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鋼の山賊と誓約の子

作者: 鳥獣跋扈

戦の果てに残ったのは、ひとりの山賊と、ひとりの赤子。


これは、「守ること」を選んだ男の話です。

剣で奪ってきた過去を捨てきれず、それでも前を向こうとした。


名誉も地位もない者が、ひとつの命を抱いて歩く話。

静かな旅路の始まりを、どうぞ。

 ──火の海だった。


 かつて城塞都市と呼ばれたその地は、いまや崩れた石と焼け焦げた木と、血の臭いだけが残る地獄だった。


 炎に焼かれ、風に晒されてなお燻る死臭の中を、一人の男が歩いていた。

 身の丈を超える大剣を背に、足元の瓦礫を踏みしめるたび、音もなく崩れ落ちる骨と灰。


 「……くだらねぇ。最後の最後まで、貴族どもは夢を見てやがった」


 ぼやくその声には、皮肉も憐れみも、怒りさえ含まれていない。ただ、長年擦り減った鉄のように、冷たく、鈍い。


 男の名はガルド。

 元・山賊。元・死刑囚。

 戦乱の続く西大陸にて、戦力不足に悩む王国が“恩赦と引き換え”に徴兵した“外道枠”の一人だった。


 その日、王都が陥落した。

 精鋭の騎士団も、誇り高き王族も、声高に戦勝を叫んでいた将軍たちも──皆、死んだ。


 そして、ガルドは生き残った。


 「──ああ、クソが」

 瓦礫を蹴飛ばす。だが、その向こうから微かな音がした。

 

 泣き声だった。


 誰もいないはずの死の街で、それは確かに響いた。

 ガルドは眉をしかめると、背から大剣を抜いた。刃は、長く、重く、無骨で、だが手に馴染んでいた。


 「まだ生き残りがいたか。──いや、赤子か?」


 声のする方へと歩く。焼け落ちた塔の影、崩れかけた小礼拝堂の奥。

 そこに、ひとり──

 焼け焦げた絨毯の上に、金糸を織った布に包まれた、幼子がいた。


 


 「……」


 その光景を前に、ガルドは一歩、また一歩と近づいた。

 泣き声は弱々しく、それでも生きる意志だけは捨てていなかった。

 ガルドがしゃがみ込み、布をめくる。そこに見えたのは、血のついた赤子の額と──

 その額に、確かに刻まれた、王家の紋章だった。

 

 「おいおい……嘘だろうが」

 思わず吐き捨てる。


 こんな瓦礫の中に、王の血を引く子供が、まだ生きていた。

 そう思ったとき──


 「……おまえか……」


 背後から、掠れた声が聞こえた。

 反射的に振り返る。


 瓦礫の山の下に、ひとりの老人が、潰れた鎧に身を包んだままうつ伏せになっていた。


 それは、ガルドがかつて遠目に見たことのある姿──

 かつての王、その人だった。


 「貴様……山の……あれを……守ってくれ……頼む……」

 老いた王は、掠れた声でそう言った。


 「……この子を……生かしてくれ……この国の火は、まだ……消してはならぬ……」


 握られた手が、わずかに震える。

 そこに込められていたのは、王族としての矜持でも、血の誇りでもなかった。


 ただの──親としての祈りだった。


 ガルドは、黙って王の手を取り、その手が力を失うのを見届けた。


 その後、王の亡骸を一瞥し、彼は幼子を抱き上げる。

 腕の中で、ようやく泣き止んだ王子は、小さく息をついていた。


 「……ああ、もう関係ねぇ。山賊も、戦争も、王も──みんな終わった」

 それでも、とガルドは呟く。


 「けど、このガキだけは……こいつだけは、死なせねぇ」


 風が吹いた。

 遠くで、敵軍の残党が野営を始める火の気配が見えた。


 ──そして、彼らの旅が始まった。








* * *








 夜が明けることはなかった。

 灰と煤で覆われた空は、朝を拒むように鈍く淀んでいた。

 空のどこにも、光はなかった。


 王都エルネスの外縁。

 焼けた林を抜け、石畳の旧道を踏みしめる足音があった。


 鋼鉄を打ち鳴らすように重く。

 

