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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第三幕】 【修道会】

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36/325

その二十 目深にフードをかぶる何者か

 仮面の剣士が少年の学生服を見ながら、


「それと、この世界ではその服は目立つ。代わりのものを着た方がいい」

「でも、俺、他に服持ってないですし……」


 廃屋で拾ったローブは捨ててきてしまったし、街のどこに服屋があるのかも分からない。また少年はこの世界の通貨を持っていなく、そもそもこんな夜更けに開いている店などあるのだろうか。


 困る少年を見て、仮面の剣士が空中に手のひらをかざす。そこに淡い光の輪が現れる。


「収納魔法だ」


 そう言って、その輪の中に手を入れると、一着の黒い外套を取り出した。少年へと差し出す。


「サイズが合っているか分からないが、これを着るといい。あげるよ」

「そんな、悪いですよ。俺、別に寒くないですし……」

「暑い寒いの問題ではなく、きみの安全のためだ。異世界から来たチート能力者の中には自分の力をひけらかすために、他の異世界転移者を狩るやつがいるからな。まあ、そういうやつはこの世界の実力者や一般人も襲っているが……。そのせいで、この世界の人間には異世界転移者をよく思っていない者も多い。とにかく、いずれにせよ、異世界の服はなるべく着ない方がいい」

「そうなんですか……」


 特に寒いわけでも風が吹いているわけでもないが、急に悪寒が襲ってきて、少年は身体をぶるりと震わせる。


「や、やっぱり、その服着させてください。新しい服買ったら、洗濯して返しますので」

「別に構わなくていいよ、余っていたものだから……といっても、きみは聞かないだろうな。また今度、会ったときでいいからな」

「はい。ありがとうございます」


 黒い外套を受け取り、それを羽織ったあと、少年は尋ねた。


「そういえば、さっき言っていたジャセイって人ですけど……最強や不死身に近い力を持っているって……いったいどういうことですか?」

「それは……」


 仮面の剣士が口を開きかけたとき、不意にまったく別の誰かの声がした。


「ここにいましたか」


 仮面の剣士と、驚いた少年がその方を見ると、魔導士が着るような黒いローブを身にまとい、目深にフードをかぶった人間がいた。そのせいで顔は分からない。いつの間にそんな場所にいたのか、歩いてくる足音も、森の茂みをかき分ける音もしなかった。


『貴様、何者だ。いつからそこにいた……!』


 それは鼻が利くはずの――においで分かるはずの魔狼や白狼も同じだったらしい。二体のオオカミは、威嚇と警戒心を露わにしたうなり声を出す。


 片腕を真横に伸ばして、仮面の剣士がそれを制した。


「……私の知り合いだ……」


 真剣なその声音には、攻撃や挑発などといった余計なことをしてはいけない、自分に任せてほしいという気持ちが込められていた。




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