表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
林檎のロロさん  作者: Tada
65/151

65個目

ブクマ・評価・いいね、ありがとうございます。



 お泊り会は、ちょっとした親孝行になったようで。


 シメに今日もお疲れさ魔法(マッサージ)をしたら、出勤してきたマルコが引くほど、カイが爽やかな代表(ギルマス)になっていた。

 リフォームが楽しみだなマルコ!と浮かれている。


「あぁ、楽しみだよ。それで、ランスさんはいつ来るのかな?」

「そういえば、時間のこと決めてなかったな」

「‥‥‥」


 室温が少し下がった気がしたと思ったら、カイが通常モードに戻っていた。浮かれタイムは終了したらしい。マルコの冷気が終わらせた。

 そして、ランスが来たら大会議室に案内するように受付に言ってくる、と逃げた。


「マルコさん」


 ロロは、魔法鞄(マジックバッグ)から厨房の食品専用魔法袋(マジックバッグ)を出した。


「ジンさんからチーズケーキのホールをもらったの。皆で集まった時にでも食べてって。この袋を厨房に返したいんだけど、ケーキをマルコさんに預けていい?」

「それなら、カットしておいて給湯室の食品収納庫に入れておこう。代表室で食べらるようにすればいいんだね?」

「うん、お願いします」


 マルコが給湯室へ行くと、一人ソファーに座ったロロは、丸襟の白シャツにリボンタイをしていないことに気がついた。今日は何色にしようか考えて、深紅のリボンタイを出し、リボン結びをした。


「よし」

「ん、いいね」


 いつの間にか戻ってきたマルコが、ロロのリボン結びを見ていたらしい。


「ロロちゃん、紺色のリボンタイもあるの?」

「紺色?部屋のクローゼットにあるよ?」

「そう、似合うよね、きっと」


 してこいってことだろうか。わかったと言って、その代わりマルコの貴公子スタイルをリクエストした。「俺でいいの?」と笑って、じゃあ明日ねと言った。よし。

 それから、ピアスホールを開けるのを頼んだら、耳のどの位置にするか考えようねと言われた。なるほど。

 何だか今度はマルコの機嫌が良くなった。もう一度給湯室へ行くと、鼻歌で紅茶を入れて運んできた。


「あのチーズケーキ、とても美味しそうだね。ユルくんが戻ってきたら皆で食べようか」

「うん!」


 マルコが隣に座り、耳を見てもいい?と言われた。ヘアピンをしている方は耳を出しているので、どうぞと見せた。


「なんか、ちょっと恥ずかしいね」

「うん、わかるよ。ロロちゃんの耳は良い形だね」

「ソウデスカ?」


 ‥‥‥まだかな?まだ見てるのかな?


「スタンダード・ロブ、それか、トラガス良いんじゃないかな」


 近い、近い、近い。声が近いよ。


「スタンダード・ロブって耳たぶだよね?トラガスって?」

「ここ」

「ひゃん!」

「ふふっ」


 耳穴の近くの軟骨あたりを触ったマルコが、悪戯っぽく笑った。


「擽ったい!ダメ、耳たぶにする」

「そう?」

「イチャイチャするな」

「うわ、びっくりした」

「痛い痛い痛い」


 カイがいつの間にか戻っていて、ロロから離すようにマルコの耳を引っ張っていた。


「ピアスの位置決めたか?」

「耳たぶにする」

「そうか」

「早く離してくれない?」

「ふん」


 パッと耳から手を離して、大会議室に行くように言った。


「ちょうどランスが受付に来ていた。大会議室にいるからマルコ行って来い。ロロは、後で様子を見てから」

「了解」


 マルコは、ピアスホールは後日ねと言って、代表室を出た。


「あいつ、油断も隙もないな」

「じゃあ、私は厨房に魔法袋返しに行ってくる」

「少し時間潰してこいよ。まだカフェは開いてないからな。料理長たちの手伝いするか、邪魔しないようにな」

「はぁい」 


 ランスとマルコが話をして、必要ならロロを呼ぶということらしい。代表室を出ると、転ばないようにスススと歩いた。スススと階段も下りた。スススと厨房に行くと、ジンが悲鳴をあげた。


「ロロ!びっくりした」

「申し訳ない」


 厨房はやめておこう。


「おはよう!魔法袋を返しに来たよ。どうもありがとう」

「そうか、もう食べたのか?」

「まだ食べてないの。マルコさんにカットしてもらったけど、ユルさんが王都から帰ってきたらみんなで食べようと思う」


 料理長に何かお手伝いしたいと言ったら、カフェのテーブルや椅子を拭いてほしいと言われた。布巾で拭くのは久し振りだ。ミドルエプロンと、除菌された布巾をテンから受け取った。