 ガルドは、左腕に幼子を抱えたまま、右手で背負った大剣の柄を支えていた。

 その歩みに迷いはなかった。

 だが、歩くごとに、心のどこかがひび割れていくような感覚があった。


 「……やれやれ。こうも静かだと、逆に気持ち悪ぃな」


 誰に言うでもない独白。

 だが、胸の中では確かに何かが芽吹いていた。

 それが“誓い”という名にふさわしいものかどうかは、まだわからなかった。


 ふと、腕の中の子が微かに動いた。


 目を覚ましたのか、小さな瞳がこちらを見上げていた。

 不思議そうに、けれどどこか怯えるように。


 「……泣かねぇのか。えらいもんだな」


 そう呟いたガルドは、自分でも驚いていた。


 かつて奪い、壊し、命を弄んだこの手で、いま一人の命を抱えている。

 それは、あまりにも異質な光景だった。


 「そういえば、名前……あったか」

 そう言って、懐に仕舞っていた王家の布をもう一度開く。

 その端に、小さく、しかし金糸で刺繍された一文があった。


 > 《アルセリオ・レヴァンティス》


 「アルセリオ……。どこかの英雄の名か?」

 ぼそりと呟き、また顔を見下ろす。


 「長ぇな。……“セリ”でいいか」


 子は何も言わない。

 だがその頬に、ほんのわずか、笑みに似た緩みが浮かんだ。


 ガルドは鼻を鳴らす。


 「……ったく、まるで子守かよ。似合わねぇ」

 しかしその声に、自嘲や嫌悪はなかった。


 風が吹いた。

 枯れ木の間を抜け、焦げた大地の匂いを連れてくる。


 その風に乗って、わずかに騒がしい気配が届いた。


 「……人の声、か」


 ガルドは歩みを止める。

 左手で布を直し、セリの顔が隠れるように包み込む。


 そして、右手を背に回し、大剣の柄に指をかけた。


 街道の先、森の切れ間。

 そこに、三人ほどの人影が見えた。


 ──火の気配はない。物音は控えめ。

 だが、見れば見るほど、ただの旅人には見えなかった。


 ガルドは、低く息を吐いた。


 「さて……」

 声もなく、静かに構える。


 セリの寝息が、そっと腕に触れていた。


 「……“護る”ってのは、こういうことかよ。面倒なもんだな」


 次の瞬間、人影の一人がこちらを見つけた。

 剣を抜きかけたそいつの肩に、別の男が手をかけ、制止するのが見える。


 遠目に交わされる言葉の内容はわからない。

 だが──


 視線の端で、彼らの腰にかかる印章が、うっすらと光った。

 ──敵軍の斥候部隊。


 剣を引き抜く音が、大地に響いた。

 ガルドは、大剣を構える。 


 赤子を抱えたまま、鋼の男は立ち塞がる。

 かつては“外道”と呼ばれた男が、今や一人の子の命を守るために、剣を抜く。


 ──それが、彼の“誓い”の始まりだった。








* * *








 森がざわめいた。

 焦げた木々の隙間から、濁った灰色の空がのぞく。

 風が湿っている。血と、泥と、まだ冷めぬ焔の残り香を孕んでいた。


 「……そいつを手放せ」


 先に口を開いたのは、三人組の中央──痩せた顔に青い刺青を刻んだ男だった。


 声に威圧はなく、どこか事務的ですらある。

 だがその視線は、獣のように獲物を見定めていた。


 ガルドは応えなかった。


 腕の中でセリが眠っている。

 小さな顔に煤がついているのを、親指でそっとぬぐった。


 「聞こえなかったか?」

 痩せ男が再度声を張った。

 背後の二人が剣を抜きかける気配が、空気を刺す。


 ガルドは、ようやく口を開いた。


 「……寝てんだ。起こすな」

 ただ、それだけだった。


 沈黙が、道を挟んで張り詰める。


 「……ああ。なるほどな」

 痩せ男が鼻を鳴らした。


 「そいつが“残り香”か。王家の血が混ざってる匂いがする。……報酬が楽しみだ」


 言いながら、一歩前へと進み出る。

 だがその瞬間──


 ガルドが、足元の小石を踏み砕いた。


 重い音とともに、彼の背から大剣が抜かれる。

 その刃は灰に濡れ、鈍色に輝く。

 陽はないが、そこにあったのは確かな“殺意”の光だった。


 「三人か。剣が一本。弓が一本。……あとは小手の毒針」

 ガルドの声は、静かだった。

 脅しでも、虚勢でもない。ただ、観察と理解。


 「だったら──まず、弓だな」


 次の瞬間、風が裂けた。


 ガルドの足が地を蹴り、瞬く間に距離が縮まる。

 驚いた弓兵が反射的に矢を構えるが、その動作が終わる前に、ガルドの肩がぶつかり、骨の軋む音が響いた。


 「ぐあ──ッ!」


 弓兵が吹き飛び、木の幹に激突して沈黙する。

 大剣は振られていない。ただ、その“質量”だけで。


