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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第三幕】 【修道会】

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47/325

その三十一 学院へ


――


 二人の少女が待っているはずなのに、いない。


「サキさん? イブさん? どこにいるの?」


 室内を見回し、声を掛けるが返答はない。少年は二人がいた作業台まで近付くが、やはり影も形も見当たらない。何が起きているのか、二人に何があったのか、少年の心に不安が芽生えていく。


 そのとき、作業台の近くで淡い光の窓枠が浮かび上がった。以前見たことがある、黒髪の少女が呪いと言っていた、あのメッセージウインドウだ。そこには簡潔に、こう記されていた。



【悪いチート能力者がわたしたちを探しているので、学院まで逃げます。このメッセージが案内するので、ケイさんも来てください】



 メッセージが流れて、新たに【→】と表示される。その矢印の方向に目を向けると、同じように矢印が表示されている、別のメッセージウインドウが出現していた。これをたどっていけば、二人の少女の元までたどり着けるらしい。


 矢印に従って、少年は走り出す。工房の裏口から外に出て、曲がりくねった街路を通り、木製の大きな門がある建物へと。


(サキさん、イブさん、無事でいて……)


 その最中、少年は二人の少女の安否が気にかかっていた。そしてもう一つ……。


(悪いチート能力者って……?)


 メッセージに表示されていた、その単語。いままでに出会った悪いチート能力者といえば、紅蓮のショウと絶対命中のミョウジンの二人くらいだ……が。


 そのとき少年の脳裏に閃いたのは、一人の人物の名前。実際に会ったことはない。会話の中でしか聞いていない。しかし絶対に関わるなと忠告された……その名は。


(……ジャセイ……)


 勲章の男は言っていた。どんな病気も怪我も治せると。


 仮面の剣士は言っていた。回復魔法に該当する力が使えると。そして、最強、無敵、不死身に近いとも。


 少年は建物の門の前へと来る。メッセージウインドウがまた表示され、その建物の外周に沿うように矢印が表示された。それに従って進んでいくと、建物を囲む木の柵の下部に、人間が一人通れるくらいの穴が開いている。


 周囲には細かい木の破片が散らばっていて、まるで小さな爆弾で爆破したかのようだ。


(この先に、二人がいる)


 木の柵の穴を潜り抜けて、少年は学院の敷地内へと入っていった。




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