表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第三幕】 【修道会】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/325

その二十三 焦り


 迷った……⁉


 頭によぎるその考えが、少年の焦りをさらに加速させていく。


 周囲を見回す。やはり案内板や道しるべは見当たらない。道を尋ねようにも、人も馬車も通っていない。夜中だからだ。


 いや、たとえ誰かに聞いたとしても、工房、ということだけでは、相手も分からない可能性がある。この街に工房、あるいは工房と同じ役割を持つであろう建物は、いくつもあるだろうからだ。


 《いまは使われていない》工房、という条件を付したとしても、やはりそれなりの数は残ってしまうだろう。


 少年が元いた工房にたどり着くためには、その工房の名称……『○○工房』などという固有名詞で尋ねなければならない。だが、少年はその工房の正式名称を知らない。


 焦った少年は走り出した。あてもなく。走れば、偶然にでも自分がたどり着きたいと思う場所――工房が、幸運にも現れると思ったから。


 しかし、そんな淡い希望は打ち砕かれる。少しの間走り続けたが、目的地の工房にはたどり着かず、むしろ、より見知らぬ場所をさまよう結果となってしまった。


 走ったことによる体力的な消耗よりも、迷ったという精神的な焦燥から、少年はその場に立ち止まってしまう。膝に手をつき、息を荒げる。整える余裕もなく、むしろ息がさらに乱れていく感じさえする。


 迷っただけ……そんな軽いことでは済まされない。事態は道に迷っただけにとどまらず、それによる時間の消費によって、黒髪の少女の病態が悪化していくことを意味する。


 少年は金髪の少女が言っていたことを思い出す。


(足を切断するしかなくなる……最悪死ぬかもしれない……っ!)


 黒髪の少女が死ぬ。


 数時間前に出会ったばかりの少女……だが殺意ある襲撃を受けた際に助言をくれて、あきらめかけていた自分を励ましてくれて、そして命を助けてくれた女の子。


 恩人とも言えるそんな彼女を、死なせるわけにはいかない……!


(死なせたくない……!)


 しかしそう思ったからといって、いまのこの事態が好転するわけではない。パニックに陥れば陥るほど、事態は悪化の一途をたどっていくことになる。


(でも……どうすればいい……? どうすれば……⁉)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