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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第四幕】 【王都】

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その十五 これからどうするんだ?


 修道長たち三人が部屋に戻ってきて、彼らに振り向いた金髪の少女が言った。


「歓声が聞こえてきました。成功したんですね」

「ああ。とりあえずはこれで一安心だ。ケイさんには本当に感謝しています」


 修道長が少年に向きながら言う。金髪の少女も少年を見て、


「おつかれさま」

「はは……」


 照れ隠しのつもりなのか、少年は頭の後ろに手をあてた。


 彼のそばにいた青年もひょうひょうとした調子で口を開く。


「いやあ、あんがとー、そう言ってもらえると元気が出るぜー」

「あんたには言ってない」

「ひどっ。何か俺にだけ冷たくね。少年もそう思わない?」

「はは……」


 どう答えていいのか分からず、少年はとりあえず愛想笑いで返した。金髪の少女もまた白けた視線を青年に向けている。


 そんな彼らの反応などは気にしていないのか、青年は窓際に白髪の少女がいることを見つけて、手を挙げながら声をかける。


「お、アス、こんなところにいたのか。どこに行ったのかと思ってたぜ」

「…………」


 彼のことを一瞥したあと、彼女はまた窓の外へと顔を向ける。青年は彼女へと近付きながら、


「いつも通り、問題はないみたいだな。でも今度からは俺に一言くらい言ってくれよ」

「…………」


 相変わらず、白髪の少女は無言で返す。はた目には無視しているようにしか見えないが、それが彼ら二人のやり取りなのだろう、青年は全く気にしていないようだ。


 そんな青年に金髪の少女が言う。


「なんか、あんまり心配してなかったみたいな口振りね」

「ん? ああ、心配するも何も、こいつは……」


 青年が何か言いかけたとき、おもむろに白髪の少女が彼の足を踏んづけた。青年が大声を上げる。


「いってえー⁉ いきなり何すんだよ⁉」

「…………」


 振り向いた彼のことを、白髪の少女はただただ無言で見つめ続けた。彼女の瞳にも顔にも、何の感情も表情も浮かんでいない。いつも通りの、空白のような無表情だ。


 しかし、そんな無言の圧力のなかに内包されている、彼女の言いたいことを青年は察したらしい。彼は怒りと興奮を静めて彼女へと言う。


「……すまん、いまのは俺が悪かったな。これからは気を付ける」


 青年が金髪の少女たちのほうを向く。


「つーわけで、そのことはあんま気にしないでくれ。アスは心配するようなやつじゃねえってことだから」

『…………』


 金髪の少女を含めて、その場にいる全員はそれ以上聞こうとはしなかった。彼ら二人にも何かしらの事情があり、それは他人には話すことができない事柄なのだろう……そう察したから。


 話題を転ずるように、少年と黒髪の少女を交互に見ながら青年が尋ねる。


「ところでよ、少年と黒髪ちゃんはこれからどうするんだ? この街で暮らすのか?」


 黒髪の少女が一度少年のことを見たあと、口を開いた。


「わたしはケイさんを元の世界に返す方法を探します」

「サキさん、でも俺は……」


 言いかける少年に、黒髪の少女が続ける。


「ケイさんはべつに戻らなくても構わないと言っていましたが、やはりわたしは戻るのがケイさんのためだと思っています」

「…………」


 これだけは譲るつもりはないというように、黒髪の少女は強く言う。自分が何を言っても聞かないだろう……そう思った少年は彼女のことを黙って見つめた。


 黒髪の少女が修道長に顔を向ける。


「そういうことですので、修道長さん、この街に返還魔法を使える魔導士のかたはいらっしゃいますか?」


 少し考える素振りをしてから、初老の男は答えた。


「いや、私が知る限りはいなかったと思います。無論、詳しいことはギルドに行って聞かなければ分かりませんが。もしかしたら、最近ギルドに登録した者のなかに使える者がいるかもしれませんし……」

「そうですか……」


 彼らの話を聞いていた青年が口を挟んだ。


「それなら俺とアスがこれから聞いてくるぜ。明日王都に行くための準備も色々とあるし、そのついでにな」

「あ、ありがとうございます」

「いいっていいって。それに、その返還魔法とやらについては俺も知っておいたほうが、あとあと得だろうしな」


 青年もまたこの世界とは別の世界からやってきた者なのだから、それはそうかもしれない。


 礼を言った黒髪の少女に笑いかけたあと、青年が少年に声をかける。


「少年も行くか? どうせこのあと暇だろ」

「あ、はい……」


 少し考える素振りをして、少年は付け足した。


「あと、この街に服屋とか裁縫店ってありますか?」

『…………?』


 彼の意図が飲み込めず、その場にいる者たちの頭に疑問符が浮かんだ。




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