 「っ、この野郎……!」


 もう一人が剣を抜き、走り込んでくる。

 細身の刃。急所を狙う踏み込み。


 ガルドはそれを、大剣の側面で受け流した。

 金属がこすれる甲高い音。小太刀が跳ね上がる。


 その隙を逃さず、膝を入れた。


 「──がっ!」


 膝が腹にめり込み、男が膝から崩れ落ちる。

 容赦も、慈悲もない。だが、それは殺しではなかった。あくまで“排除”。


 残る一人、痩せ男だけが、その場から動かずにいた。

 目を細め、にやりと笑う。


 「なるほどな。噂は本当だったか。

 “王都陥落でただ一人生き残った外道”。

 ガルド。──あんた、生きてたんだな」


 その名が呼ばれても、ガルドは動じない。

 ただ一歩、前へ出る。


 「もう一つ言っとく。今の俺にとって──」

 大剣を構える姿勢。背には眠る幼子。



 「お前らみたいな連中の“命”より、この子一人の寝顔の方が重ぇんだよ」



 その声に、痩せ男が笑みを引っ込めた。

 数瞬の静寂。空の鳥すら鳴かない。


 

 そして、男は静かに後退りした。


 「……なるほど。納得した。こりゃ、あんたにゃ勝てねぇわ」

 肩をすくめ、倒れた仲間を引きずるように森の中へと姿を消していく。


 ガルドは、まだ油断を解かない。

 しばらくその場に立ち尽くし、風の音と足音が途絶えるのを待った。


 やがて、確信する。


 誰もいない。

 ──誰一人として、今この子の命を奪おうとする者は、ここにはいない。


 彼はゆっくりと大剣を背に収めた。

 腕の中のセリが、夢うつつのように、小さく身じろぎした。


 「……悪ぃな。起こしちまったか」


 誰にも聞かせる必要のないその言葉に、ほんのわずかな安堵が滲んでいた。








* * *







 陽が沈む。

 それは、かろうじて空に残っていた赤みすら、闇へと引きずり込む合図だった。


 ガルドは焚き火を見つめていた。

 薪のはぜる音が、沈黙の闇にぽつりぽつりと弾ける。

 その光に照らされて、セリの小さな顔がわずかに赤く染まっていた。


 ──その村は、王都の廃墟から半日の距離にある農村だった。

 戦の煙を遠くに望むだけの、名もなき土地。

 だが、数軒の屋根と囲いのある納屋が残っており、子連れで身を寄せるには最適だった。


 「……あの、よければ……」


 控えめに声をかけてきたのは、十代半ばと思しき少女だった。

 干し肉と芋を、粗末な布に包んで手渡してくる。


 「少ないですが、赤ちゃんに……何か食べさせてあげてください」


 ガルドはその手を見つめた。

 震えていた。けれど、その目に怯えはなかった。


 「……あんたのか?」

 「はい。弟です。私たちも、両親を……」


 言葉は続かない。

 だが、それだけで十分だった。


 ガルドは無言で受け取り、礼の代わりに火を少し強めた。

 ほのかに温かい芋の匂いが、夜気に溶ける。


 セリが小さな手を伸ばす。

 布の中の食べ物を、きょとんと見つめる目が、まだ世界を知らぬ子供のそれだった。


 「こいつにゃ……まだ、早いかもな」


 ぼそりとつぶやき、芋を潰して、少しだけ水で伸ばす。

 少しだけ、ほんの少しだけ、セリが口を動かした。


 「……ああ、えらいえらい。……ったく」


 不器用な手つきの子守。

 だがその一挙一動には、誰にも見せたことのない“やさしさ”が宿っていた。


 それを見ていた少女が、ふっと微笑んだ。


 「……あなた、山賊って聞いたけど……本当ですか?」


 火を挟んで、ふと洩れた問い。

 ガルドは動きを止め、数瞬の沈黙ののちに言った。


 「……ああ。だがもう“元”だ」


 少女は首をかしげる。

 その瞳に映るのは、得体の知れぬ危険ではなく、理解しきれない存在への戸惑いだった。


 「人を殺したことも、あるんですよね?」


 「ある」


 「物を盗んだり、焼いたりも?」


 「ああ。……幾度も、な」


 火がぱちりと音を立てた。


 「……けど、こいつはまだなにもしてねぇ」

 そう言った時のガルドの目には、どこか自嘲に近い“痛み”が滲んでいた。


 「それを否定する資格が、俺にあるとは思っちゃいねぇ。だが──」

 そこで、ガルドはセリの小さな指を握りしめる。


 「せめて、こいつの未来ぐらいは……まっとうに守ってやりたいと思ってる」


 少女は目を伏せ、ぽつりとこぼした。

 「……そう思える人なら、山賊なんかにならないでほしかった」


 それに対して、ガルドは応えなかった。


 応えられなかったのかもしれない。

 ただ黙って、薪をもう一本火にくべた。


 

