第一打:一輪挿し
死んぢゃおうか?このやろう!
西暦2564年
科学なんてもんは、とっくの昔に衰退しやがって、魔法なんつーメルヘンでプリチーで馬鹿馬鹿しいもんが、どいつもこいつも使えるようになった時代
ガヤガヤと喧しい大通り
くわえタバコで歩く俺
真島 涼 17歳
シルバーアッシュの髪を前髪から上に立たせ、白のVネックシャツにカーゴパンツ、シルバーアクセサリーを身につけ大通りを闊歩する
まぁデートなんて素敵なもん行くなら機嫌も良いもんだが、残念ながらそんな甘ったるい事じゃないのだ
つーか、就職活動!しゅーしょくかつどー!
普通なら高校生活っていう素敵な青春を謳歌したいところなんだけどね。
魔法っつーのが、生活の一部になってしまったこの時代。高校の必須科目として魔法学なんてバカげた授業が取り入れられた為、俺みたいに魔法が全く使えない人間は高校も卒業出来ねーっていう残念な事になっている訳よ。
就職するにも魔法が使えないと、なかなか良い職にもつけないし…
とりあえず俺の社会的地位はニートって奴ですよ!
つーか、魔法使えない人間はこの世に俺だけらしいんだわ。
そんなだから、小学校の時からずっとイジメにあい、イジメられるのが嫌だから古くさい武術やらを身につけ、俺をイジメる奴が居なくなったと思ったら、今度は魔法を受け付けない『圧倒的暴力』なんて呼ばれちゃう始末
今度はビビって誰も寄り付かねーのな!
不幸かっ!?
って愚痴っててもしょうがねぇ。
今日こそ魔法使えなくても雇ってくれる会社見つけねーと!
毎日ヒマすぎるっつーのよ!
「あの〜すいません。魔法使えなくても雇ってくれる会社ってありますかねぇ?」
職業案内所、通称ハローワークのおっさんに話しかける
「魔法使えないって… はっ!」
鼻で笑いやがったこのジジー
「魔法使えないって病気?なんかの病気?どっか悪いの?頭?頭が悪いのかな?んー?」
えれぇ言われ様だな。オイ!
キチガイ扱いかよ!
「い、いや、病気とかじゃなくて、普通に使えないんすよ。だから学校もいけないし…働きたいと思いまして」
なにマジマジと見てんねん。このジジイ。はっ倒すど!
おっさんは顎に手を当て考える素振りをする
「ナッシンッ!魔法使えないなんて呼吸出来ないのと一緒だよ!楽したいからって嘘はイカンよ!冷やかしなら帰っておくんな!」
顔の前で大きな×マークを作るおっさん
マジうぜー!嘘じゃねぇっつーの!
「ホントに使えないの!!信じてよ!」
「ええい!帰れっ!ホントに使えないんだとしても、雇ってくれる会社なんかないわっ!帰れクソガキ!ペッペッ!」
「唾吐いてんじゃねぇよ!このクソジジー!」
な!なんという態度だ!!これが社会貢献に燃える若者に対する態度かっ!
もー怒った!
デスクに飾ってあった造花をジジーの頭に突き刺す
「あいたぁー!」
ジジーの頭頂部に一輪挿しをかましハローワークを出る
なんなんだ!遺憾だよ!このやろう!
怒りに任せてハローワーク出ちゃったけど…
ヤッベーな。マジで職ねぇよ…
財布の中には全財産6741円しか入ってねぇ…
死んぢゃおうか?こんちくしょう!
半泣きで大通りを歩く俺。
「きゃ!」
俯いて歩いてたから誰かとぶつかってしまった。
けど、謝んねーぞ!俺は謝んねーぞ!
「痛いなー!なんすか!?俺が悪いんすか!?なんなんすか!?」
ぶつかった相手に喧嘩腰で突っかかっていく
「え?あ…すいません…わ、私が…よそ見してた…せい…で……」
泣きそうな声で謝罪してくる女の子
つか、めっちゃ可愛い…
肩くらいまであるストレートの赤みががった髪、潤んだ瞳、背は少し小さいが出るとこは出てるし、引っ込む所は引っ込んでいる。
はっきり言おう……
ドストライクだ……!!
でも、謝んねー!!ぜってー謝んねー!!
「ホントにスミマセンでした!」
深々と頭を下げる女の子
The☆健気
が!しかし
「スミマセンじゃ済みません!」
ぼかぁ気が立ってんだぃ!
「えぇ〜!」
困惑の表情の女の子
顔を上げて、俺の顔見てさらに困惑
「な、泣いてるんですか…?そんなに痛かったですか!?」
「泣いてるんですよ!めっちゃ凹んでる時にトドメ刺されましたよ!もうアッチ行ってよ!」
支離滅裂な事をぬかす俺。
俺マジうぜー!!
