みかんのシブキ
シブキ「・・・うわああ!」
慌ただしく足音が響く、古い木造アパートでの一室。
シブキは机や床に散らばっている書類を急いでかき集め、玄関のドアを勢いよく開ける。
下の階のおじちゃん「おはようさん。また寝坊かい」
シブキ「おはよう!まだ生きとったんか!」
下の階のおじちゃん「まだまだ現役やで~」
シブキ「行ってきま~す!」
こんな朝、シブキはついつい忘れてしまいがち。
騒がしさが去った後に残るのは、鍵が開いたままのドア。
ポツポツと雨が降り始めた。
夕方、シブキの部屋の前にはずぶ濡れの女の子が立ち尽くしていた。
女の子はシブキの部屋のドアをノックするが、返事は無い。
古いドアがギギ・・・と鳴る。
女の子「あれ?開いてる」
ゆっくりとドアを開けると、部屋の中へと入る。
女の子「シブキちゃん?」
やはり返事は無い。
強い雨音だけが部屋に響いている。
女の子「シブキちゃんの匂いがする」
怪しい雰囲気の女の子は、少し懐かしそうにつぶやく。
女の子「ふふっ、相変わらず散らかってるなぁ」
どんどん強くなる雨が、ますます女の子を帰る気にさせなかった。
しばらくすると、アパートの階段を誰かが勢いよく登ってくる音が響き、女の子は我に返る。
シブキ「鍵どこや・・・あれ?開いとる」
げんちゃん「どうせまた閉め忘れたんやろ」
玄関のドアの前から声が聞こえ、女の子は思わず部屋の奥へと隠れる。
外からドアが開けられ、声は徐々に大きく聞こえ始めた。
シブキ「はぁ~疲れた~」
げんちゃん「ひっどい雨やなぁ」
シブキ「タオル取ってくるわ」
女の子は飛び出しそうな心臓の音を必死に押し殺しながら、ふと足元に目線を落とすと、タオルが無造作に重ねられているのを見つけた。
女の子(もう見つかっちゃう、いやそれよりもその男は誰?私に紹介もせずに・・・)
シブキ「うわああああああ!!??」
げんちゃん「なんっやねん、びっくりするわぁ。ゴキブリでも出たんか」
女の子「誰がゴキブリだぁ!」
シブキ「えええ!?・・・えっ山下ちゃん!ここでなにしてん!?」
女の子、改め、山下ちゃん「シブキちゃんこそなにしてんの!?その男誰!?どういう関係!?」
シブキ「えっげんちゃん?友達やけど」
山下ちゃん「部屋に二人きりなんて危ないよ!」
げんちゃん「お前の方がごっつ怪しいやんけ!」
山下ちゃん「お前呼ばわりするな!何様だよ!」
シブキ「山下ちゃん落ち着き!全っ然説得力無い!」
全員が混乱した頭の中、シブキがやかんでお湯を沸かすと不揃いのコップでとりあえずお茶を出す。
シブキ「えーと・・・山下ちゃん、なんでおるんかな?」
山下ちゃん「家出してきた」
シブキ「えぇ!?お母さんに心配かけたらあかんよ!」
山下ちゃん「だってお母さん、・・・今度の日曜日に会わせたい人がいるって」
シブキ「そうなんや」
げんちゃん「あ~察するに再婚か?」
山下ちゃん「あんたに話してない」
げんちゃん「っやねん、態度どうなってんねん」
シブキ「げんちゃん、山下ちゃんな、男の人苦手やねん。ちょい待っといて?」
げんちゃん「ん」
シブキ「山下ちゃん、会うてみんとどないな人か分からんやろ?」
山下ちゃん「分かるよ。お母さん、なんで懲りないんだろうね」
シブキ「山下ちゃんに会わせたいと思える素敵な人なんやろ?ちゃんと会うて、お母さんのこと幸せにできる人か、山下ちゃんがちゃんと向き合ってやらな」
山下ちゃん「・・・あのね、ほんとはね、シブキちゃんに会いたくなって飛び出して来ちゃったの」
シブキ「ほんなら、こんな留守中に隠れとかんでも迎えに行くよ」
山下ちゃん「うん・・・ごめんなさい」
げんちゃん「戸締りはお前が悪いけどな」
山下ちゃん「でもシブキちゃんだって、大事なこと教えてくれないじゃん」
シブキ「大事なことってなによ?」
山下ちゃん「その男!本当にただの友達?」
シブキ「なにを言い出すんよ!」
山下ちゃん「結構シブキちゃんのタイプじゃないの!?」
シブキ「・・・う~ん。確かにげんちゃんの声とか好きやし、見た目もハッキリ言うてドンピシャや」
げんちゃん「えっ急にめっちゃ褒めるやん」
シブキ「はぁ・・・前にな、山下ちゃんが私に告白してくれたとき、」
げんちゃん(エッ)
シブキ「好きな人がおるから付き合えへんて言うたやろ。この人やったんよ」
山下ちゃん「やっぱり」
げんちゃん(なんやこれ、気まずすぎるやろ・・・新手のプレイか!)