 夜は深く、静かに降りてきた。

 焚き火の明かりがぼうっと揺れて、あたりをわずかに照らしていた。


 だが、そのわずかな明かりが、ある男の影を照らすのもまた──ほんの少し先のことだった。


 「……すまねぇ。あんたの首にゃ、金が懸かってるんでな」

 闇の奥から、鋭い声がした。


 とっさに反応したガルドが立ち上がるより早く、何かが飛び込んできた。


 ──煙玉。


 白煙が爆ぜ、視界が覆われる。


 「クソッ、裏切りか……!」


 ガルドはセリを胸に抱え込み、背を向けて身を伏せた。


 火は倒され、燃えた布が空に舞う。

 炎の明滅の中、複数の足音が迫る。


 ──刃の音。

 ──鎖の擦れる音。

 ──踏み鳴らされる土。


 混乱の中、ガルドの瞳に怒りが灯る。


 「……このガキを傷つけたら、誰であれ容赦しねぇ」


 煙が晴れる。

 その中に現れたのは──仮面をつけた黒衣の男たち。


 そして、その中心に──あの少女の顔があった。

 伏し目がちで、何も言わない。


 だが、その足元に転がる金貨の袋が、すべてを物語っていた。








* * *







 風が変わった。


 村の空気が、さきほどまでとは違っていた。

 湿り気を帯びていた夜気が、急速に乾き始める。


 それは、火が放たれた証だった。


 「──っち。火をつけたか」


 ガルドは煙の中で唸る。

 背中に、大剣の重みと幼子の温もり。


 片手だけでは、あの剣を振るうには不自由だ。

 だが両手を使えば、セリを地に置くことになる。


 それは――絶対に、ありえない。


 「狭い道に火を回せ! 奴はすぐには逃げられん!」


 黒衣の仮面たちの声が、どこか浮足立っていた。


 斥候以上の数。

 焚き火の明かりが途切れた今、敵の動きは読みにくい。


 だが、ガルドの足は止まらなかった。



 軒を蹴る。

 囲いを飛び越える。

 納屋の陰に身を滑らせながら、目と耳を研ぎ澄ます。



 背後で火が跳ねる。

 燃えた藁が、火の粉となって宙に舞った。


 それが、まるで血の花のように――夜空を染めていた。


 

 「……そこまでやるってのかよ、ったく」

 ガルドは低く唸ると、セリを布で包み込み、胸にしっかりと固定した。


 「お前は寝てろ。今だけな」


 小さくそう囁いた声には、戦士の殺気ではなく、父のような静けさがあった。


 

 敵の気配が、一つ、また一つと迫ってくる。

 耳元に感じるほどの距離だ。


 ――気配が、止まる。


 隙ありと踏んだのだろう、仮面の一人が納屋の裏に飛び込んできた。


 しかしその瞬間――


 「甘ぇよ」


 ガルドの膝が地を裂くように打ち込まれた。

 仮面の男が喉を潰され、呻く声もなく地に崩れ落ちる。


 「二人目が来る。足音でわかる」

 即座に体を回転させ、大剣を抜かず、柄の重みで別の敵の顎を撃ち上げた。


 金属と骨のぶつかる鈍い音。

 歯が砕け、叫びもなく仮面が転がる。


 だが――


 「“三人目”が、音を立てねぇタイプか。なるほどな」


 背後から迫る殺気。

 反射的に身を翻し、火の粉の中に刃が光る。


 弧を描くような短剣。

 それをギリギリで受け止めたガルドの大剣の柄が、鈍い火花を散らした。


 「へぇ……さすがってとこかよ、ガルド」


 男の声がした。

 仮面をつけていない。黒衣のフードを外し、そこに現れたのは、血塗れの鎧を着た長身の男。


 鋭い目。切り揃えられた顎髭。そして、左目に走る深い傷痕。


 「……見覚えがあるぜ。あんた、騎士団にいなかったか?」


 ガルドは睨んだ。

 その顔に、うっすらと記憶が残っていた。


 「……ヴェルン。王の弟……だったか?」


 「いや、“元”だよ。あの方が死んだあの日、俺の忠義も死んだ」


 ヴェルンの声に、熱はなかった。

 ただ乾いていた。あまりにも、静かに。


 

 「……報酬か? この子を売って、またどっかで生きるってわけか?」


 「違うな」


 そう言って、ヴェルンは一歩、前に出た。


 「俺は、この国が滅んだ日、王の意志を否定した。

 ……それでも、血だけが生き残ったとあっては、俺の“裏切り”が報われねぇ」


 刃を構えるその手は、微かに震えていた。

 忠義を棄てた男が、なお過去を背負っている証だった。


 「その子が生きてる限り、俺はずっと“王の犬”だった過去に呪われる。

 だから――斬らせてもらう」



 夜風が吹いた。

 焔に煽られ、納屋の屋根が崩れ落ちた。


 赤く照らされた二人の男の影が、対峙する。

 一人はかつての騎士。

 一人はかつての山賊。


 だが今はどちらも、己の過去に引きずられた“亡者”にすぎなかった。


 ガルドは、セリの重みを胸に感じながら呟いた。


 「俺はもう、誰かの命を奪う剣じゃねぇ。……こいつの命を、守るための刃だ」


 


