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解説 —還らざるロケット推進戦闘機隊— 陸軍からみた世界観

作者: cyanP
掲載日:2026/04/21


 私はミリタリーマニアではありません。

 兵器や軍事について、たいした知識もありません。


 にも関わらず、今回なにを解説するかというと

『還らざるロケット推進戦闘機隊』を書く過程で、意外と語られていない。

 という事を知ったからです。


 なにが?


 日本では、このての戦闘機モノでは圧倒的にゼロ戦が主役です。

 あのゼロ戦こと『零式艦上戦闘機』ですね。


 日本軍のプロペラ機はすべて『ゼロ戦』と呼んでしまう人がいたり。

 アニメ化、映画化、未来や異世界に召喚されるのも、いっっつもいっっつも


『ゼロ戦』


 このモテモテのゼロ戦の正体はなにかというと海軍の戦闘機なんですね。


 文字通り『航空母艦』から発艦する戦闘機だから『零式艦上戦闘機』という名前です。



 旧日本軍では、『空軍』というものが無くて

『海軍』か『陸軍』の航空隊ということになるのです。


 で、


 圧倒的にゼロ戦が有名! 人気。

 必然的になんでもかんでも海軍のゼロ戦のお話になっちゃうわけです!


 ──いやいやいや、陸軍でもゼロ戦の話ぐらい作れるでしょ?

 と、思われるかもしれませんが

 いえ、作れません。


『海軍』と『陸軍』というのはグループが違うだけではないのです。


『陸軍』にゼロ戦なんて無いのです。

 持ってる飛行機が違うのです。全然別の軍隊なのです。

「お? 海軍くんの、この飛行機イイネ! うちも導入しよ」とかそういう雰囲気ではないのです。


 めちゃめちゃ仲悪いです。


 あと、日本人の知ってる、あるいはイメージする戦争って『対米戦』なんですね。

 アメリカ相手のドンパチ。


 すると戦場は太平洋。

 主役はもちろん海軍。


 太平洋の広い戦場を飛ぶのは海軍機のゼロ戦なんですよ。

 そのためにゼロ戦は外国人がなかなか信じなかったほどの異常な航続距離を持って作られているから。


 陸軍の飛行機は、元々そんな航続距離を目指して作られていないので、はるか海を渡って作戦行動を行う、なんてのに向いてない。島嶼防衛に使いにくい。


 そもそも海軍機と陸軍機では構造が違う。例えば空母で運用される事が前提である海軍の航空機は、陸上の長大な滑走路ではなく、ごく短い空母甲板に墜落とも言える勢いでドーンと着艦しなければならず。その関係で着陸脚や構造が陸軍機より(当然、重くなって不利になるが)頑丈に作られている。


 そんなワケで、対米戦では陸軍機の出番が少ない。

 物語にも出てこない。

 必然的に知名度がない。


 という理屈でこうなっとるワケです。(たぶん、いや知らんけど)


 で、


 私の書いた『還らざるロケット推進戦闘機隊』は、珍しく陸軍航空隊のお話なんですね。


 まぁ、ハッキリそうとは書いておらず、架空戦記にしてありますが。


 主人公たちは対米戦が始まる前、大陸で共産圏の戦闘機と戦うところからはじまっているわけです。


 乗機はもちろんゼロ戦ではなく、『一式戦闘機〝隼〟(っぽいハヤカゼ)』です。


 え? なにそれ? そんな名前の飛行機、聞いたこと無い。


 それがほとんどの一般人の反応です。


 小惑星『イトカワ』を探査して帰ってきた国民的探査機『はやぶさ』は知っているのに。

『イトカワ』の名前は、日本のロケットの父『糸川英夫』から来ているのに。

 

 そして糸川英夫は一式戦闘機『隼』の設計者の一人だったりするわけです。


 つまり、『ハヤブサ』という名前一つにも、非常に壮大なエピソードが背景にある未来へと続く物語なのです。



 にも関わらず、『隼』の事は誰も知りません。


 どういう戦闘機だったかは、『還らざるロケット推進戦闘機隊』劇中で『隼風』として描いてあります、ほぼこのイメージ通りだと思います。


 これは、現代では相対的にとても珍しいことらしいです。

(昭和中盤頃までなら学童誌なんかにも結構、旧軍兵器解説や漫画が出てたのかな?)


 わたしが『隼』に前々から思い入れがあったわけではなく

 むしろ、わたしも「隼? なにそれ?」の側だったのが

 今回物語を書くにあたって偶然、陸軍航空隊をモデルにすることとなり

 こうして『隼』が戦った長い戦歴を

『陸軍からみた世界観』で描く機会となったことは

 幸運であったように思います。


 以上です。






知人に話したら意外とウケたので書きました。

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