27個目
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ロロが何やらご機嫌で給湯室から戻ってきた後、少ししてくたびれたマルコが出てきて「今は何も聞かないで」と言った。いや余計に気になるんだけど、とカイは溜息を吐いた。
「‥‥‥じゃあ、後は頼むぞ」
「了解」
カイ・ユル・ロロが防音室に入った。
一息つき、マルコは髪を整え、静かな代表室で仕事をしながら結果を待つことにした。
ユルとロロが向かい合わせに座り、カイは少し離れて入口近くの椅子に座った。
「任せる」
「‥‥‥はい。始めましょう、ロロさん」
「よろしくお願いします」
ユルは、タマゴ型の無色透明な水晶のような魔石をロロに渡した。
「‥‥‥以前に鑑定した流れは覚えていますか?」
「両手で包み込むようにして、魔力を流せばいいんですよね?」
「‥‥‥そうです。この魔石を通るようにして身体に魔力を巡らせてください。魔石を何周も通るイメージです。今回は少し長く、私が止めるまで」
「わかりました」
ロロは魔石を左の手のひらに乗せ、右手を被せるように包んだ。目を閉じて、自分の魔力を身体に血が巡るようにイメージした。魔力が魔石を何周通ったか、ユルがロロに声をかけた。
「‥‥‥ロロさん、止めてください」
「‥‥‥はい」
目を開けて、手のひらの魔石を見た。二人の息を呑む音が聞こえた。
「あれ、なんか前と違う?」
無色透明な魔石にロロの魔力の色が入った。十三歳の鑑定の時は、ほとんど青色で、水を使う魔法が得意だった。
「‥‥‥こちらに」
そう言ったユルはもう眼鏡を外していた。青碧の瞳がロロを見ていた。緊張しながらユルに魔石を渡し、魔石の魔力の色を改めて見た。複雑な色になっている。マーブル模様だ。カイを見ると、顔を顰めていた。あんな顔ばかりさせているな、と申し訳なく思った。
「‥‥‥鑑定します」
青碧の瞳が淡く光った。
マルコは、明日の案内人を決めかねていた。昨日のユルのように、大扉前で目立つわけにはいかない。
あの落ち着いたシロという少年がどう出るかな。ディーノという青年が昨日勝手に来なければ、二人は今日来ていたかもしれない。ゲイトは今日からいない。ロロの魔力鑑定もあった。勝手な青年の昨日の行動は、こちらにとって都合が良かったかもしれない。ユルくんには悪いが。
防音室の扉を見た。もう一時間は経っていた。
ひとつひとつ、紐を解くように。魔力の色を見つけて引いて鑑定。その繰り返し。
青い魔力。水と風の色。一番目立つ、彼女の基本の魔力だ。水を使う魔法が得意。聡明で清廉。本当に美しい青だ。
これは、黄色い魔力。地と知の色。職人に多い想像魔法が得意だろう。彼女にぴったりだ。二年前より増えている。素晴らしいな。
ああ、赤い魔力。火と陽の色。前にはなかったものだ。微かで多くはないが、これなら温めることくらいならできるだろう。知ったら喜ぶだろうな。
これは、白の魔力。治と浄の色。こちらも微かで、癒しの魔法。聖女のように多くなくて良かった。何か練習していた魔法があるのかな。努力で身につけたか。これ以上増えることはなさそうだが、わからない。
黒の魔力。美と陰の色。これも少し。黒は闇に近いが悪ではない。使い方次第だ。ゲイトさんは、この魔力で威圧が飛び抜けているから、全開放したら相手は竦み上がるか気絶するだろう。それから、魅了と魅力。これは、自覚なく滲み出てしまうものだ。ロロさんの魅力は昔からだろうから、黒の魔力のせいではない。この先はわからないが、これも微かなもので良かった。
それから、緑の魔力。私と同じ魔力の色。命と真の色。黄色い魔力が増えたことで、現れたのかもしれない。鑑定までは無理かもしれないが、正しい選択をしたり、人を見る力があるかもしれない。これは、あって困るものではない。
大魔導師・大魔法師にはなれないが、彼女がそれを望まずに生きてきたから問題ないだろう。ただ、出来ることの選択肢は多いはずだ。
特出したものは青だが、突出したものは無し。
鑑定結果 【全属性】
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