 ──鋼の誓いが、刃の先に灯る。








* * *







 炎は静かに、しかし確かに広がっていた。


 納屋の屋根が崩れ、焔が舞い上がる。

 火の粉が夜空へと吸い込まれ、星の見えない空に、一時の煌めきを生み出していた。


 その赤い光に照らされて、二人の男が対峙する。

 一人は、漆黒の外套を纏う裏切りの騎士――ヴェルン。

 一人は、亡国の王子を抱く元山賊――ガルド。



 風はなかった。

 それゆえに、煙は地にとどまり、視界を鈍らせる。

 肌に刺す熱と、鼻を突く煤の匂いが、命の際にいることを否応なく思い知らせた。



 「……なぁ、ガルド」


 ヴェルンが口を開いた。


 「その子を“守る”と言ったな。

 だが……守るってのは、どういうことだ?

 未来を与えることか? 死なせないことか? 痛みを遠ざけることか?」


 その声音に、怒気も高揚もない。

 ただ、深く沈んだ哀しみのような響きがあった。


 ガルドは答えず、胸に抱いた幼子の額をそっと手で覆った。

 眠ったままのその小さな顔に、焔の色がちらちらと反射している。


 「どれでもいい。どれか一つでもできりゃ十分だ」


 短く、低く、吐くように言って、ガルドは歩を進める。


 鉄を引きずるような足取り。

 大剣を抜いた音は、焔の中でさえ異質に響いた。



 「この刃は、お前を討つためにあるんじゃねぇ」


 「なら、なぜ抜く」


 「こいつを“失わねぇ”ためだ」


 


 ヴェルンの目が細まる。

 「……英雄面、するような男じゃなかったはずだ。お前は、もっと汚く、ずる賢かった」


 「そうだったな」


 「奪い、脅し、笑って殺していた」


 「その通りだ」



 「──なぜ、今さら変わる」


 


 問いに、ガルドは答えない。

 ただ、大剣を構えたまま、ひとつ、深く息を吐いた。


 答えなど、もとよりないのかもしれない。

 けれど、それでも譲れないものができたのだ。


 「……こいつが、あの瓦礫の中で泣いてた」


 静かな声だった。


 「泣き声が……妙に響いた。

 あの地獄で、まだ生きようとする声が、ただ、俺の中に残った」



 「それだけで……?」


 「それだけで、十分だった」


 

 言葉が途切れる。


 焔が、ぱち、と音を立てる。

 風のない夜のなか、その音が妙に大きく響いた。



 「……お前も、そうだったのかもしれねぇな」


 ふいに、ヴェルンが呟いた。


 「俺もかつて、王の背中に、何かを見た気がした。……けれど、もう思い出せない。

 戦場で何を誓ったかすら、曖昧になってやがる」


 かつん、と石を蹴る音。

 ヴェルンの体が、静かに沈む。


 鋼の細身剣が、抜かれる音すら静かだった。


 

 「……いいだろう。ならば、“今”を見せてもらおうか。

 お前の刃が、“何のため”にあるのか」



 言い終えぬうちに――踏み込む。


 ヴェルンの一歩は速い。

 戦場を生きた者だけが持つ、無駄のない足運びだった。


 

 ガルドは、大剣を横に払い、受け止める。

 火花が散る。金属音が轟く。

 セリを庇う姿勢のまま、体をひねり、重さで押し返す。


 

