インタビュー記録 ⑦
瀬戸: あと、一番ムカつくのがあの「女神」だよ。あいつ、雲の上から指図するだけで、自分じゃ指一本動かさないんだぜ?
調査員: 女神は世界を管理する存在ですから、直接の干渉は禁じられている……という設定では?
瀬戸: 設定、設定って……。いいか、あいつ「勇者様、世界を救ってください」って泣きついてくるくせに、俺に渡した初期装備、ただのこん棒と布の服だぞ? 挙句の果てに「あなたならできます」って、根拠のない精神論。ブラック企業の社長かよ。
調査員: 試練を与えて成長を促す、という意図があったのかもしれません。
瀬戸: 違うね。あいつ、ただの「丸投げ」だよ。自分が管理ミスって魔王に攻め込まれたツケを、関係ない元の世界の一般人に払わせてるだけだ。しかも「救世主」なんておだてて、最前線に放り出す。あいつらがやってるのは管理じゃなくて、単なる「外注」だ。
調査員: 外注……。
瀬戸: そうだよ。しかも、何かあればすぐ「神託」だ。「北の洞窟へ行け」「聖剣を抜け」。……全部命令。あいつ、自分を「プロデューサー」か何かだと思ってやがる。俺が死にそうになっても「これも運命です」で済ませるんだ。ふざけんな、運命決めてるのお前だろ!
調査員: 女神への不信感が、失踪の引き金になったのですね。
瀬戸: 女神だけじゃない、あの世界の連中全員だよ。魔王が現れたら勇者、日照りが続けば聖女、困ったら神頼み。……自分たちで工夫してダムを作るとか、作物を品種改良するとか、そういう努力を一切しない。全部「奇跡」で解決しようとする。
調査員: 依存心が強すぎると。
瀬戸: 依存なんてレベルじゃない。あいつら、俺がいないと飯も食えないんじゃないかってくらい無能なんだ。勇者が現れるのを待ってる間、あいつら何してたと思う? 「予言の書」を読んでお茶飲んでただけだぜ。……そんな奴らのために、なんで俺が命を懸けて、読者に「いいね」を献上しなきゃいけないんだよ。
調査員: それで、ついにその役割を降りた。
瀬戸: ああ。最後に女神が降臨して「まだ物語は続きます」とか抜かしたとき、中指立てて言ってやったよ。「続きはお前が自分で書け。俺は読者も作者も、お前っていうキャラも、全員まとめて『ブロック』する」ってな。
調査員: ……。
瀬戸: さて、調査官さん。もういいだろ? 早く帰らせてくれ。……これから、自分の意志で、自分の金で、自分の食いたいカップ麺を選びに行くんだ。神の導きなんて一ミリも入ってない、最高に「自力」な晩飯をな。