シブキ「でもな私、げんちゃんに告白して振られてん。せやからもうキレイサッパリ友達やねん」
山下ちゃん「それなら私は?」
シブキ「・・・ごめん」
山下ちゃん「女だから?」
シブキ「女とか関係ないんよ。山下ちゃんのことは小っちゃい頃から知っとる、妹みたいに思っとるんよ」
山下ちゃん「・・・」
シブキ「・・・お母さんに連絡せんと心配しとるよ」
山下ちゃん「・・・うん」
山下ちゃんのお母さんが迎えに来る頃には雨は弱まっていた。
山下母「梅子!心配したよ~!無事でよかった~!」
げんちゃん(((うめこ)))
山下ちゃん「お母さん、ごめんなさい。でも外で名前は呼ばないでってば」
山下母「なによう、かわいい名前じゃないの」
シブキ「私も梅子ちゃんて呼んだろ」
山下ちゃん「やめてぇ」
山下母「シブキちゃん久しぶり~!迷惑かけてごめんね。この子いくつになってもシブキちゃんのこと大好きで」
シブキ「私以上にお母さんのことが好きやから、いろいろ混乱して飛び出して来てしまったんやて。あんまり怒らんといてあげてね」
山下母「うん、そうね。ありがとう。それで?そちらの方は彼氏さん?」
げんちゃん「グフゥッ・・もう付き合おか!?」
シブキ「今はそっとしといて~!」
それからは、お母さんと仲直りした山下ちゃんもシブキの部屋にしょっちゅう遊びに来るようになり、げんちゃんも一緒に3人でいることも多くなっていった。
山下ちゃん「あんたのこと認めたわけじゃないから」
げんちゃん「なんやねん、ツンデレか!」
シブキ「壁薄いねんから静かにし~」
ある日、げんちゃんはオーディションを受けに会場へ。
審査員「37番の方どうぞ」
げんちゃん「は、はいっ!」
審査員「お名前をお願いします」
げんちゃん「三間弦符といいます!」
審査員「ではさっそく歌ってください」
げんちゃん「はいっ!よろしくお願いします!」
♪~
審査員「はい、ありがとうございました。結果は後日お知らせします」
げんちゃん「ありがとうございました・・・」
げんちゃんはオーディション会場を後にして歩き出した。
げんちゃん「審査員のあの調子やと今回もあかんやろな・・・」
慣れた手つきでシブキにメールを送る。
【今から行くわ】
げんちゃん「酒でも買うてってやろかな」
すると、シブキからすぐに返信が届いた。
【今はあかん】
げんちゃん「はぁ?なんやあいつ、あいつになんの予定があんねん。どうせ風呂入っとらんで臭うとかやろ」
コンビニでお酒を買うと、げんちゃんはシブキの部屋へと向かった。
シブキの部屋の前に到着したげんちゃん。
げんちゃん「お~いシブキ~酒買うて来たで~」
返事はない。
げんちゃん「チッ、なんやねん、どっかの女の真似して勝手に入ったろかな」
ドアノブに手をかけようとしたそのとき、ゆっくりとドアが開いた。
スーツの男「どちら様でしょうか?」
げんちゃん「へっ・・・?」
シブキ「お~い、なんやの?えっげんちゃん!?」
げんちゃん「・・・ヨッス」
またも不揃いのコップでシブキがとりあえずお茶を出す。
シブキ「今はあかんて言うたやんか!」
げんちゃん「あ~せやな、まさかスーツ着た男がおるとは思えへんもんな」
スーツの男「それは私のことですか」
げんちゃん「おたく以外に誰がおるんや」
シブキ「えーと、こちら私の担当さん」
スーツの男「初めまして。シブキ先生の担当をしております、相川と申します」
げんちゃん「あぁどうも、みかんげんぷといいます~」