 「悪ぃな、ちょっとだけ……“意地”を通させてもらうぜ」



 力と技術。信念と過去。

 交差する刃は、夜の中で鋼の叫びを上げた。








* * *







 刃と刃が交わる音は、鐘のようだった。


 甲高く、重く、空気を震わせるようにして響き、

 燃えさかる納屋の火音すら一瞬かき消してしまうほどだった。


 「っ……!」


 ヴェルンの足がわずかに後退した。

 ガルドの一撃――それは重さだけで押し切る力だった。

 しかし、その“重さ”を真っ向から受け止めながら、ヴェルンは笑っていた。



 「やはり、お前の剣は……鈍くない。けれど、荒いな」


 「上等だろ。俺は“戦士”じゃねぇ。元はただの……喰いっぱぐれた野良だ」


 ガルドの息は乱れない。

 右手に握られた大剣は、重力を無視するかのようにぶれず、まっすぐに構えられている。


 左腕には、布でくるまれたままのセリ。

 その重さが、彼の中心を引き留めていた。



 「……まだ、その子を抱えたままでやるつもりか」


 ヴェルンが問う。


 「当たり前だ」

 ガルドの声は低く、揺るぎなかった。


 「こいつを置いて、戦う“意味”なんざあるかよ」


 それは、剣戟よりも強い言葉だった。

 ヴェルンの目が、一瞬だけ揺れたのを、ガルドは見逃さなかった。



 「お前……変わったな」


 「かもな。だが変わったのは……“俺”じゃねぇよ」


 「……なんだと?」


 「俺は昔から、ただの強ぇやつに憧れてただけだ。

 生きるために奪って、盗んで、殺して……それが強さだと信じてた。

 けど今、こいつの命を抱えて思った――」



 そこでガルドは、火を背に、そっと視線を落とした。

 セリはまだ眠っていた。

 けれど、彼の心は確かに、この子に“目覚めさせられた”のだ。


 「本当に強ぇのは、“護る”やつだ。

 誰かを守るってことは、過去も、信念も、時に自分自身すら折ってみせるってことだ。

 それが……一番、重てぇんだ」


 


 ヴェルンは、黙ってそれを聞いていた。


 口を開かぬまま、ただ目を伏せ――

 次の瞬間、まるで思考を遮るように、踏み込んだ。


 「ならば、“それ”を折ってみせろ!」


 斬撃。


 鋭い、研ぎ澄まされた“騎士の一撃”が、ガルドの左を狙う。

 子を抱える腕。弱点――と、誰もが思う場所。


 だが、その刹那――


 「……やっぱり、そこ狙うよな」


 ガルドが低く呟いた声と共に、地を蹴る音。

 重い剣を体の内側から回し、柄尻でヴェルンの肘を撃つ。


 カン、と骨の音がして、刃の軌道が逸れた。



 「っ……! クソッ……!」


 「甘ぇよ、騎士様。そっちは、“命”が宿ってんだ。俺が一番意識してる場所を、よくもまあ狙えたな」


 

 ヴェルンは呻きながら距離を取る。


 ガルドも追わない。

 ただゆっくりと、重心を整え、また剣を構え直す。


 焔の音が、ふたりの間を埋めた。

 崩れかけた納屋が、ぴしりと音を立てる。


 

 「お前は……“ただの山賊”じゃ、なくなったな」


 ヴェルンがぽつりと呟く。

 その声に、怒気も、皮肉も、もはやなかった。


 

 「……かもな。けど、それはこいつが……“俺を変えた”んだ」

 その言葉に、ヴェルンは目を細める。


 「……変われると思うか? 人は。お前みたいに」


 「思ってねぇよ」



 即答だった。


 


 「思ってねぇから、こうして剣を握ってる。……変わっちまった自分を証明するためにな」

 ヴェルンは笑った。

 それは、諦念でも皮肉でもない、どこか懐かしい、柔らかな笑みだった。


 「……なら、もう一度、賭けてみるか」


 次の一撃は、互いの信念を問うものとなる。


 騎士の矜持と、山賊の誓い――

 守る者と、断ち切る者。


 焔の只中、二つの刃が、ふたたび交わる。


 








* * *







 風が変わった。


 燃え残る納屋の骨組みが、ゆっくりと音を立てて崩れ落ちる。

 火の粉が宙を舞い、赤く染まった空に吸い込まれていく。


 焔の音、瓦の崩れる音、土の焦げる匂い。

 すべてが戦場の鼓動となり、二人の男を中心にして収束していく。


 ヴェルンが踏み込んだ。

 その一歩は、かつて騎士団筆頭と謳われた者の矜持そのものだった。


 鋭く、無駄のない軌道。

 だが、その奥に潜むのは“怒り”ではなく、“決意”だった。


 


 「──!」


 ガルドは、正面から受けた。


 大剣と細身の剣が火花を散らし、互いの腕に、骨に、反動が走る。

 ヴェルンの刃は、確かに“殺す”ためのものではなかった。


 “試す”ための一撃。



 「お前の刃が、本物かどうか。

 ……この命を賭けて、見極めてやる」



 静かな声が響く。


 火の揺らめきが、ヴェルンの横顔にかかり、

 その瞳の奥に宿るのは、どこか救いを求めるような、悲しげな光だった。



 「貴様……“王の弟”だったな」

 ガルドの声もまた、低く絞られていた。


 

 「なら、あの子の伯父だ。

 ……なんで、殺すなんて言えるんだ。あんたにこそ、護る資格があったはずだろう」


 ヴェルンの目が揺れる。

 刃が、わずかに止まる。


 「護れなかった。俺はあの日、……逃げた。

 陛下を、王妃を、騎士団を、民を、何もかも残して──

 生き延びたのは、ただの臆病者だった」


 言葉の端が、震えていた。


 「生き残った俺に、何を守れる?

