第五打:こにゃにゃちわ!
笑顔で握手!みんな平和!
「そ、それじゃあ今日の一時間目は真島君への質問タイムとしますので、質問のある人は手を上げてください」
一条先生は沈黙を破るようにクラスの人達に言う
その横で納得のいかない顔をしている俺
だって、年齢的には高校2年生だよ?なんかダブったみたいじゃん!
ババアに文句の一言を言いに行きたいところだけど、返り討ちにされるのがオチだ。
もう諦めよう…1年生でいいや
「先生。ちょっといいですか?」
手を上げたのは生意気そうな顔をした男子生徒
俺に質問じゃなくて先生にすんのかよ!?
「なんでしょう?」
「そんなくだらない事に時間を使うなら図書室で勉強させてもらいます。」
男子生徒は先生の答えを聞かずに教室を出て行く。それにつられ、他の生徒達も教室から去っていく
教室に残ったのは4人の生徒
男子生徒2人に女子生徒2人
男子生徒の1人は寝てるけど…
どんだけ俺に興味ないんだよ。割とショックだぜ!
「君達は行かないのかぃ?」
俺は4人の生徒に質問する。
1人は寝てるんだけどね
「行っても居場所なんかないから…」
眼鏡をかけた男子生徒がボソッと言う
先生の顔を見るが先生も俯き悔しそうな顔をしている
「とりあえず、真島君。君の席は相川さんの隣の席です。相川さん、色々教えてあげてくださいね」
先生の言葉に黒髪の女の子が頷く
「よろしくね!相川さん」
「相川 七海です。よろしくお願いします!」
小さく頭を下げ微笑む相川さん
相川さんは顔は幼いが可愛い印象の女の子
真面目な子なのか、机に開かれたノートにはびっしり文字が書かれている
「ちょっと質問あるんだけど、いいかな?」
「はい?なんですか?」
首を傾げながら俺の目を見る相川さん
「このクラスって他の授業もこんな感じでみんな居なくなったりするの?」
「えと…一条先生の時は、いつもこんな感じです。一番最初に教室から出て行った宮沢君が先生のことを嫌ってまして…」
「あら?それは穏やかじゃないね。でも、なんで他の奴らも出て行ったの?」
「それは宮沢君のお兄さんが生徒会のメンバーなんです。生徒会には先生も逆らえないんです… 他の人達も宮沢君に従わないと私たちみたいに無視されたりするんです…」
相川さんは瞳に涙を溜め俯いてしまった
ん〜。腐った奴がいるんだねぇ。
相川さんも先生も可哀想だな。
そんなバカのせいで肩身の狭い思いさせられて
こういう問題を片付けるのも俺の仕事かな?
「先生!教室から出て行った奴ら全員連れ戻しに行きましょう!」
「え…?そんな…あの子達が私の言うことなんて聞くわけない…」
俺は先生の前まで行き、机をバンっと叩く
「だからって、拗ねて何もしなくていいって理由にはなんねーだろ!
教師が生徒にビビってどーすんだよ!」
「でも……」
先生は泣きそうな顔をする
教師が何もしないなら俺がやる
「相川さん。図書室まで案内して」
「は、はい…」
俺の体から出るドス黒い空気
ムカつく。
虎の威を借りていきがってるバカにも、何にもしないくせに被害者面してる奴らにも、腹が立つ
「真島君!あなた、何する気なの?」
「バカにテメーの無力さを教えに行くんです」
先生に一言残し、教室を出る
「真島さん…大丈夫なんですか?」
心配そうに俺の顔を見る相川さん
「俺がこの学校に来た理由を教えてあげようか?」
「え?」
「俺がこの学校に来た理由…
それは俺がメチャメチャ強いからなのだ!」
ニッと笑い相川さんの頭を撫でる
頭を撫でられた相川さんは顔を赤くし黙ってしまう
「あそこが図書室?」
図書室と札がついてる教室から笑い声が聞こえる
なにが『図書室で勉強させてもらいます』だよ…
ただのサボリじゃねーか
「ほいじゃ行きますか。危ないから図書室入んないでね?」
心配そうな顔をしている相川さんに言い、深呼吸してから図書室のドアを蹴破る
やかましかった笑い声は一瞬にして止み、全員が粉々になったドアの向こうに立つ俺を見る
「こにゃにゃちわ!」
おどけて片手を上げる俺を睨みつけるクラスメートの皆さん
穏やかじゃないねぇ。
「何しに来たんだよ?」
小太りの男子生徒が俺を睨みながら言う
「皆さんと仲良くしようと思ってよ。ほら握手」
デブの手を掴み、俺の手を握らせる
「よ・ろ・し・く・な!」
「ぐぁあああ!」
握った手に少し力を入れる
情けねぇデブだな。ちょっと力入れただけで大袈裟に膝なんか着きやがって
「何してんだよ!」
一番最初に教室から出て行った生徒
宮沢が俺の肩を掴む
「何って握手だよ。な?握手してたんだよな?」
デブの手を離し、問いかけるがデブは涙目で俺を睨みつける
そんな痛がる程力いれてねーだろ?
「お前、ふざけんなよ?」
「ふざけてねーよ!良い友好関係の始まりは握手からって言うじゃねーか?そんな怖い顔しないで握手しようや。」
威圧的な態度で突っかかってくる宮沢の手を握る
「テメッ!離せ!」
「んな怖い顔すんなって!笑顔で握手!みんな平和!」
「離せ!コラァ!」
「イキんなって!笑え!オラ!笑えって!!」
徐々に手に力を入れていく
手の色変わってきてんよ?宮沢くんよー?
「は、離してくれ!」
膝を着き、半泣きになってる宮沢くん
可哀想だから勘弁してやるか
手を離し、他のクラスメートに視線を移す
どいつもこいつも怯えた顔すんなよ
俺はみんなと仲良くしたいだけだよ?ケケケ!
「お前、俺にこんなことしてどうなるか分かってるのか?」
立ち上がり俺の胸ぐらを掴む宮沢
「どうなるの?まだ初日だから分かりまへんな。」
「教えてやるよ。お前ら、コイツやっちまえ!」
宮沢の言葉にクラスメートの連中は俺を取り囲み、手から魔法をだす
炎や水を手から放出する奴、魔法で形成された剣を持つ奴、それぞれ様々な魔法を手から出しながら俺に詰め寄ってくる
「ククク!そんな魔法で俺をやれると思ってんの?ま。女の子には手ぇ出さねーけど、男は覚悟しろよ?」
さぁ。圧倒的暴力と呼ばれた俺様に恐怖しなさい!
アッチがメイン!コッチは悪ふざけ!