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異世界チートレイザー  作者: ナロー
【第二幕】 【異世界【ラウンド】】
16/325

その十三 【第二幕 終】

 呆然とした様子でその場に突っ立っていた少年に、我に返った少女が声を掛ける。


「ありがとうございます。疲れましたよね、わたしなら大丈夫ですので、降ろしてください。重かったでしょう」

「……いや、そこまで重くは……走るのに夢中だったし……」


 しかし極度に疲労していることは確かなので、少年は素直に少女の身体を降ろす。


 怪我した足に痛みが走ったのか、少女は一瞬眉をひそめるが、すぐに元の表情に戻って、少年に言う。


「本当にありがとうございます。すごかったです」

「いや、うん、自分でもびっくりしてるよ……」

「とはいえあの男が気が付いたら、また襲ってくるでしょう。とにかく早くここから離れましょう。そしてあなたの傷の手当てもしなければ」

「あ……そういえば、背中ナイフ刺さってたままだった……つッ!」


 危機が去り安堵したからか、それまであまり気にしていなかった肩と背中の傷が、ここにきてジクジクと痛み出した。いや、痛いどころではない。視界が急にグラグラと揺れて、暗くなり、少年はその場にうつ伏せに倒れてしまった。


「! ケイさん……⁉ ケイさん‼」

 ぼやける視界の中、かがみこみ、悲痛な表情で身体を揺する少女が映った。




【第二幕 終】





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