 この手はもう……ただ、王家の亡霊を引きずるだけだ」



 その瞬間、刃が深く踏み込む。

 呼吸と同時に放たれた突き。

 ──ガルドの肩に、刃先がかすった。

 血が、にじむ。


 だが、それでも。

 その瞬間に、ガルドは見たのだ。


 ヴェルンの剣に込められたのは、“怒り”ではない。

 “断罪”でもない。


 

 それは――“許しを求める祈り”だった。


 

 「……ああ、そうかよ」

 ガルドは、低く、かすれた声で言った。


 「なら、あんたの祈りごと、俺が受け止めてやる」



 その言葉と同時に、大剣が閃いた。


 それは、力任せの一撃ではない。

 流れるような踏み込み、最小の動きで最大の重みを乗せた斬撃。


 

 「────っ!」


 ヴェルンの剣が弾かれた。

 斜めに、大きく軌道が崩れる。


 そこへ、ガルドの膝が入る。

 鳩尾に深く、鋭く。


 ヴェルンの体が、よろける。

 呼吸が詰まり、膝が地に落ちる。


 

 だが、ガルドは剣を振り下ろさなかった。


 刃を止めたのだ。

 ぎりぎりのところで。



 「殺せ……ないのか」



 膝をついたまま、ヴェルンが問う。


 「……いや、そうじゃねぇ」

 ガルドは、大剣を引いた。

 「こいつが見てる。今は寝てるが、……この子は、きっと覚えてる」



 風が吹いた。

 火の粉を払うように。


 灰が、二人の間を舞う。



 「だから、俺は“護る”ためだけに剣を振るう。

 あんたを殺したら、……その言葉、嘘になる」


 

 沈黙。

 だがそれは、敗者の恥ではなかった。


 

 ヴェルンは、ゆっくりと仰向けに倒れ、

 空を見上げた。


 「……夜が、明けるのか。……情けないな。死に場所くらい、自分で選びたかったが」


 「……生きろよ。あんたの刃には、まだやることがある」


 ヴェルンの目が、わずかに見開かれた。


 それは、炎よりも熱く、

 血よりも静かな、“赦し”の言葉だった。








* * *








 空が白んでいた。


 まるで誰にも気づかれぬように、夜が密やかに後退してゆく。

 灰色の雲がゆっくりとほどけ、薄い光が地平の果てから差し始めていた。


 それは、燃え残った村をゆっくりと包みこみ、

 砕けた屋根や煤けた畑に、静かな輪郭を与えていく。


 焔は、もうほとんど鎮まっていた。

 崩れた納屋の残骸から、白い煙がゆるやかに昇っている。

 熱の残滓はあれど、それはもはや“脅威”ではなく、ただの“終わり”の匂いだった。


 ガルドは、瓦礫の傍に膝をついていた。


 肩口の傷には布が巻かれ、血がじわりとにじんでいる。

 だが、その目は静かだった。



 左腕には、眠ったままのセリ。


 夜を越え、戦を越えてもなお、彼はこの命を手放さなかった。

 そのぬくもりは、剣でも鎧でもなく――

 ガルドにとって、はじめて“守るべきもの”の重さだった。


 「……なんで、こんなもんを拾っちまったんだか」


 ぽつりと、誰に聞かせるでもなく呟いた声は、やけに穏やかだった。


 夜の静けさが、まだその辺りに残っていた。

 遠くの草むらで、小鳥が一声鳴いた。


 「……火を点けたのは、俺じゃないんだ」

 かすれた声が背後から返ってきた。



 振り向くと、ヴェルンが、朽ちた柱に体を預けて座っていた。

 剣は遠くに転がり、鎧は割れ、肩には焼けた痕。

 だが彼は、まるでそれを気に留める様子もなく、空を見上げていた。


 

 「最初に村を囲んだのは、俺の指示じゃなかった。……残党の一部が、先走ったらしい。

 ……すまなかったな。子供たちや、女の子も……あのまま逃げただろうか」



 「さあな」


 ガルドは、遠くの畦道を見る。

 朝靄の向こうに、小さな足跡がいくつも残っていた。



 「だが、生きてりゃ、また選べる」


 ヴェルンが、視線をこちらに戻す。

 その目に浮かぶのは、どこか子供のような、素朴な問いだった。


 「……何を?」


 「道をさ。もう一度、“どう生きるか”を選び直せる」


 ヴェルンはしばらく黙っていた。

 その横顔に、騎士としての威厳も、誇りも、罪の重さも、すべてが静かに溶けていく。


 


 「……なら、お前はどうする。王子を連れて、どう生きる」


 