スーツの男、改め、相川さん「げんぷ?あぁ、あなたですか。先生がたまにおっしゃる『げんちゃん』というのは。何か御用があってこちらに?」
げんちゃん「いやご用ってもんやないけど・・・酒でも一緒につまもと思ってやな」
相川さん「ほう?ご存じないようですね。先生は胃腸の調子が悪く、最近禁酒されているんですよ」
げんちゃん「えっそうなん」
シブキ「いや全然大したことないねん!二日酔いやっただけやのに、この担当さんがな、締め切りの前は禁酒せんとあかんて脅してきたんよ」
げんちゃん「ほ~ん。仲がよろしいことで」
相川さん「そうですね。あなたよりも仲はよろしいです」
げんちゃん「あぁ?」
相川さん「締め切りがありますので、私はここで待たせていただきます」
げんちゃん「どうぞどうぞ。ほな邪魔者はいなくなりますわ~」
相川さん「それであれば先生も集中できるかと」
げんちゃん「カッチーン!頭きた!なんやねんさっきから!」
シブキ「ちょちょちょ!まてまてなにしとん!」
げんちゃん「俺かてなぁ、シブキのサポートくらい余裕やっちゅうねん!」
相川さん「ほう?では勝負しましょうか?どちらが先生に相応しい男かを」
げんちゃん「望むところや!」
シブキ(なんでこうなった・・・)
シブキ「・・・いや、げんちゃん、嬉しいんやけど、肩もみされとると書けんよ」
げんちゃん「えっあぁすまん」
相川さん「先生、そろそろお腹が空く頃かと。胃腸に優しい薄味のチャーハンを作りましたので少し休憩されてはどうでしょう?」
シブキ「あ、どうも」
げんちゃん(クッソ~!)
相川さん(ふふんっ)
シブキ「いや味薄ぅ。なんか甘いもん買うてきてもええ?」
げんちゃん「おっ、せや!お前の好きなチョコ買うてきたで!」
シブキ「えっほんま!?ありがとう!」
相川さん(うぬぬぬ・・・)
げんちゃん(フフンッ)
相川さん「先生、食器洗っておきますね」
げんちゃん「シブキ!えっとあれやあの、洗濯もん畳んだる!」
シブキ(集中できん・・・)
チョコの空袋が机にこんもりになった頃。
シブキ「おわったあ~!」
相川さん「先生、お疲れ様です。では私は事務所に戻りますので、またご連絡します」
げんちゃん(こっちのバトルもやっと終わりや・・・)
相川さん「えーとげんぷさんでしたか?先生は大変お疲れなので、お酒なんて言語道断です」
げんちゃん「わかっとるわ!しっしっ!」
相川さんが部屋を出る。
シブキ「げんちゃんありがとうな!ほんま助かったわ!」
げんちゃん「おう。・・・てかお前よ、部屋に男入れんなら化粧ぐらいせなあかんやろ~」
シブキ「え~?いや、男ってあんたと担当さんやんか~化粧なんていらんやろ~」
げんちゃん「はっ、俺に振られたんやもんな。そら男としてもう見てへんよな~」
シブキ「なに?なんやの?」
げんちゃん「なにがやねん」
シブキ「あんたが私を振ったんやろ。なにを機嫌損ねとんねん」
げんちゃん「誰も機嫌なんて損ねてへんわ」
シブキ「イライラしとるやんか!」
げんちゃん「してへんわ!」
シブキ「・・・なんやねんな」
げんちゃん「あの男、やけに俺に突っかかってきよって、嫉妬でもしてんちゃうか。お前のこと好きなんちゃう」
シブキ「あんたに関係ないやろ」
げんちゃん「あ?なんや図星かい。まぁええんちゃう。俺と違て、いかにも仕事できます~て男やったし、胃腸にも優しいしなぁ?」
シブキ「なんで私のことをあんたが決めんねん」
げんちゃん「俺とやなくて、あの男と付き合えばええんちゃう」
シブキ「なんやねんさっきから!私が担当さんとどないなろうが、あんたに関係ないやろ!」