「え…?いや、でも…」
オロオロしだす女の子
そして泣き出してしまった。
って、マジかいっ!!
「ああっ!!嘘!ゴメン!!全然痛くなかった!別に俺泣いてないし!ほんのイタリィジョークっつーか!だから泣かんといて!マジ勘弁!!」
「で、でもぉ……私が…トドメ刺したって…」
「いや、ちょっと気が立ってて…全然君のせいじゃないからって――ぶほぉ!」
俺が必死で女の子に謝っていると、横っ腹にものっそい衝撃
そのまま、店のショーウィンドウにダイブ
「コラ!クソガキ!!ウチの孫娘になにしてんだい!!こんな可愛い娘泣かして男の風上にも置けない腐れ外道は、ワシが月に代わってお仕置きじゃ!」
「イテェな…コラ!」
ガラガラ崩れる店から起き上がると腰の曲がった婆さんが俺を睨みつけながら言う
ゴメン。婆さん。
俺ぁプッツーンキちゃってるから、アンタ生かして帰せねぇわ!
「ほう!あの魔法を喰らって起き上がるとは、良い根性してるじゃないか。」
「っせーぞ!ババー!めっちゃ痛かったぞ!女の子に手を上げちゃいけませんって母ちゃんから教わったが今の痛みで忘れちまったぜ。」
「ふん。貴様のような若僧がワシに触れられる訳ないじゃろ!」
睨み合うババーと俺
なめんなよ?ババー!
俺ぁ強ぇぞ。
「おばあちゃん!止めて!この人は悪くないの!!」
「お前は黙ってなさい。来い!若僧!その腐った性根叩き直してくれる!!」
女の子をトンと突き放し、俺に向け魔力の塊をぶつけてくるババー
「ババー!来いって言った癖にテメーから仕掛けてんじゃねーよ!!」
「先手必勝じゃーい!!」
今まで喧嘩した奴らが使う魔法とはワケが違う。速さ、魔力の質、大きさ、全てが段違いだ
「年の功よりキッコーマンってか!」
魔力の塊を避け、ババーとの距離を縮めていく
近距離じゃねーと俺の攻撃当たんねーっつーの!
「延髄突き割る!」
ババー目掛けて右ストレート一閃
が、防御壁みたいので弾かれてしまう
「ふぉふぉふぉ!魔弾を避けたまでは褒めてやるが、ただの拳ではこの防御壁は破壊できん!」
透明な防御壁の向こうでニヤリと笑うババー
通常の防御壁なら俺のストレートで突き割ることが出来るんだが、さすがババー
めっちゃ硬ぇぜ!
「な・め・ん・な!」
エヴァ初号機よろしく無理矢理防御壁を引き裂こうと試みる
「んぎぎ…!かってぇー!ババー!!多い日夜用か?クソー」
「ムリじゃって!ワシもかつては『鉄壁のかぐや姫』と呼ばれた者ぞ!お前のような若僧に…」
「ネーミングセンス無さ過ぎじゃ!ボケェ!」
ふぬーっ!っと腕に力を込める
力みすぎて鼻血出ちゃったけど、とりあえずスルーじゃ
段々と俺の指が防御壁にめり込んでいく
もうちょいだ!
「ふらぁ!」
一気に防御壁を引き裂く
ババー唖然。ざまあみろ!
「こんどは…オエッ!コッチから行くったい!!」
息が上がっちゃいるが、ババー目掛けて回し蹴りを放つ
腕と防御壁でガードするがババーはすっ飛んで行く
逃がさねー!
吹っ飛んだ方向へ俺も距離を縮める
距離取られると不利なんでね。逃がさねーよ?
「甘いわ!」
「いっ―!!」
距離を詰めババーにエルボーをかまそうとした瞬間、ババーの姿が一瞬若返った
そして俺のエルボーを防御壁でいなし、超至近距離で俺の腹に魔弾を放つ
魔弾を喰らった俺は建物の壁に叩きつけられる
「限界かよ…ババー」
「字が違うわ!幻海じゃろーが!しかし、タフな若僧だね。まだ喋る元気があるとは…」
壁にもたれ掛かっている俺に近づいてくるババー
「まだやるかい?若僧」
「もう立てねーよ。ババア」
「ババア言うな!クソガキ!!」
ババーに一発小突かれ俺の意識はブラックアウトした
つーか、今さらババア言うなって…!
糞メルヘン!なんとなく書いちゃった感じなんでよろしくお願いしますぅ lml(゜Д゜)lml