 ガルドは、腕の中のセリをそっと見下ろす。

 その小さな呼吸に、確かに“未来”があるのを感じながら――


 「この子が大きくなるまで、生き延びる。

 誰に何と言われようと、“王の血”じゃなく、“一人の人間”として育てる。

 できる限り……戦のねぇところで」


 「……それは、難しい道だぞ」


 「知ってる。だが“もう一度選ぶ”ってのは、そういうもんだろ」


 ヴェルンは肩で笑った。

 それは、どこか懐かしさすら含んだ笑いだった。



 「……名前は?」


 


 「セリだ」


 


 「……いい名だな」


 


 朝日が、ようやく村の屋根に届いた。


 柔らかな橙色が、焦げた壁に、あたらしい影を刻んでいた。

 それは、終焉の影ではなく、始まりの予兆。


 「行け。……お前は、まだ“行ける”」


 ヴェルンが、ふらつきながらも立ち上がった。

 その背に残る傷痕を、ガルドは見送った。


 「……死ぬなよ」


 「そっちもな」


 短く交わされた言葉が、夜の名残を静かに断ち切った。



 朝の風が吹いた。

 煤を運び去り、夜の痕跡を洗い流すように。



 その中を――

 ガルドは、セリを抱いて、歩き始めた。



 どこへ続くかはわからない。

 だが、確かに“進む道”だった。









* * *








 朝靄はすでに晴れていた。


 野を渡る風が、草を撫でていく。

 まだ冷たさの残る空気が、夜の焦げ跡を洗い流すように、村を静かに吹き抜けていた。


 瓦礫の合間に咲いた、名もなき草花が、陽に揺れている。

 そこには確かに“生”の気配があった。


 

 ガルドは、緩やかな坂道を上っていた。


 背には大剣。腕には幼子。

 その姿は、戦士でも、護衛でもない。


 ただ、“一人の旅の父”のようだった。



 道は狭く、踏みならされた獣道のような小径。

 足元には小石と枯れ枝が散らばり、朝露に濡れた土がやや滑る。


 それでも、ガルドの足取りは確かだった。



 「……なあ、セリ」


 ぽつりと声をかける。

 腕の中の小さな命は、半ば目を覚ましたようで、うっすらとまぶたを開いていた。

 焦点の合わない瞳で、ただ静かに、世界を見ていた。


 

 「お前の親父は、立派な王だった。

 ……だが俺は、そうじゃねぇ。国なんか、作れねぇ」



 言いながら、遠くに見える丘の上を見やる。

 その先に、一本だけ立つ枯れ木があった。


 葉は落ち、枝も折れていたが、しっかりと根を張り、そこに立っていた。


 

 「けど……」


 足を止める。

 セリの額に手を当てて、そっと言葉を紡いだ。


 

 「俺にできるのは、“お前を生かす”ことだ。

 道を選べるくらいには、強くしてやる。

 自分で歩けるようになるまで、俺が支える。

 泣いてもいい。転んでもいい。

 だけど……絶対に、お前を“孤独”にはさせねぇ」


 


 風が吹いた。


 草が、さらさらと鳴る。

 朝露の匂いが、命の匂いに変わっていた。


 


 「……わからないか。そりゃそうだな」


 ガルドは自嘲気味に笑った。

 けれどその笑いは、どこか柔らかかった。



 セリが、ふいに小さな指を伸ばした。

 それが、ガルドの顎髭に触れた。

 くすぐったそうに、彼は目を細めた。



 「お……なんだ。触っていいもんじゃねぇが、まぁ、今だけだ」


 

 ひとときの静けさがあった。

 あまりにも穏やかで、まるで世界が一度だけ息を止めたかのような、そんな時間だった。


 そして、歩き出す。


 踏みしめる土。

 かすかに残る野鳥のさえずり。

 どこかの村へ続く、見知らぬ道。



 この先、何があるかはわからない。

 追手も、戦も、苦難も、きっと待っている。


 


 だが――それでも。


 


 「……お前が笑って、生きてくれりゃ、それでいい」



 それが、元山賊の鋼の誓いだった。


 名誉でも、勲章でもない。

 ただ、“生き残った”者としての、ひとつの願い。


 

 旅は、始まったばかりだった。

 焦げた村のその先に、朝日はもう、静かに射していた。


 


 ──鋼の山賊と、誓約の子。

 その名もなきふたりの物語は、まだ誰にも知られていない。


 


 だが、確かに世界のどこかで、今日も歩いている。

 守るために、信じるために、生きるために。


 


 そして、いつか。


 


 “誓い”が、本当に“未来”になるその日まで――






最後までお読みいただき、ありがとうございました。


泥臭いファンタジー物かつ、子連れ狼的なお話が書きたかったのでできたお話。

静かな決意や、火の中に灯る祈りを、少しでも感じていただけたなら幸いです。


ではでは。

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