろう。

しかし、原因を街の人たちが当てることはなかった。

両親が自分から言うこともなかったから、その原因を知っていたのは、一番近くにいた俺と、よく俺の家を出入りしていたベルクとリュミエール、その他少数の付きの人々だけだと思う。

戦争に勝利した後の国で、誰がそのことを原因だと思うだろうか。

ソレイユとユエグアンの友好関係を誰が望んだだろうか。

それからしばらくして、二人はユエグアンへ旅立った。


あれから7年。二人が帰ってくることはなかった。

最初の一年ほど、何通か電報が届いたがそれも途絶え、今は生きているのかも解らない。

両親を捜す、それが俺の旅の目的。

ユエグアンに住みついているのか、どこかぶらついているのか。最悪の場合も考えなければならないが。

いけるところまで行ってみよう。きっとどこかにいるはずだ。


――父さん、母さん、どこにいるんだ?

俺はもう大人になった。どこへ行くのも自由なんだ。こんなに大きくなったんだぜ?

早く、会いたいな。今から行くからな!


人を引き付けられる文章を書きたいです……><

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