その五十六 【真理の海】
【ジャセイ【極東の島国出身【元医者【能力名:『バイオ』【効力:あらゆる怪我や病気を治療できる。また病原体への抗体免疫治療を転用して、生物への攻撃も可能。他にも【備考:チート能力】】】】】】
【何だこれは⁉ 何が起こっている⁉】
【現在月日:醒暦【場所:ノドル第一魔法学院【生徒数:初等部【この世界における様々な魔法や魔術を学ぶ学院】】】】
【夜明けまで残り2時間37分56秒【クソ! やつらはどこだ!】】
その場の空間に数えきれないほどのメッセージウインドウが現れては消え、現れては消えていく。
それらのウインドウの海で視界もままならないなか、少年に辛うじて見えたのは、隣に立つ黒髪の少女の身体から淡い黒色の輝きが放たれている光景だった。
【ククク、この街の人間を皆殺しにされたくなければ私の言うことを聞くのですね】
【……約束ですぞ、ジャセイさま】
【あたしが理想とする修道士なら】
【……ここは学院みたい……修道会じゃない……】
【そうみたいだな。悪い、でかい建物って聞いてたから間違えた】
【これは仕方のないことなのだ。ジャセイに逆らえば街の皆が】
【いいですかみなさん、この世界には魔法を扱える魔獣が存在しますが、それと対をなす存在として】
【せんせーい、魔界や悪魔って本当にいるんですかー、ただの言い伝えなんじゃー】
【約束など知ったことか。サトリの力さえ手に入れれば全ては私の思い通りなんだ!】
【サキさんとイブさんは絶対に死なせない!】
【これが……わたしに継承された『呪い』……!】
大量のメッセージウインドウ。それらはものに宿るあらゆる情報を引き出すだけでなく、人の思いや残留思念なども表出させる。
そこに嘘や偽りなどは一切許されない。
そこに浮かび上がらせるのは真実であり、真相であり、本心であり、世界の真理。
【いまだ!】
真理の海から少年は飛び出して、驚愕に目を見開くジャセイの顔面を殴り飛ばした。




