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林檎のロロさん  作者: Tada
42/151

42個目

ブクマ・評価・いいね、ありがとうございます。


※途中からマルコ視点です。




 シャワーの後に、綿布で身体を拭いたあと頭にクルクル巻いて、部屋着を着る。ストンと膝下まで長いワンピースだ。


 髪を乾かしてみよう。


 今までもやってきたのだが、ただの微風だった。もうちょっと赤の魔力を使って温風にしたい。

 変身魔法(ヘアメイク)が上達したのは、前世を思い出してからだ。そこで温風を思いつかなかったのは、出来ると思わなかったから。


 魔力を知る必要があるな。勉強しよう。

 あと、感情も不安定だな。思春期は関係ある?


 今日、マルコに大扉を出るまでエスコートしてもらって、「ロロさん、イケメンにエスコートされております!」と脳内実況していたが、帰ってからしっかり思い出して、恥ずかしさで真っ赤になって、床で悶え転がっていた。


 日本人で生きてきた私にはいろいろとハードル高いよ、異世界!


 とりあえず、それはこっちに置いといて。


 折角なら、髪に潤いも残したい。

 青は水と風だから多め、赤は温めるために少なめ?ちょっと白も必要かな?‥‥‥あれ?今日もお疲れさ魔法(マッサージ)に近い?

 でも、あれは風は使わないから同じじゃない。イメージは大事。前世で使ってたドライヤーの感覚にちょっと上乗せして。


 潤艶温風魔法(高級ドライヤー)


 モワッと、ふんわりした。


 鏡で確認すると、漫画みたいなアフロになっていた。


「Oh‥‥‥」


 コレ、ドライヤーチガウ。

 イメージ、どこで間違えた?


 え、これ戻るよね?

 やだよ?二十四時間このままなんて。

 これで、魔法鞄の登録とか、皆様にご報告とか。

 転生者です。嘘だぁ〜!ってなるよね?


 もう一度髪を濡らしてみた。


 ダメだ。終わった。

 なぜ、今日実験してしまったんだ、私。

 時間を戻してくれぇぇ!


 泣く泣く温風で乾かし、カイに言われていた今日もお疲れさ魔法(マッサージ)を鏡の前でやってみた。


「今日は、弱めにしておこう」


 鏡に映る、薄紫コーティングのアフロを見て、遠い目をした。


「‥‥‥寝よ」




 * * * * * * * * * * *




「マルコ、後は頼むな」 


 ディーノが防音室にいることによって、カイとマルコが交代で泊まることになった。カイはメイナに明日のことで話があるので、今日代表室に泊まるのはマルコになった。


「何か変化やトラブルがあったら‥‥‥」

「ピアスがあるから問題ないよ」


 代表のカイが普段からしている紅玉(ルビー)のピアスの片方を、マルコが持っていた。何かあったら、カイにチリっとした痛みがきて、すぐにわかるようになっている。カイの魔力が必要なので、日中はカイがまた装着する。


「もっといい手段はないかな。ロロの前の世界ではどんなものがあったんだろう」

「ロロちゃんにアイデア出してもらって、トムさんに相談するか。このピアスはケルンさんに作ってもらったんでしょ?」

「ああ」


 ユルの祖父がまだギルドにいた頃に作ってもらったピアスだ。


「しばらくは、これでなんとかしよう。じゃあ、明日な」

「お疲れさま」


 カイが帰ると、マルコはソファーにクッションとブランケットを持ってきた。

 この先これが続くとしたら、仮眠室を改装して部屋を作ってもいいかもしれない。借りてる部屋を出て、ここに住むことも考えた。独り身だからどうにでもなる。プライベートはなくなるが。


「青年の様子を見に行くか」


 防音室に入ると、ディーノは変わらぬ姿で眠っている。身体の時間が止まっているから、そのままで大丈夫だと言っていたが。


 声は聞こえるらしいけど、どんな魔法なんだ?


 下手したら、犯罪に使われる魔法だ。男でもディーノほど美しい男なら、襲われる可能性がある。それほどシロはこちらを信用してくれているのか。

 マルコは、青年に何も変化がないことを確認したら、洗面台で顔を洗い、歯磨きをしてソファーに横になった。朝になってカイが来たらシャワーを使わせてもらうつもりだ。



 目を閉じると、少女の顔が思い浮かんだ。


 今日は、手を重ねてロロの反応をみた。

 少し動揺していたようだが、それだけだったように思う。

 今までは、頭を撫でるくらいのスキンシップはしていたが、十五歳の年相応の恋が普通に出来るのか知りたくて、一歩踏み出してみた。


 ゲイトやユルには憧れはあるようだが、まだ恋とは考えられない気がする。


「どうしたもんかなぁ」


 この役は、カイには無理だ。彼は、父親として嫌われたくないと思っているし、嫉妬するから、ロロの恋愛の背中を押してやれない。


 自分もメイナも、彼女を見つけた時に、何らかの運命を感じていた。ロロを連れてきた責任があるとも思っている。

 自分はもともと結婚願望は他人(ひと)よりない方だから独身でいたが、この先あの子が一人でいるなら、彼女との結婚も考えていた。


 だが、ロロは前世を思い出した。孫がいるほどの年齢だった女性だ。恋を知らない少女ではない。


 もし、出来るなら、好きな男と恋をしてほしい。


 自分に恋をしてくれていたら、それでもいいと思っているが、ロロはまだ十五歳だし、もう少し様子をみるしかない。

 ユルは王都で女性に酷い目に合っているから、時間がかかりそうだが、真面目だし、アリだ。

 ゲイトは‥‥‥ちょっと危険な香りがするし、年齢もギリギリ‥‥‥アウトな気もするが、人間性では、アリだ。


「‥‥‥ディーノは、ないよな?」


 心配で眠れなくなってしまった。

読んでいただきありがとうございます。

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