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第九打:プリンパン

                                      そこに直れ!童貞どもがっ!

涼とヒロトがワケわかんねー空間でポコポコと殴り合っている中

沙耶のいる1年F組では転校生(真島 涼)の話題で教室は騒がしかった




「ねぇ沙耶ぁ。B組の転校生ってどんな人かな?イケメンかな?」


私の前の席に座る堺 夏樹は目をキラキラとさせて私の方を振り向く


「さぁ?わかんないよ。でもB組にも転校生が入ったんだね。」


読んでいた本をカバンにしまい夏樹の話を聞く


「B組にもって他のクラスにも誰か入るの?」


私の言葉に首を傾げる夏樹

あ。私の兄さんなんて言ったら色々聞かれそう…

口が滑ったなぁ…


「う、うん。みたいだよ!確か二年生に…

詳しくはわかんないけど…」


「へー。でも、2年生には宮沢先輩がいるからね。その他にもカッコいい人が多いし…それに比べて私たちの学年は…」


はぁ…とため息をつく夏樹

それは失礼だよ。


「でも、転校生も可哀想だよね。よりによって宮沢弟のいるB組なんて… お兄ちゃんと違って弟の方は最低だし。性格悪い、顔悪い、態度悪いの三拍子が揃ってるからね!死ねばいいのに!!」


なにその最悪な三拍子

確かに宮沢先輩と比べて、弟の方は良い噂聞かないけど言い過ぎじゃない?


「ねぇ!B組の転校生見に行ってみない?もしかしたら超イケメンかもよ!?」


「えー!いいよぅ。私は行かないよぅ」


夏樹の誘いをやんわり断る

あんまり興味ないし…



「そんな事言わずに!お昼にプリンパン奢るから!!」


「ノったっ!!」


プリンパン

大好きですっ!




というわけで、授業が終わって休み時間

夏樹と一緒にB組の教室へ



教室のドア越しに中を覗くがよく見えない

でも、二年生の先輩がいる

確か生徒会の花形 明菜先輩


夏樹と私は教室の中に入り、私達の友人である茜ちゃんの元へ


「沙耶に夏樹じゃない?どうしたの?」


茜ちゃんはにこやかに私達に話しかける


「転校生見にきた!で、噂の転校生は?」


辺りをキョロキョロとする夏樹

それらしい人は見当たらない



とその時

天井に展開される魔法陣


その魔法陣から2つの人影が教室の床に落下してくる



「ッテェー!ヒロト!テメーもうちょっと優しく降ろせ!バーカ!!」  


「うっせぇ!テメーのせいで、こっちは魔力が空なんだよ!!俺だって腰打ったっつーの!」



2人が落ちて来たせいで埃立った教室


…っていうか何か聞いたことある声がするんですけど…

嫌な予感がするんですけど…


「アレが噂の転校生。」


と指をさす茜ちゃん


胸ぐらをつかみ合ってる2人


片方は顔に青あざをつくり、あちこち腫らしている宮沢先輩


イケメンの見る影もないくらいボロボロになっている



そして…



「脳天唐竹割り!」


「のぐっ……!」


宮沢先輩にジャイアント馬場よろしく馬場チョップをする男は、ボロボロの制服を纏い、額と腕と鼻から血を垂らしながら、宮沢先輩の痛がる姿をゲラゲラと笑いながら見下ろしている



嫌な予感が当たりました。

なんで兄さんが1年生なんですか!?そして生徒会になんてことしてるんですか!?



「宮沢先輩にチョップするなんて…」


夏樹だけじゃなく、その場にいた全ての人間が唖然としている



「勝ったどー!!」


1人ガッツポーズをする兄さん

なにしてるんですか!?あの人は!?



「夏樹、もう満足したでしょ!?教室戻ろ!」


私が兄さんと知り合いってバレたら面倒くさいことになりそう!

兄さんが私に気づく前に教室に戻りたい


「ねぇ茜!あの転校生何者!?なんで宮沢先輩にチョップしたの!?」


私を無視し、茜ちゃんの肩を揺さぶる夏樹


「ちょ、ちょっと!夏樹、落ち着きなさいよ!目が回る!」


夏樹の手を掴み、茜ちゃんは一呼吸してから説明を始める




「じゃあ、あの転校生は宮沢弟に手を出して、宮沢先輩とケンカしてたの!?」


茜ちゃんの説明を聞き驚く私と夏樹

兄さんらしいと言えば兄さんらしいけど、初日からムチャクチャすぎます!


「真島さんスゲーっす!生徒会もシメたんすか!?マジリスペクトっす!!」


兄さんに拍手をする男子生徒

確か、茜ちゃんの幼なじみの中川 健吾君だったような…

テンション高いな…暑苦しい…


「ナッハッハッ!楽勝!!―おわっ!」


と笑う兄さんに跳び蹴りをする宮沢先輩

兄さんも宮沢先輩もボロボロなのにタフですね。

宮沢先輩に蹴られ私達の方に転がってくる兄さん


って、こっち来ないで下さい!

私の願いも虚しく、目の前の机に突っ込む兄さん

ずいぶん派手に突っ込んだけど大丈夫かな?

すこし兄さんの方へ近づいてみる


仰向けで倒れている兄さんを見下ろす私

バッチリ目が合いました…


「沙耶…白か…?」




「――!!何を見てるんですかっ!?」


慌てて後ずさり、スカートを押さえる私

兄さんに見られた…

恥ずかしすぎる……


「なにが楽勝だ!このアホ!!汚ねー手ばっかり使いやがって!」


肩で息をする宮沢先輩



「人聞きの悪い事言ってんじゃねー!だいたい引っかかる奴がアホなんじゃい!やーい!アフォ!うんこたれー!」


ガバッと起き上がり宮沢先輩を挑発する兄さん


子供ですか!?


「はぁ!?つーか、テメーやる事も言う事も汚いんだよ!このヨゴレ外道が!」


コラコラ…

挑発に乗るな生徒会


「誰がヨゴレ外道だ!このっ―!」


「んだ!コラッ!」


何回リフレインするんですか?あなた達は……



「いい加減にしろーっ!!」



教室に響く怒声

眩しいくらい明るい金色の髪

大きな瞳、高い鼻、潤んだ唇

ひとつひとつのパーツが整っている

男女問わず見るもの全てを惹きつける。そんな魅力を放つ女性



「そこに直れ!童貞どもがっ!」


兄さんと宮沢先輩の首根っこを掴み、怒鳴る女性


怖ぁ……!

慣れない事はするもんじゃねーな。              案の定シクったべ。

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