「あのね、今日は出来ないけど、そのうち洗浄魔法でギルドのお掃除させてもらうから、その時はお願いします」


 エプロンを結びながら言うと、三人が驚いて手を止めた。


「洗浄魔法を仕事にできないかと思ったの。まずは二階から、カイさんかマルコさんに付いてもらって、魔力回復薬も用意してないと出来ないんだけど」 


 テンが二人の過保護っぷりに吹き出した。

 

「また、ロロの洗浄魔法が見れるんスねぇ」

「クルッと回ってキラキラして可愛かったもんなぁ」


 さすがに回らないです。でも「キレイになあれー」は言わないと上手くいかないのだ。不思議だ。


「そうか‥‥‥」


 ドット料理長はただそれだけ言って、仕事に戻った。


「ははっ、隊‥‥‥料理長、嬉しそうな顔してるッスよ」


 それなら良かったと、ロロは拭き掃除を始めた。


 うっかり魔法をかけないようにしないといけない。

 無表情で拭いてたら、ロロ怒ってる?とジンが青い顔をしてきた。ジンは怖がりなのだろうか。真面目に掃除してるだけと言ったら安心していた。

 無表情はやめて、鼻歌で掃除をしたらテーブルに艶が出てしまった。鼻歌ダメだ。無表情より少しだけ口角を上げて拭いたら、ジンも心配せず掃除も上手くいった。


「拭き掃除、コントロールが、難しい」

「ロロ」


 気が付いたらドットが隣に来ていた。どうしたのかと思ったら、カフェの入口に数人の冒険者がこちらを見ていた。もう開店時間?と聞くと、まだらしい。


「もう少しで拭き終わるよ?」

「そうか。では、終わったら厨房に来なさい」

「はぁい」


 最後のテーブルと椅子を拭いて、「終わったー」と言ったら、厨房のテンとジンが手招きしたのでそちらへ行った。


「お疲れさま、ロロ」


 厨房の奥に小部屋があって、料理人たちのロッカールームになっている。中に長椅子があるので、そちらに座るように言われた。

 ジンが蜂蜜レモン水をくれた。


「ありがとう」


 冷たくて美味しい。ホゥっと息をついて、掃除の感覚を忘れないようにしようと思った。


「新しく可愛いウェイトレスが入ったのかと、冒険者が噂して集まって見てたッスよ」

「リリィが一番初めに見ていたよ。レイラに引きずられて戻ったけど」


 リリィさんや。‥‥‥あ、そうだ。


「もうすぐ開店だよね?料理長ここに来れる?」

「待ってろ」


 ジンが呼びに行ってくれた。すぐにドットが来た。


「どうしたんだ?」

「すぐ終わらせるから、ちょっとここに座ってくれる?カイさんには許可が出てるの。扉閉めて」

「?」


 ドットを座らせると、ロロが後ろから両肩に手を乗せた。


今日もお疲れさ魔法(マッサージ)・微弱」

「「「‥‥‥!」」」


 薄紫色に光るロロを、テンとジンが呆然と見ていた。


 体の中の血液の流れを感じて、巡るように温めて、疲れを取って、優しく、優しく。


 ドットは、信じられないほど軽くなった身体を確かめて「うん、凄いな」と言った。テンとジンにもするからと言ったら、ドットは黙って頷いて、厨房に戻った。


「ロロ、何だその色‥‥‥」

「絶対に内緒だよ?」

「当たり前ッスよ!」


 続いて、テン・ジンに魔法をかけて、元気になった二人を厨房に送った。

 飲みかけの蜂蜜レモン水をグイッと飲んで、プハーッと言った。気持ちがスッキリしていた。彼らに少しでも恩を返すことが出来たのが嬉しかった。


「これから、もっともっと頑張るからね!」


 扉の隙間から、店内の様子を見る。入口に人が居なくなったら、ジンに言ってこっそり厨房を出よう。


 エプロンを外して、軽く洗浄魔法で乾燥まですると、畳んで長椅子に置いた。魔力はまだまだ残っている。疲れも全くない。

 今かなと扉を開けると近くにジンがいたので、飲みきったグラスを渡した。「ごちそうさま!また来るね」と言って、スススと厨房を出た。


 後ろから「ありがとう」と料理長の声が聞こえた。

読んでいただきありがとうございます。



『古書店の猫は本を読むらしい。』も、スローペースで連載中です。こちらもどうぞよろしくお願い致します。


https://ncode.syosetu.com/n5529hp/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