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第八打:掠める銃弾

                                      矢でも火炎放射器でもなんでもこいやぁっ!

「……なんじゃこりゃ…?」


俺の魔法によって展開された空間


その空間に倒れている俺


その俺を冷たい瞳で見下す男――

――真島 涼――



弟の尻拭いで始めたケンカだ。ちょっと痛い目見せて切り上げるつもりだったが、奴の実力を見誤った…


奴に向け放った魔弾

少し力を抑えているとはいえ、普通の奴が喰らったら気絶するような一撃を奴は左手で弾き飛ばした

その行為に呆気に取られていた俺の目の前まで距離を詰めていた真島

その速さは瞬間移動でもしたんじゃないかというほどの速さ

そして、右拳を俺に放つ。慌てて防御魔法を俺の体に纏わせる



が、防御魔法なんかまるで効果がないかのように俺の腹に拳がめり込み吹っ飛ばされる


ゆっくりと腹部に広がる鈍痛

魔力である程度の痛みを和らげられるが、効果がない


これが『圧倒的暴力』

魔力なんか無力と言うような破壊力を持つ拳

魔法で喰らうダメージとは違う痛み。



「そんなもんか?生徒会。それとも弟の不始末の為に一発もらうなんてダセェ真似してんのか?」


嘲笑うような表情でゆっくりと一歩一歩俺に近づく奴の姿は恐怖すら覚える


しかし、それ以上にムカついた

油断していた自分に…


「弟も生徒会も関係ねぇんだよ!クソッタレが!!」


笑ってる膝を無理矢理押さえ立ち上がる

胃の奥から込み上げる鉛の味がする唾を吐く



「悪かったな。ちょっと舐めてかかってた。こっからが宮沢ヒロト様の真骨頂よ!」


「そうこなくっちゃ面白くねーぜ!」


さっきまでの冷たい瞳が消え、純粋な子供のような笑み

このやろう。俺が本気出してないの見抜いてやがったな



俺は魔法で形成した二丁拳銃を持つ

真島が引きつった表情をしてるぜ


こっからが本番だ!バカ野郎!




***


マジかよ…あの武器は卑怯だろ!銃て…

近距離でしか戦えない俺にとって厄介の何物でもないぞ!



なんにしても距離をとられるのはマズいな。



って!!


「のわわわ!」


俺に向かってくる無数の弾丸

慌てて横に転がり弾丸を避ける

マシンガン並みの連射やないすか!!


なにもない空間ゆえに、動き続けないと弾丸の餌食だ


前に進もうにも直線的な動きじゃ狙い撃ちにされる



「イテッ!」


足を掠める銃弾

モロに喰らったわけじゃないが足から血が流れてるのがわかる

でも、とまれねー!


「あくまで魔法使わないで勝つ気か?」


銃を乱射しながら話すヒロト


「使わねーんじゃねぇ!使えねーんだよ!!」


なんとか銃弾を避けながら答える


「は?」


撃つのを止め、なんとも言えない顔をするヒロト


そんな顔されたってねぇ使えないもんは使えないの!


「魔法使えねぇって、んなバカな!んじゃ、今まで魔法使えないから殴って勝ってきたの?」


「おーいえー」


「おーいえーって… なんでこの学園来たんだよ!?」


理事長(ババア)に聞いてくれ」


呆れ顔をするヒロト

なんか不満そうだね…


「お前、謎だなぁ… 魔法使えないって……

けど、容赦しねー!!」


うそーん!そこは対等に『俺も魔法使わない』とか『男らしく拳でケリ着けよう』とかないの!?


つーか、その連射マジ卑怯!

弾切れとかなんねーの?


ん?弾切れ?

そーいやぁ、アイツ一回か弾充填したか?

そもそも魔法で形成した銃に実弾を使うってことはあるのか?

それはないよな…

なら、魔力を飛ばしていると考えるのが妥当だ


ってことは…


「ウララララァ!!」


俺に向かってくる弾丸を拳で叩き落とす

俺の予想通り、飛ばしていたのは魔力の塊

大きさが小さい分、威力も小さい

叩き落とすことは可能



なんだけど、いかんせん数が多い

マシンガン並みの連射じゃ、俺の拳の連打が追いつかない

何発か喰らってますよ!痛いんですよ!!



そんなら!



