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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第二幕】 【異世界【ラウンド】】

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その五 新たな襲撃

 先ほどいた廃屋へと戻る途中、ふと少年は立ち止まって周囲を見回す。もの珍し気にきょろきょろと首を巡らしている少年に、気が付いた少女が尋ねる。


「どうしたのですか」

「いや……外国みたいな街だなと思って……」


 石畳の通りにレンガで建てられた家屋。天井には煙突が突き出ていて、暖を取っているのだろう、そのいくつかの煙突からは煙が出ていた。異世界に転移したとはいまだ信じられない少年だが、いま見ているこの光景は事実に違いない。


「本当に異世界に来ちゃったみたいだ……」

「……信じられないでしょうが……」

「う、うん。分かってるよ、頭では分かってるんだけど……やっぱりね……」


 きょろきょろと辺りを見ている少年に、少女は息を一つ漏らす。


「戻りましょうか。ここにいたら冷えますから」

「あ、うん、そうだね」


 自分だけならまだしも、少女まで風邪を引かせてはダメだろう。少年は慌てて少女の元へと行き、二人並んで歩きだす。歩きながら、少女は少し迷った素振りを見せたあと、重たげに口を開いた。


「……ケイさんにまだ説明していなかったことがあります」

「え……?」

「さきほどは、はぐらかしてしまいましたが、わたしと一緒に行動する以上、知っておいてほしいことがあるのです」


 シリアスな雰囲気の少女に、少年はごくりと喉を鳴らす。


「な、なに……?」


 とはいえ少女も口に出すことに勇気がいるのだろう、一瞬のためらいのあと、ようやくといったように話し始めた。


「……わたしの……【呪い】について、です」

「……呪い……」

「はい」


 そして少女は言った。


「わたしにはあらゆるものの情報を知ることができる【呪い】がかけられているのです」

「……それって……」


 どういうことなのかと少年が問おうとしたとき、二人が歩いてきた道の向こうから、何かが少女に向かって飛んできた。


「あぶない!」


 気が付いた少年が叫ぶ。


「⁉」ぶつかる直前に気が付いた少女が、慌てて身をひねってその影をかわす。石畳の通りに転がったのは、一個の赤い果物……リンゴだった。


「どうしてこんなものが……?」

「…………」


 地面に転がるリンゴを見て疑問の声を上げる少年と、無言のまま見つめる少女。


 そのリンゴを少年が拾い上げようとするのを、少女が慌てて制止しようとした、そのとき、そのリンゴがやってきた通りの向こうから、今度は甲高いいななき声を上げて、リンゴを始めとした様々な果物の荷箱を積んだ馬車が、二人へと勢いよく駆け出してきた。




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