表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第三幕】 【修道会】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/325

その十八 魔狼


 少年の背後でほのかに淡い光が輝き始める。気が付いて、二人がそちらを見ると、灰白のオオカミの傷口に魔法陣が重なっていて、徐々にその傷がふさがっていった。


「やはり治癒魔法を使えたか……」


 少年に殺してはならないと言われたとはいえ、また襲撃されるかもしれないことを考えて、仮面の剣士は警戒態勢に入る。そのとき、威厳に満ちた声がした。


『安心しろ。我は誇り高き魔狼の一族。恩をあだで返すような真似はせぬ』


 その声はまさしく、二人の目の前にいる灰白のオオカミから発せられたものだった。少年が驚きの声を上げる。


「しゃべった⁉」

「……魔獣の中には人語を解するものもいるというが……」


 つぶやいた仮面の剣士も、半ば驚いている様子だ。


 傷が完全にふさがり、立ち上がった灰白のオオカミが少年に問う。


『小僧、何故我を助けた? 我たちは貴様たちを襲ったのだぞ』

「え……?」


 少年にとっては予想外だった質問に、半ば慌てたように彼は答える。


「い、いや、だって、誰だって死ぬのは痛くて怖くて嫌じゃないですか。俺はそう思ったから……そう思っているから、できる限り、何も殺さないようにしてるんです」


 そこで少年は、昔、とある人物が言っていたことを思い出した。


「それに……昔の知り合いが言ってたんです。『たとえどんな一生だろうと、生きていることは、ただそれだけで素晴らしいことなんだ』……って」


 どうしていま、その人物のその言葉を言う気になったのか……よくは分からないが、それを言うべきときだと直感したからだった。


『……フン……』


 魔狼が非常に珍しいものでも見るように、目を細める。


『珍しい人間だな、いや、変な人間というべきか。貴様のような者に会うのは久しぶりだ』


 魔狼はそのまま、少年の顔をじっと見つめ、そのあとに仮面の剣士を見る。


『貴様たちはどのような用件で、この森……世界樹へとやってきたのだ?』

「あ、俺は感染症に効くっていう薬草を採りに来たんです。絶対に助けたい人がいて……。ソナーさんは……」


 少年の言葉を、仮面の剣士が引き継ぐ。


「私は発光石を探しにきた。少年も私も、もう目当てのものは見つかったがな」


 そう言うと、仮面の剣士は近くに転がっていた発光石を拾い上げて、小脇に抱えた。


 魔狼が納得したように言う。


『なるほど……。さきほど小僧が言っていたように、我は、貴様たちがこの森と世界樹を荒らしに来たのだと勘違いしていた。すまなかったな……』


 魔狼の詫びに重ねるように、小柄な白狼もすまなそうな鳴き声を出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