足を肩幅まで開き、左足は半歩前へ

膝を少し曲げ重心を下に落とす

左腕を胸の高さから真っ直ぐ引き、右腕は肘を曲げ前へ

右肩の付け根から円を描くように腕を廻す



「んなっ!なんじゃそりゃ!?」


「日本の歴史ある武道空手の廻し受けじゃい!矢でも火炎放射器でもなんでもこいやぁっ!」



一度は言いたいよね。このセリフ


廻し受けで弾丸の軌道をズラす

弾丸は当たらなくなったが




前に進めん!して、腕ダリィ!!

このままじゃジリ貧だ

奴の弾丸が尽きる前に俺の体力が尽きるじゃん



「俺に銃は効かん!諦めろぃ!」


不敵な笑みでヒロトを見る


えぇハッタリですとも!

このままじゃ俺がヤバいっつーの!



「チッ!ラチが開かねぇか…」


ヒロトは撃つのを止め、魔法を詠唱する


ひっかかったな!アホめが!!

連射が止まりゃコッチのもんよ!



「これならどーよ?」


蒼く光を放つヒロトの銃


それを上空に向かって、弾丸を撃つ

放たれた弾丸は上空でぶつかり合い、一瞬の閃光を放つ



「げっ!」


光が消え、上から降ってきたのは拳くらいの大きさの氷の飛礫


「マジすか…」



落ちてくる氷に廻し受けを試みるが上向きながらじゃ失敗

顔面直撃。超イテェ!


容赦なく襲う氷の飛礫

身を縮め、止むまで耐える


鼻血は出てるし、体中あちこちに青あざが出来てる



「もう勝敗は見えたろ?もう終いにして、これからは仲良くやろうや。一年坊主」


「ぷえっ!ぺっぺっ!

うっせー!俺は17歳だよ!!お前と同い年だぃ!それに俺は負けず嫌いなの!」



鼻血を吸い込み、口から吐き出す

あちこち痛いけど、ここで止めたら主人公らしくねーじゃん


ファン増やしたいちゅーの!



「圧倒的暴力が俺とタメとは知らんかったな。実力は差があるけどな! 仕方ねー!望み通りきっちりケリつけてやるよ!」


ヒロトは俺に銃を向ける


さて…困ったな。打開策なんか全く考えてねぇぞ…

でも、負けたくねー!



「勝手に入ってくんじゃねー!」


「え?」


ヒロトの後ろを指差す


つられて後ろを振り向くヒロト



「このドアホゥが!」


「―――!!ガハッ!!」



一気にヒロトとの前まで詰め寄り、ボディに一発と顔面に右フックを決める


こんな古典的な手段に引っかかるとは哀れ宮沢ヒロト



「ゲホッ!き…汚ぇ……ぞ……ガフッ……テメェ……」


「汚ぇ?引っかかる奴がアホなのよ!バカかよ?生徒会はバカなのかよ?」


ゲラゲラと笑う俺

さすがに満身創痍のヘロヘロです

コイツが単純じゃなかったら俺、負けてましたね。

俺の拳食らったら、もう立てないでしょうけど!



「ぐっ…!調子ノんなコノヤロー!」


ヒロトは恨めしそうな目をして、俺に飛びかかり頬を殴る


つーか、動けんのかよ!?

「あいたっ!なにすんのさ!?」


「うるせ!くだらねー手使いやがって!死ね!死んぢまえ!」


「んだと!くだらねー手に引っかかるウンコヤローが!」


「う゛ー」と唸りながら、お互い胸ぐらを掴み合いながらバチバチと火花を散らす



「「ぶっ殺ーす!!」」



満身創痍バカ2人の殴り合いです

腰の入ってねーパンチのやりとり

グダグダ感満載です


最後には2人とも仰向けで倒れ、結果引き分け



「はぁ…はぁ…今回は…引き分けに…しといてやるよ…」


「っせー…魔法使って…ゲホッ…ないから…俺のが…強え…」


口は動くが体は動かん


なんで初日からこんな目に…



「あー…口ん中イテェ…せっかくイケメンが台無しだ…」


ヒロトは胸ポケットからタバコを取り出し、火を点ける


「オイ…俺にもよこせ…」


「これ一本しかねーよ。」


と言い、くわえていたタバコを俺に渡す


タバコの煙が肺に渡る

鉄の味とタバコの苦味が混ざり変な味がする


「生徒会がタバコ吸ってんじゃねーよ…」


「うるせー…」


俺達はタバコの煙を吐き出す


そして…


「「体、超イテェ…」」

なんだかなぁ…

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