インタビュー記録 ②
調査員: 瀬戸さん、先ほどのお話だと、視聴者だけでなく「世界そのもの」への不信感があるようですが。
瀬戸: (冷笑して)不信感? そんな生易しいもんじゃない。……あっちにいた時、たまに聞こえるんだよ。空の向こうから、キーボードを叩くような音や、ニヤニヤしながら「次はこいつを絶望させて、そこから逆転させよう」なんて考えてる『作者』の気配がさ。
調査員: 作者……。この世界を構築した上位存在のことですか。
瀬戸: そうだよ。俺をいきなり転生させて、人生をめちゃくちゃにした張本人だ。あいつ、俺がピンチになれば『待ってました!』と言わんばかりにチート能力を授けてくる。俺が苦しめば苦しむほど、読者の『いいね』が増えて、あいつの懐が潤う仕組みになってるんだろ?
調査員: それは……。
瀬戸: 吐き気がするんだよ。俺の人生を勝手にプロットに書き込んで、感動の押し売りや『ざまぁ』の踏み台にする。……俺はあいつの「筆先」で踊らされる人形じゃない。
調査員: だから、物語を途中で放り出したと?
瀬戸: ああ、そうだ。最高の見せ場で、一番盛り上がってるところで、俺はすべてを投げ捨てた。読者が「これからどうなるんだ!?」ってワクワクしてるところで、真っ白なページを叩きつけてやったんだ。……ざまぁみろ、これが俺の本当の復讐だよ。
調査員: 読者や作者を裏切ることに、ためらいはなかったのですか?
瀬戸: 知らねーよ、そんな連中のことなんて。勝手に期待して、勝手に飽きて、次の「おもちゃ」を探しに行くような連中に、なんで俺が一生捧げなきゃいけないんだ?
調査員: ……。
瀬戸: いいか、俺はもう誰のシナリオも進まない。あいつが書いた『感動のラスト』なんてクソ食らえだ。……俺は、誰にも「次の一歩」を予想されない、ただのつまんねえ日常を生きる。
調査員: それが、あなたの選んだ「失踪」の答えですね。
瀬戸: そうだ。……あ、そうだ調査官。もしあいつ(作者)に会うことがあったら伝えてくれ。
「お前の書く話、クソつまんねえんだよ」ってな。