げんちゃん「どないかなるつもりはあんねんな。ほな俺ずっと邪魔やったやろ。帰るわ」
シブキ「そないなこと思っとらんわ!勝手に来て勝手にイライラして!どないしたいんよ!」
げんちゃん「せやな!勝手に来た俺が悪かったわ!」
げんちゃんが勢いよく閉めたドアの音が、すっかり日が落ちた空に消えていく。
げんちゃん「・・・酒飲み忘れてもうたやないか」
それからしばらくした、ある日。
相川さんのいる事務所ではある話題が上がっていた。
社員「相川さ~ん、シブキ先生って連絡つきました?」
相川さん「いえ。念のため様子を見て来ます」
シブキの部屋へ向かう途中、相川さんは最近チョコを買うことを心掛けている。
シブキの部屋の前に着くと、ささっと身だしなみを整える。
相川さん「先生、相川です。連絡がないので伺いました。いらっしゃいますか?」
しばらく沈黙があった後、ドアが開く。
相川さん「先生?大丈夫ですか?」
シブキ「・・・すんません」
部屋に入ると、シブキはペアのコップでお茶を出す。
相川さん「ペアカップなんて珍しいですね。先生、どうかされましたか?」
シブキ「ペア?あ、ほんまや。ぼーっとしとった」
相川さん「もし体調が優れないようでしたら休まれることも大切かと」
シブキ「いや元気やねん。スランプて言うんやろか、アイデアが全然浮かばへんねん」
相川さん「なにか気になることでも?」
シブキ「・・・げんちゃんがな、前に担当さんと会うたあとからなんやイライラしとって」
相川さん「あぁ、また『げんちゃん』ですか。彼は友人ですよね?」
シブキ「せやな・・・」
相川さん「先生、以前もお話ししましたが、私とのお付き合いのことはもう一度考えていただけましたか?」
シブキ「せやから、担当さんとは付き合えんて」
相川さん「なぜです?私は先生を必ず幸せにしてみせます」
シブキ「ようそんなセリフを堂々と・・・でもごめんなさい」
相川さん「彼のことが気になって仕事も進まないのに、私に告白されてもすぐに断るのですね。彼は本当にただの友人なのですか?」
シブキ「せや。もう振られてん。友達や」
相川さん「ではまだ私にもチャンスはありますよね。仕事のことも、お付き合いのことも、後ほど返事お待ちしています」
シブキ「えっいや待ってって」
相川さんがシブキの部屋から足早に立ち去ったあと、ドアの向こうで聞き耳を立てていた人物がいた。
山下ちゃん「これ、修羅場ってやつ?シブキちゃんモテモテじゃん」
ある小さなスタジオ。
そこにはタバコの吸い殻が盛り上がった灰皿の前に座り込むげんちゃんがいた。
山下ちゃん「あ~っ!やっと見つけた!」
げんちゃん「あぁ?なんでお前がおんねん」
山下ちゃん「あんたのこと探しに来たんだよ!シブキちゃんの部屋からスーツの男が出てきてさぁ」
げんちゃん「あぁ、あいつか」
山下ちゃん「まぁ帰ったみたいだから、シブキちゃんのところ行こっ」
げんちゃん「なんやねん急に。お前、なんで俺がここにおるってわかったん」
山下ちゃん「前にシブキちゃんがね、『このスタジオでよく演奏してるバンドのヴォーカルが好き』って言ってたの。当時は気づかなかったけど、それってあんたのことなんじゃないかってさっき思い出したの」
げんちゃん「・・・昔の話やろ。俺がおらんとお前都合ええやろ、シブキと二人きりやねんで」
山下ちゃん「シブキちゃんと二人なのは嬉しいんだけどね、シブキちゃんの元気がないのはあんたが原因らしいからさぁ」
黙り込むげんちゃん。
山下ちゃん「あのさぁ、あんたシブキちゃんのこと振ったんでしょ?」
