インタビュー記録 ⑤
調査員: 瀬戸さん、先ほど「属性の塊」とおっしゃいましたが……。
瀬戸: まずさ、出会う女がどいつもこいつも「ヒロイン」すぎるんだよ。
現実であんな露骨に胸元開いた服着て、初対面の男に「運命を感じます」なんて言う奴いるか? いねえだろ。あいつら、俺を見てるんじゃなくて、俺の頭上に浮いてる「勇者」っていうラベルを見てるだけなんだ。
調査員: それは……あちらの世界の文化というか、設定では?
瀬戸: 設定、そう、それだよ! 「ツンデレ」だの「聖女」だの、誰かが決めた役割をなぞってるだけ。会話してても、次のセリフが予想できちゃうんだ。「……べ、別にアンタのためじゃないんだからね!」って、いつの時代のテンプレだよ。あいつらと一晩中語り合っても、中身が空っぽで虚しくなるだけなんだよ。
調査員: なるほど。では、救うべき民衆との関係はどうでしたか?
瀬戸: 民衆? ……あいつら、村の近くにゴブリンが三匹出ただけで「勇者様ぁ! 助けてください!」だだぞ。自分で竹槍持って追い払えよ。なんで俺が、わざわざ隣の村まで行って害獣駆除しなきゃいけないんだ?
調査員: それもまた、勇者の使命として期待されていたわけですが。
瀬戸: 期待? 依存だろ、あんなの。あいつら、俺が解決するのが当たり前だと思ってやがる。こっちが泥まみれで戦って戻ってきても「さすが勇者様! 次はこの魔物をお願いします!」だ。感謝の言葉もテンプレ、依頼の内容もテンプレ。……俺は便利屋じゃねえんだ。
調査員: 作者や読者は、そういう「人助けをして感謝されるシーン」を求めていたようですが。
瀬戸: 知らねーよ、そんな安い感動! 俺がちょっと「疲れた」って顔をすれば、作者はすぐに『村人の娘が泣きつくイベント』を発生させる。逃げ道を塞いで、無理やりヒーローを演じさせるんだ。……あんな世界、ただの巨大な介護施設だよ。
調査員: それで、ついにキレたと。
瀬戸: ああ。魔王城の前で、みんなが「さあ、伝説の決戦だ!」って盛り上がってるときに言ってやったよ。「お前ら、自分の人生くらい自分でどうにかしろ。俺は帰って寝る」ってな。
調査員: ……。
瀬戸: 調査官さん、悪いけど、これからコンビ弁当温めるっていう「重要任務」があるんでまたな。