げんちゃん「なんか文句あるんか」
山下ちゃん「じゃあシブキちゃんがスーツの男と付き合ったとしても文句ないよね?」
げんちゃん「なんや知っとったんか。あいつの好きにしたらええやろ。お前はええんか、シブキのこと好きなんやろ」
山下ちゃん「だいだいだ~いすき!でも、シブキちゃんが選ぶのは私じゃないんだなぁ」
しばらく沈黙したあと、先に口を開いたのは山下ちゃんだった。
山下ちゃん「・・・告白して、振って、振られて、キレイサッパリ友達や~とか言って、大人が二人もそろってウジウジしてさぁ」
げんちゃん「・・・何が言いたいんや」
山下ちゃん「なんでわからないの?いつまで前のことを引きずってんのよ。一回振ったからなに?好きならそれでいいじゃん!あんたたちお互い大好きなのバレバレなんだよ!」
げんちゃん「・・・・・そんなん、かっこ悪いやろ」
山下ちゃん「今更なに言ってんの。ライバルの私にここまで言われてんのに。本当は大好きなのに、友達だって嘘ついてる方がかっこ悪いよ」
山下ちゃんが半ば強引にげんちゃんを引っ張りながら、シブキの部屋へと向かった。
シブキの部屋の前で立ち止まるげんちゃん。
山下ちゃん「私は今日はここまで。がんばれよ、げんぷ」
げんちゃん「お前・・・ツンデレすぎるやろ・・・ありがとう」
山下ちゃんが帰ったあと、げんちゃんは深呼吸をしてからシブキの部屋をノックした。
シブキ「はい。えっげんちゃん・・・」
げんちゃん「・・・あの、シブキ」
シブキ「げんちゃん、ごめん!」
げんちゃん「へっ?」
シブキ「あのあとな、よう考えてん。げんちゃんあの日オーディションやったやろ?そら一緒に酒飲むやんな。私、自分の仕事でいっぱいいっぱいなっとって、お疲れ様って言えなくてごめん」
げんちゃん「・・・お前、どんだけ俺のこと好きやねん」
シブキ「えっまぁほら、友達やしな!」
げんちゃん「・・・せやな・・・いや、友達やない」
シブキ「えっどしたん・・・?」
げんちゃん「シブキ!」
シブキ「はっ、はい」
げんちゃん「好きや!」
シブキ「えっ!?」
げんちゃん「俺、お前のこと大好きやねん!!!」
シブキ「・・・えぇぇええ!?ど、どど、どしたん!?!?」
下の階のおじちゃん「うっさいわ!」
それからしばらくして、相川さんのいる事務所ではまたある話題が上がっていた。
社員「そういやシブキ先生、最近また調子戻ったみたいですね」
相川さん「そうですね。まぁ籍を入れない限り、私にもまだチャンスはあるかと」
社員「なんの話ですか?あ、『みかんのシブキ』の作家さん来られました」
作家「初めまして」
相川さん「初めまして。早速ですがタイトルの由来は何ですか?」
作家「二人が結婚したらわかりますよ」
相川さん「えっ?」
一方その頃。
げんちゃん「オーディション受かった」
シブキ「えぇ!おめでとう!やったやん!」
げんちゃん「げろでそう」
シブキ「緊張はやっ。なぁ、そういや、あんたなんで私のこと前に一回振ったん?」
げんちゃん「・・・籍入れたら、ミカンの飛沫ていじられる思てん」
シブキ「結婚まで考えたん!?それはもう逆にありがとう!?」
げんちゃん「え、普通付き合うとき結婚を前提にやろ?」
シブキ「真面目か!」
ある日、夢にシブキとげんちゃんが出てきたので、せっかくならと物語にしてみました。
ちなみにシブキは特に誰がモデルとかはないんですが、げんちゃんは歌い手のGeroさんです。
Geroさんが夢に出てきて、「みかんげんぷ」と名乗っていて、面白かったので。